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令和 3年  9月 決算特別委員会-10月01日-03号

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  1. 世田谷区議会 2021-10-01
    令和 3年  9月 決算特別委員会-10月01日-03号


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    令和 3年  9月 決算特別委員会-10月01日-03号令和 3年  9月 決算特別委員会 令和3年決算特別委員会 決算特別委員会会議録第三号 日 時  令和三年十月一日(金曜日) 場 所  大会議室  出席委員(四十三名)    委員長          加藤たいき    副委員長         いたいひとし    副委員長         ひえしま 進                 阿久津 皇                 石川ナオミ                 おぎのけんじ                 河野俊弘                 宍戸三郎                 菅沼つとむ                 畠山晋一                 真鍋よしゆき                 和田ひでとし                 岡本のぶ子                 佐藤ひろと
                    高橋昭彦                 平塚けいじ                 福田たえ美                 いそだ久美子                 桜井純子                 中塚さちよ                 中村公太朗                 中山みずほ                 羽田圭二                 藤井まな                 大庭正明                 田中優子                 桃野芳文                 江口じゅん子                 たかじょう訓子                 中里光夫                 金井えり子                 高岡じゅん子                 田中みち子                 小泉たま子                 つるみけんご                 あべ力也                 上川あや                 ひうち優子                 佐藤美樹                 そのべせいや                 神尾りさ                 くりはら博之                 青空こうじ  出席事務局職員          議事担当係長 髙橋 亮  出席説明員   副区長           中村哲也   政策経営部  部長     加賀谷実          政策企画課長 松本幸夫          経営改革・官民連携担当課長                 髙井浩幸          ICT推進課長                 山田和彦          政策研究・調査課長                 箕田幸人          財政課長   五十嵐哲男          広報広聴課長 山戸茂子          デジタル改革担当部部長(政策経営部長兼務)                 加賀谷実          デジタル改革担当課長                 松永 仁   交流推進担当部          部長     小澤弘美   総務部    部長     池田 豊          総務課長   後藤英一          人事課長   好永 耕          職員厚生課長 増井賢一   庁舎整備担当部  部長   佐藤絵里          庁舎管理担当課長                 桐山徳幸          庁舎建設担当課長                 鳥居廣基   危機管理部  部長     菅井英樹          災害対策課長 長谷川哲夫          地域生活安全課長                 野村 剛          副参事    若松 武   財務部    部長     工藤郁淳          経理課長   阿部辰男          課税課長   北 はやと          用地課長   春日谷尚之   施設営繕担当部          部長     小柴直樹          公共施設マネジメント課長                 並木正志   会計室    会計管理者  原田茂実   選挙管理委員会事務局          局長     渡邉謙吉   監査事務局  局長     庄司秀人          次長     淺野 康     ──────────────────── 本日の会議に付した事件 認定第一号 令和二年度世田谷区一般会計歳入歳出決算認定 認定第二号 令和二年度世田谷区国民健康保険事業会計歳入歳出決算認定 認定第三号 令和二年度世田谷区後期高齢者医療会計歳入歳出決算認定 認定第四号 令和二年度世田谷区介護保険事業会計歳入歳出決算認定 認定第五号 令和二年度世田谷区学校給食費会計歳入歳出決算認定企画総務委員会所管分に対する質疑)     ────────────────────     午前十時開議 ○加藤たいき 委員長 ただいまから決算特別委員会を開会いたします。     ──────────────────── ○加藤たいき 委員長 本日は、企画総務委員会所管分の決算審査を行います。  それでは、質疑に入ります。  公明党、どうぞ。 ◆いたいひとし 委員 おはようございます。台風十六号の動向が気になりますが、被害のないことを祈りつつ、質問に入らせていただきます。  初めに、コロナウイルス陽性者の自宅療養されている方で、二年前の台風十九号のようなことが起こった場合の避難についてお伺いさせていただきます。  この八月上旬、コロナ感染者が増大し、病院にも入れず在宅療養を余儀なくされた方も大勢いらっしゃいました。こうしたさなか、第五波の八月上旬には台風九号、十号、十一号のトリプル台風が発生しました。特に台風十号が関東に接近するとの予報も出され、水害発生の危険性がある中、私の友人で在宅療養されている方から、水害の危険性が迫ったらどうしたらよいのかと質問を受けました。水害は前もって事前の備えが可能かと思いますが、陽性者にとっては避難することは容易ではありません。避難をためらわない区の対応策ができているのかをお伺いいたします。 ◎長谷川 災害対策課長 水害時における自宅療養者の避難の方法につきましては、多摩川洪水浸水想定区域及び土砂災害警戒区域等にお住まいの方について、保健所と連携をいたしまして宿泊施設等に誘導することとしており、昨年五月の災害・防犯・オウム問題対策等特別委員会にて御報告をしているところでございます。  自宅療養者の数は日々変化している状況でございます。引き続き関係所管と連携し、的確に人数を把握した上で、適切に対応してまいります。 ◆いたいひとし 委員 昨年五月の取決めですので、第五波のときには、在宅で三千七百名という多くの方が避難されておりましたし、その浸水エリアにどのぐらいの方がいらっしゃるのかは、人口比で単純に割り返すと計算上は出てくると思うんですけれども、保健所だけではなく、危機管理部や総合支所が情報を共有して対策を講じていただきたいことを要望します。  次に、電話、ファクスによる災害時緊急情報配信サービスの拡大利用について伺います。  区は、台風や大雨等により多摩川の洪水、氾濫のおそれがある場合に、あらかじめ登録した対象者の自宅の固定電話やファクスに避難情報等を伝達するサービスを開始しています。私はこれまで、情報弱者への避難情報の伝達を求めてきましたので、一歩前進と評価いたします。  しかし、対象者は玉川・砧地域の避難行動要支援者名簿に記載されている高齢者や障害者のうち、携帯電話やスマートフォンを持たず、サービスを希望される方となっています。このことを地元町会にお話ししたところ、高齢でやや耳が不自由になっている方にもぜひ対象を広げてほしいという声がありますが、区の見解を求めます。
    ◎若松 危機管理部副参事 電話、ファクスによる災害時緊急情報配信サービスは、多摩川洪水浸水想定区域内に居住する避難行動要支援者で、携帯電話やスマートフォンを持っていないなどの方へ避難情報等を確実に伝達するために、新たな情報伝達手段の一つとして、令和三年六月下旬からサービスを開始しております。サービスの周知といたしましては、玉川、砧両総合支所が多摩川洪水浸水想定区域に居住する避難行動要支援者用に作成した多摩川洪水時避難行動シートの発送に併せて、申込書を約五百名の方に送付し、現在約七十名の方から申込みがありました。  今後のサービス対象者の拡大につきましては、八月十五日に土砂災害に関する避難指示を発令した状況を踏まえ、まず土砂災害警戒区域内に居住する避難行動要支援者を対象に拡大する予定です。さらに、委員お話しの高齢で耳が遠いとの理由でファクスでの情報提供を希望する方や、携帯電話やスマートフォンを持っていない等の理由で本サービスを希望する区内在住の方への拡充も検討しております。  区といたしましては、この電話、ファクスによる災害時緊急情報配信サービスだけではなく、テレビやエフエム世田谷でも同様の情報を得ることができることなど、区民一人一人の実情に応じて多様な情報入手方法の中から必要な情報を得ていただけるよう、引き続き周知を図ってまいります。 ◆いたいひとし 委員 こうした情報は速やかに伝わってこそ意味があると思いますので、サービスの拡充とともに、そうしたことが使えるということのお知らせについても尽力していただきたいと思っております。  次に、一時避難所となる民間駐車場の確保についても伺います。  二年前、台風十九号のときに、高齢の両親と車で避難所に行った方が車を止めるところがなかった、またマンションにお住まいの方で地下駐車場が水没し、車が水損してしまった方からは、今度こういう避難をするときになったら、せめて車に大切なものを積んで車だけでも損害に遭わないようにしたいなど様々なお声をいただきました。  そこで、水害のときに避難所に代わる駐車場があれば、想定区域内に住む方も自主避難先の選択肢として広がりが持てると思うんですが、多くの方に避難行動を促すという意味においても、一時避難所となる駐車場の確保が急務だと思うのですが、先ほど冒頭にお話ししたコロナ陽性者も、車があれば、もしかしたらホテルでなく自主的な避難もできるかと思いますので、商業施設や大学、公園など、さらなる拡充が求められますが、見解を伺います。 ◎若松 危機管理部副参事 区は、水害時避難所において、駐車場が利用できる施設が限られる中、多摩川洪水浸水想定区域に比較的近い民間駐車場を車中での一時避難施設として確保することにより、自主避難先の選択肢を広げ、適切な避難行動へとつなげるため複数の民間事業者と協定締結に向けた調整を行ってまいりました。複数の民間事業者との調整では、施設を一時避難先として利用する条件等で折り合いがつかず、協定締結までは至らないケースがありました。  しかしながら、昨年度、株式会社ニトリと協定を締結し、ニトリ環八用賀店の駐車場、二百五十台分を一時避難施設として確保したところです。大規模な台風の接近、上陸等により多摩川の洪水が想定され、協定先の店舗が休業をする場合などの一定の条件下において、区の管理責任の下、開設をいたします。区といたしましては、一時避難施設となる民間駐車場等の拡充に向けまして、引き続き検討を進めてまいります。  また、多摩川洪水時等の水害時の避難先は、区の水害時避難所だけではなく、自主避難や縁故避難を検討いただくなど、自身に合った避難行動を取っていただくよう周知啓発を図ってまいります。 ◆いたいひとし 委員 昨日、議員のポストに新しいハザードマップも配付されました。なぜ配付されたかというと、玉川総合支所が新しくできて、そこが一時避難所に追加されたということだと思います。これについても、私も玉川総合支所、砧総合支所をやはり一時避難所として活用すべきだと、この席でも申し上げたことが実現したということについては一定の評価をするわけであります。  次の質問ですけれども、やはり私は、内水被害によって今回は多くの方が避難することになったわけでありますけれども、事実、水門を閉鎖する前から、早い段階から内水による浸水が発生しておりましたし、そうした内水氾濫発生の情報を、定点カメラを設置することで早期に役所側も把握し、区民にも伝えることが大事だということで、私は、さきの予算委員会でも同様の質問をさせていただきました。  しかし、区は、災害対策本部への災対地域本部からラインワークスを使用した現地状況の画像や動画の報告、現地で水門を操作する職員からの報告に加え、この四月からは、ツイッターなどSNS上の災害等に関する情報をAIにより自動的に収集するシステムを併用することで、そうした情報の収集、情報発信を速やかに行うという答弁でありました。  私は、こういうシステムはないにこしたことはありませんが、やはり十九号のときには、ほとんど夕方の暗い時間帯で、職員も水門に今後べったりつくわけですから、職員からの情報というものはあまり想定はできないだろうと思います。ですから、いろんな手段をやはり総合的に重ねて情報を収集、把握することが必要だと思っております。  あわせて、予算委員会で申し上げたとおり、もう一度、区は検証委員会で、どこが内水被害が発生する、どこが一番そういう被害が大きいかということを掌握しておりますので、ぜひそういったところを中心に定点カメラで観察できるシステムを構築していただきたいと思いますが、見解を求めます。 ◎若松 危機管理部副参事 区は、多摩川洪水浸水想定区域における内水氾濫の発生箇所については、令和元年台風第十九号での実際の被害状況や、区が行った浸水被害発生シミュレーション検証により把握をしております。現状の内水氾濫の把握方法については、水防活動を行う区の職員や青パトの巡回、消防によるパトロール、関係機関の情報連携により、内水氾濫による浸水状況を確認することとしております。  委員お話しの定点カメラ設置による内水氾濫の把握については、カメラの設置箇所や台数、設置位置や高さ、防犯カメラと同様の情報取扱いの必要性、確認した映像内容の活用方法など、様々な課題がございます。今後、定点カメラによる内水氾濫の把握につきましては、避難情報発令時における活用や他自治体での設置活用例も踏まえまして、調査研究を進めてまいります。 ◆いたいひとし 委員 速やかな検証、結果、報告していただければと思っております。  次のテーマに移ります。次は、行財政改革と区が掲げる参加と協働について伺います。  これは、昨日、我が党の佐藤委員が参加と協働についての弊害を申し上げたと思うんですけれども、参加と協働は平成三十年度から新しい行政手法として導入されております。四年が経過して、私なりに、なぜこれが問題があるのかということで幾つか考えてみました。十も二十も挙がるんですが、取りあえず、今日は六点だけお知らせしたいと思います。  一点目は、行政評価を執行するのは役人側である、いわゆる皆さん方が自己評価するというスタイルになっていることが問題だと。  その次は、評価の期限の定めがないということ。一年やろうが十年やろうが、行政評価という名の下に何年でもできちゃうということ。  それから、議会と議論できる行政評価になっていないということ。これについては次の質問で述べます。  それから、新規事業の導入に際して、参加と協働の手法が省かれていること。私は隅から隅まで参加と協働で評価をする。今やっている事業でのみならず、これから導入する事業もそうすべきだと、それが参加と協働だと思っております。  それから、事業を進める上で参加と協働が目的になっている。いかにして区民に知ってもらうかということに多くのエネルギーを費やしている。その結果がどうだったかということについても、評価が甘いということです。  それから、職員のコスト意識が高まっているのかが非常に疑問であります。  二点目に挙げた行政評価に期間の定めがないということの例として、図書館の民営化です。これを決めるのに、我が党が質問してから十年かかりました。参加と協働だからということで、区民の意見を聞かないと結論が出せないという理由で結論が先送りされてきました。しかも、この間、区民の意見とは一体何だったのか、参加と協働でどのような成果が得られたのかは明らかにされていません。しかも、二館の民営化後も協議会を設置し、区民の意見を聞くとしております。  また、四点目に挙げた新規事業の導入に際し、参加と協働の手法が省かれているという例については、生活困窮者世帯の子どもの成長と家庭の生活の安定に向けた学習生活支援の拠点事業「まいぷれいす@はなもも」があります。突然の提案でありました。我が党は事業の必要性は認識しつつも、なぜ児童館でできないのかと訴えましたが、明確な答えはありませんでした。この事業が参加と協働に照らし合わせて必要な事業であったのか、それこそ多様な区民の意見を聞く機会をなぜ省いたのか、一貫性に欠けると思います。  そこで伺いますが、図書館の民営化に区民の意見を聞くということで十年かかったのと、「まいぷれいす@はなもも」が突如話が進み実現しましたけれども、この参加と協働を行政評価の基軸とするならば、そうした区政方針に照らし合わせると、どのような違いがあるのかを説明ください。 ◎髙井 経営改革・官民連携担当課長 基本計画で掲げております参加と協働の視点の下で、区はこれまで各事業の在り方ですとか方向性を検討する際には、議会での御議論に加えまして、必要に応じてパブリックコメントですとかワークショップや検討委員会等の区民の生の声や意見を聞く機会を設けまして、これによって取りまとめた結果をそれぞれで明らかにした上で、酌み上げるべき意見ですとか考えを反映させるといったプロセスを経まして、区民が主体的に地域の担い手として関わる手法を積極的に取り入れて、参加と協働の裾野を広げてきたところでございます。  これらの参加と協働のプロセスを区政に反映する手法につきましては、御指摘もございましたが、比較的時間を要するということは否めないところでございます。その中でも、それぞれの事業におきまして見直しなど一定の結論を導いてきたところでございます。  区民の間には様々な意見がございまして、全ての方に御理解をいただく判断というのはなかなか難しい中で、時間をかけて検討し、導き出した結論が少しでも高い納得性を持つということで、その後の事業運営への御理解、御協力、それから区政に対する信頼を得ることにつながるものというふうに認識しているところでございます。  他方、コロナ対策をはじめといたします保健医療福祉ですとか、お話しありましたような教育政策など、迅速な対応に対する区民ニーズが高いものにつきましては、スピード感を大切に取り組む必要というのもございます。その際にありましても、効果的で効率的な組み立てになっているのかということについては、事前の確認は当然重要でございます。さらに、事業を運営する中でも早期に検証を行いまして、必要に応じた軌道修正を図る必要があるというふうに認識しているところでございます。 ◆いたいひとし 委員 私、新規事業は三年を期限として公会計制度による評価をすべきだということを提案していましたけれども、まさにそうした参加と協働に照らし合わせるならば、やはりいとまを得ずにやった事業は、特に検証すべきだと思います。  それからまた、今の答弁を聞くと、参加と協働というものは、このフレーズはもう削れないと、これはもう使い続けるんだという答弁だったと思うんです。私たちが言っているのは、参加と協働という一つの物差しがあると思うんですが、例えば私たちは同じ一センチは一センチだと思っているんですが、時にはそれが一ミリになったり一メートルになったり、この物差しが時々変わる。そこが問題だと言っているわけです。やはり同じ一センチだったら一センチで、そこで私たちは対等な議論ができるわけです。ですから、そういうことを私たちは求めているんですけれども、それが十年だったり、間髪置かずに事業を、新しい事業の展開が必要だから展開するというのは、それは物差しから比べれば全く不合理だと思います。  ですから、私たちは、公的に公会計制度を用いて、しっかりとした議論をすべきだということを、先ほど冒頭から申し上げました。今決算では、主要施策評価ということで厚い本が配付されておりますけれども、これはなかなかの労作だと思うんですけれども、この労作に見合うだけのやはり成果を上げていくということはより重要だと思います。  この主要施策の中身を読むと、皆さんが書いた評価を読むと、国の補助事業を活用できてよかった、ほっとスクールに通う生徒の定着率が達成できた、安心して図書館が利用できる取組を行うようにできたと、まるで夏休みの子どもの絵日記のような言葉を並べ連ねるわけですけれども、何のために公会計制度を用いた事業の見直しをしているかということのピントがずれているのではないかと思っております。  そこで、世田谷区の公会計制度を導入する際、各事業の評価項目として、必要性、有効性、効率性、公平性、協働の五つを皆さんが挙げていらっしゃるんです。これは皆さん方が挙げているんですね。そして、効率性の具体例として、単位当たりのコストの妥当性、重複事業との統合の可能性、これも私はずっと言い続けていることです。それから、外部委託の可能性、これも私たちはいろいろなところで言っています。さらなるコストの削減の可能性についての分類を皆さん方がしているわけですね。  そのことは、先ほど述べたように、議会と議論できる、まさにこれが行政評価であると私は思っているんですが、それがなかなかこの冊子になると表に出てこない。  そこで、この新BOPや保育園の民営化、また、らぷらすと経済産業部の就労、創業が重複していると指摘しておりますが、それに照らし合わせると、この評価が一体どうなっているのか、それが必要なのか、外部委託が必要なのか、コストの削減が必要なのか、重複している事業だと思っているのかそのことについてぜひ表に出していただきたい。  そうじゃないとなかなか議論ができないと私は思うんですが、今日はそのことについては述べませんが、まず、今申し上げたとおり、重複している事業の統合の可能性があるのかとか、外部委託ができる可能性があるかということをそれぞれが評価していると思うので、それをしっかりと横断的に見直すための材料とすべきだと思っておるんですが、そうしたことをしっかり私たち議会にもオープンにした上で、今後議論ができるのかどうかについてお伺いします。 ◎髙井 経営改革・官民連携担当課長 事業の評価検証に当たりましては、成果の達成状況ですとかフルコストなど客観的な指標に基づく分析とともに、社会状況ですとか区民ニーズを踏まえた事業の意義など定性的な視点を併せまして、総合的に検証を行っていく必要があるというふうに認識をしているところでございます。  これら評価プロセスを踏みます事務事業評価表、シートでございますが、これに基づく事業評価を行っているところではございますが、この仕組みがこれまで見直しの素材として十分効果的な活用には至っていないという面があると認識しております。  昨年度、コロナ禍に対応すべく政策方針に基づいた本質的な見直しというのを行いまして、この際には全ての事業について効果とコストのバランス、それから代替手段の有無などについて点検いたしまして、一定の見直し効果を生んだという認識をいたしております。  この経験を一過性のものとすることなく、さらなる見直しを続けていくことが重要でございますし、それから、新公会計制度に基づく全ての事業別財務諸表の公表といったコスト面での検証材料も整ってきているという状況がございます。こういったところを踏まえまして、今年度から、各部が作成、検証しております事務事業評価表を一元的に集約することにいたしております。  今後、この評価素材を効果的に活用いたしまして、御指摘のような重複事業との統合ですとか委託化、コスト削減などの見直しの可能性を持つ事業を抽出、俯瞰いたしまして、横断的な見直し、事業の改善につなげていきたいと考えているところでございます。 ◆いたいひとし 委員 ぜひそうしたものを我々議会に提示していただき、議論を進めていきたいということをお願い申し上げまして、平塚委員と交代いたします。 ◆平塚けいじ 委員 私からはまず、フェーズフリーの考え方について伺いたいと思います。  フェーズフリーとは、平常時、日常時や災害時、非常時などのフェーズ、社会の状況にかかわらず、適切な生活の質を確保しようとする概念です。  二〇一一年に発生した東日本大震災以降、人々の防災意識はこれまで以上に高まり、防災に関する商品、サービスがさらに注目されるようになりました。また、様々な企業や団体でも防災商品の開発、提供、防災関連サービスの提供が増してきました。  このフェーズフリーを調べる中で、内閣府による日常生活における防災に関する意識や活動についての意識調査を見ましたところ、災害への備えが重要だと考える人は八八・七%に上る一方で、災害への備えに取り組んでいると答えた人は三七・八%にとどまります。  山梨大学地域防災・マネジメント研究センターの秦康範氏は、人間は経験していないことはイメージできず、イメージできないことに備えることは難しい。これを、想像の壁と呼ぶとおっしゃっています。  備えない防災とも呼ばれているフェーズフリーという考え方は、いつもの暮らしがもしもに役立つ考え方で、大学で防災工学を学び、現在フェーズフリー協会の代表理事を務める佐藤氏が二〇一四年に発案しました。  ここで、少し地方自治体の取組を紹介したいと思います。愛媛県今治市のごみ焼却施設の施設であります今治クリーンセンターでは、ごみ焼却施設を造ろうとして、反対運動が起きないように、今治市さんの場合は南海トラフ地震に備えるわけですから、災害時の避難所としても役立ちますよという説明をずっと地域住民の方に繰り返して行ったそうでございます。なかなかそれでも地域住民の理解が進まなかったので半ば諦めていたときに知ったのが、このフェーズフリーという考え、概念だそうです。  発想を転換して、いつも楽しく住民が活用でき、にぎわいを生み出すものになる上に、避難所や省エネにつながり、非常時の電源にもなりますよという提案をしたそうです。ちなみに、ごみを燃やして発電する施設では、年間二億円の発電をするそうです。そして、避難所となる施設を体育館のようにスポーツやイベントを楽しめる施設として開放し、当然、避難所運営訓練も行い、さらに敷地内の広大な緑地を地域に開放するなど、地域住民のコミュニティーに対する付加価値を上げながら、非常時には発電機を備えた避難所兼備蓄センターとして活用されることで、非常時にも役立つということでプロジェクトは進めることができたそうです。  二〇一九年には、この施設が今治モデルとして、次世代に向けたレジリエンス社会構築へ向けて国土強靱化につながる自治体や企業、団体の取組を表彰するジャパン・レジリエンスアワード二〇一九においてグランプリに選ばれたそうです。  この事例は、今まで行政がコストとして考えてきた防災を近隣住民に対して日常的に価値あるものとして提供している点が特徴で、そこが今までにない発想となり、地域住民の方々から受け入れられたのではないでしょうか。今後の区政運営や施設整備にもこのフェーズフリーの考え方に取り組むことによって、持続可能な財政運営にも大きく影響してくるのではないかと考えますが、政策経営部の見解を伺います。 ◎松本 政策企画課長 日常時と非常時という二つのフェーズを取り払い、身の回りにあるものやサービスを、日常時はもちろん非常時にも役立てるというフェーズフリーの考え方は、日常時と非常時のいずれの状況下においても適切な生活の質の確保につながり、特に災害対策を進めていく上で有効な考え方、手段であると認識しております。  災害への備えにつきましては、どこまでコストをかけて備えたらよいかなど判断が難しい状況にあります。こうした中で、区政運営や施設整備にもフェーズフリーの考え方を取り入れ、既存の資源を平常時はもちろん、災害時にも役立つものに変えていくことができるといった視点を持つことで、これまでコストと捉えてきたものの見方が変わるとともに、場合によっては、新たな価値の創出にもつながり、費用対効果の面でメリットを享受できる可能性があると考えております。  また、フェーズフリーの考え方に基づき、防災に役立つ物やサービスを日常生活に取り入れ、日常的に防災を意識する環境の整備を図ることで、区民の防災意識の向上にもつながるなど、今後区として必要な視点になってくると認識しております。 ◆平塚けいじ 委員 そういう形で認識していただくのは大変ありがたいんですけれども、そこで世田谷区における避難所となります区立の小中学校の体育館の照明について考えてみたいと思います。  区に確認しましたところ、災害時にブラックアウト、停電が起きてしまいますと電源が確保できずに照明はつかないと。大変驚きました。それで考えられるのは、発電機と燃料を備蓄して、災害時に停電が起きたら照明として使うということなんですけれども、これも備蓄する燃料をどこまで用意すればいいのか。我々も、消防活動の中でエンジンを回して発電していますけれども、そう長くはもちませんので、そう考えますと、私は、フェーズフリーの考え方でいきますと、現状で少しでも電気を省エネして、再生可能エネルギーと蓄電池をセットで整備することによって、ふだんから使用しておき、非常時にも活用できる取組が求められると思います。  現状でどれだけLED化をされているかということで確認しましたところ、約三割の学校がLED化できている、改築や建て替えに合わせて交換しているということを伺いました。  私は、三月の予算委員会で、国のスキームを活用した千葉市の例を御紹介しまして、再生可能エネルギーと蓄電池をセットで整備すべきだということで訴えさせていただきまして、聞いたんですけれども、その後の状況はかなり難しくて、条件が合わないということで伺っております。そうであるならば、築五十年の本庁舎もLED化ができているわけですし、避難所となる体育館の照明については早急にLED化して、区独自でも、再生可能エネルギーと蓄電池のセットで整備することで、普段から創エネと省エネを実現して、災害時にもそのまま活用できるフェーズフリーの避難所とすることはできないのか、区の見解を伺います。 ◎並木 公共施設マネジメント課長 区の公共施設につきましては、照明器具の老朽化の機会を捉えて、省エネルギーの観点から、順次LED照明器具への交換など高効率設備への更新を行っております。更新に当たっては、工事の効率性や費用対効果の視点も踏まえ、空調、内装などの改修工事や改築の際に行うこととしております。  また、委員御指摘の学校での再生可能エネルギーの活用とは太陽光発電を念頭に置かれていると思いますけれども、太陽光の活用には、太陽光パネルの設置可能性についての精査や、太陽光発電で得た電力を体育館で利用するような仕組みとするための改修も必要となってまいります。避難所で使う体育館だけでもLED化し、太陽光発電と蓄電池を導入すればフェーズフリーが可能ではないかとの御指摘ですが、多額の改修費を必要とするという状況です。  LED照明と太陽光発電、蓄電池などによるフェーズフリーを目指した避難所としての体育館の整備は、脱炭素社会の実現に向けて重要であることは認識しております。現在区では、公共施設等総合管理計画の改定に取り組んでいるところですが、毎年度予定される約五百八十億円という公共施設の整備費及び維持管理費も鑑みながら、関係所管と連携調整し、フェーズフリーの視点についても検討してまいります。 ◆平塚けいじ 委員 多額の費用がかかるということで、ちょっと私も教育委員会の教育環境課に聞いてみましたら、既に体育館でLED化されている小学校十九校、中学校が十校、そして既に太陽光発電三十キロワットが整備されている小学校六校、中学校三校です。残念なことに、一校も蓄電池はつけられていないんですけれども、そこで提案なんですけれども、太陽光発電とLEDがもう既に整備をされている学校が七校あります。ここに蓄電池をセットして、何とか災害時に活用できる仕組みはできないのか。体育館全部に電気をつけろというわけではなくて、安全灯として一列だけでもつけば、安全に避難所運営ができるんじゃないかと思うんですけれども、区の見解を伺います。 ◎並木 公共施設マネジメント課長 太陽光発電設備で発電した電気につきましては、一部の日を除きまして使い切っているということで、不足分を民間電力会社から購入しているという状況です。年間の売電量が少ないということもございまして、設置の費用が高額なため、蓄電池の採用はしていないという状況です。  体育館の一列だけでも十分なので考えられないかとの御提案ですけれども、天井のLED照明に電源を送るには、配線の切替え装置や改修など構造も複雑になり、多額な工事費を必要といたします。既にあるLED照明と太陽光発電などを活用したフェーズフリーの取組は、やはり脱炭素社会の実現に向けて重要であるということは認識しております。  今後も公共施設等総合管理計画の財政目標も踏まえながら、関係所管と連携調整し、様々な可能性について検討してまいりたいと考えております。 ◆平塚けいじ 委員 お金がかかるお金がかかるということですね。区民の命は大丈夫なんでしょうかと私は思うんですけれども、中村副区長、何かお考えはありますか。 ◎中村 副区長 今のテーマについては多額な工事費がかかるとということです。この工事費なんかも、私も詳細をちょっと調べまして、フェーズフリーという考え方は、ふだんも使えて災害時も使えるということで、どのくらい工事費に対してふだんも使えるというところでメリットがあるのか、そういうのも考えたいと思います。  公共施設等総合管理計画の財政目標も、確かにここのところ固めてきておりますので、そことの見合いも含めて検討させていただきたいと思います。 ◆平塚けいじ 委員 想像の壁と先ほど話したんですけれども、真っ暗な避難所に避難してくださいということがどんなことかをぜひ想像していただきたいと思うんですね。私は行きたくないです。それだけ言っておきます。  次に、さらにこのフェーズフリーの考え方に基づいて、さきの代表質問で提案しました食のネットワークづくりについて伺いたいと思います。その中でも、ネットワークづくりの要となりますロジ拠点、ハブ拠点の整備についてです。  もう一度説明しますと、ロジ拠点とは、食品関連企業から寄附される何トンという食品を保管するための倉庫で、冷凍・冷蔵設備も求められます。企業側は寄附したいと考えても、小出しで発送するだけの運賃までは負担していただけない理由から、多くの食品が廃棄され、食品ロスになっているとのことです。さらに、ロジ拠点では、寄附された食品を各ハブ拠点にマッチング、コーディネートして配送する役割があります。ハブ拠点では、ロジ拠点から配送されるそれらの寄附食品を受け取り、地域で活動される団体に渡していくための一時保管所となります。  全国食支援活動協力会の調査によりますと、子ども食堂や地域食堂を運営する団体の約六割が自主活動であり、補助金や地域からの寄附だけで賄えず、食品などを持ち出しで賄っていて、再生基盤の脆弱性が明らかになる一方で、先ほど触れましたように食品関連企業の中には寄附をしたい考えはあるものの、受け皿となる規模の倉庫がないためやむなく廃棄しているとの課題も顕在化している状況です。  そこで、世田谷区として、日常的にこの食のネットワークを確立しておくことにより、災害時にも機能すると考えます。代表でも伺いましたが、今後整備予定の大型公園や団地の建て替えなどの機会を捉えてロジ拠点を整備し、ハブ拠点は二十八か所のまちづくりセンターに担っていただくことを考えるべきです。日常的に地域の拠点として官民連携で食のネットワークを構築することで、災害時にも機能すると期待されます。  先日の答弁では、防災計画では、都の陸上運送基地である京浜トラックターミナルや区の地域内輸送拠点である羽田のクロノゲート等を通じて、各自治体からの支援物資の輸送、配分を行う体制を構築しておりますとのことですけれども、これもまさに東京都任せであって、世田谷区独自の備えになっていないと私は考えます。まさに想像の壁を越えていないと言わざるを得ません。  区民の命を守るために区内での食のネットワークの構築は必要と考えますが、区の見解を伺います。 ◎松本 政策企画課長 災害時への備えを想定し、区内の食のネットワークづくりを進めることの必要性については十分認識しているところです。現在、区内の食の支援の取組としましては、フードドライブや社会福祉協議会に委託実施しておりますフードパントリーなどがあります。  例えばフードパントリーは区内二か所で月に一回程度、継続的な支援が必要な生活困窮者に食品を配布しておりますが、この取組自体、食品の配送面において、区内の社会福祉法人の協力の上で成り立っている現状がございます。また、食品についても、管理衛生面等の課題があり、冷凍や冷蔵を要する食品は取扱いが難しい状況になってございます。仮に区内に大規模なロジ拠点を整備する場合、場所の確保に加え、食品の管理保管や配送の担い手の確保などが大きな課題となります。また、既存の災害対策の取組とどのように結びつけ発展させていくかなどの様々な課題がございます。  区としましては、フードパントリーの拠点を増やすなど、まずは既存の取組を強化することや、企業等と個人、活動団体とのマッチングを支援することなどによりまして、区内における食のネットワークづくりを進めていきたいと考えております。  事業の進捗に合わせまして、食品を保管する拠点の確保が課題となってくるため、御指摘の公園や団地の再整備などの機会も含め、担当所管と連携し、様々な可能性を検討してまいります。 ◆平塚けいじ 委員 今現状あるそういったサービスを拡充していく、また、各企業や個人、団体とマッチングしてつないでいきますという話なんですけれども、やはり私は思うんですけれども、このままでいくと、ロジ拠点、ハブ拠点という発想には多分ならないと思うんですね。やはりいざというときに、各地域から世田谷区にどんと食品が着きました。それがどうやって実際に二十八か所のまちセンや避難所に配送されるのかということを、まさに想像の壁なんですけれども、しっかり想像した上で計画を立てないとならないと思いますし、それを急にやれといっても不可能だと思うんですね。ふだんからこういう民間との協力によって拠点を運営することで、いざというときにもきちんと役立つというのが、まさにフェーズフリーの考え方なので、これはぜひとも考えていただきたいと思いますし、今後我々もこれはしっかりとまた訴えていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  話題をちょっと変えまして、デジタルデバイド、情報格差の解消に向けた対策について伺いたいと思います。  総務省の調査によりますと、二〇一六年のスマートフォン普及率は、二十代から三十代が九〇%を超えているものの、六十代は約三三%、七十代は約一三%と、年代が上がるごとに低下していることが分かります。スマートフォンは、通信ができる環境下ではどこでもインターネット検索ができるものですから、スマートフォンを持っている人はそれだけ情報に触れる機会が多いとも考えられます。  若い世代は、自分の成長とともにスマートフォンやタブレットに触れてきた世代であるため端末の操作に慣れていますが、一方で、六十代、七十代以降の世代というのは、若い方とは違ってスマートフォンなどはなく、そういう操作も不慣れです。むしろ所持することすらしたがらない人もいるほどです。現状の生活で問題なければ、端末を持つ必要はないと感じている層が一定数存在しています。年齢による情報端末の普及率の差が個人間のデジタルデバイドになっています。  そこで公明党は、国がデジタル技術を活用して、災害時の避難誘導や必要な行政情報が申請しなくても届くプッシュ型行政サービスを推進していくことに併せて、オンライン手続などを丁寧に教えてくれるデジタル活用支援員を小学校区単位で配置してスマホ教室を開催することを国に求めていますが、区では現状どのようにデジタルデバイド、情報格差の解消に向けて取り組もうとしているのかお聞きします。 ◎松永 デジタル改革担当課長 各まちづくりセンターで行いましたワクチンの予約支援の際、高齢者を中心に大変御好評いただいたんですが、一方で予約システムのユーザーインターフェースの問題もあったと思いますが、高齢者がインターネット等を利用して予約することのハードルの高さを改めて認識したところでございます。  区では今年度、東京都の支援事業を使いまして、十一月を予定していますが、まちづくりセンターで高齢者向けスマートフォン教室の試行の準備を進めているところでございます。また、今年度、生活文化政策部でも、高齢者の地域参加促進として、千歳温水プールで六十歳以上を対象としたスマホ教室を実施いたしまして、大変好評だったと聞いております。  DXの推進につきましては、行政サービスに限らず、どなたもが恩恵を受けられる社会の実現というのを目指さなければならないと考えておりまして、そのためにはデジタル技術の利用体験ですとか、スマートフォンになじみのない方でも便利さを実感していただけるような効果的な支援というのを検討していきたいと思っています。 ◆平塚けいじ 委員 十一月から各まちづくりセンターでこういう活動をしていただけるということですので期待するんですけれども、先ほども取り上げましたけれども、端末を持つ必要がないと感じている層が一定数存在しています。この方々に、どのようにアプローチしていくのかというのは、さきの委員会でも報告がありましたけれども、今後、国保の健康ポイントが始まるそうですけれども、それにはせたがやPayが活用されて、抽せんでポイント付与がされると伺っています。  今後、世田谷区としてDXを推進するには、受け手である区民の皆様にいかに利用していただけるかが重要であって、特に高齢者の皆様に御利用いただける取組が必要だと私は思います。スマホ教室に参加いただいた高齢者の皆様に、せたがやPayのポイントを付与して実際に使っていただくような体験を含めた教室を開催すべきと考えますが、区の見解を伺います。 ◎松永 デジタル改革担当課長 先ほどお話にもございましたように、高齢者になれば、年齢が上がるほど利用率が低いということで、国の調査でも出ております。利用していない理由が、やはり自分には必要ないですとか、必要があれば家族に任せればよいですとか、スマートフォンやタブレットに対する必要性というのはあまり感じていらっしゃらない。また一方で、操作方法が分からないという結果が出ているというところで、自分が使わなくても何とか大丈夫だと考えている高齢者が一定数存在しているというふうに認識しております。  先ほど申しました東京都の支援事業をやる中で、今年度、東京都のほうにせたがやPayの使用方法についても一緒に教えてもらえないかということを今調整しておりまして、その使用方法についても触れたいというふうに考えているところです。  まずは、スマホを使ってできることですとか、LINEですとか、せたがやPayのメリット、便利さを実感していただく取組を工夫していきたいと思っております。 ◆平塚けいじ 委員 ぜひともせたがやPayも一緒に普及していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  以上で公明党の質問を終わります。
    ○加藤たいき 委員長 以上で公明党の質疑は終わりました。  ここでしばらく休憩いたします。     午前十時四十八分休憩    ──────────────────     午前十一時開議 ○加藤たいき 委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  世田谷立憲民主党、どうぞ。 ◆藤井まな 委員 毎年八月、九月とインターンの学生たちが来てくれて、いろいろ若い世代の学生たちと話すんですけれども、毎回毎回聞くのが、何で若い学生の投票率は低いんだという話を必ず学生と話すわけですね。今までは大学生の中にも投票権を持っていない世代もいたりとか難しい状況だったんですけれども、今はもう大学生は全員投票権を持っているということで、もっと大学生に世田谷区という行政に興味を持ってもらったり、選挙というものに興味を持ってほしいなという話を必ず学生にします。  それで、毎回毎回どうやったら投票率が上がっていくのかな、みんなで考えてみようみたいな話をするんですけれども、今回のインターンに来てくれた学生たちも言っていたんですけれども、こうしたら投票率上がるんじゃないかということに必ず出てくるのが、インターネット投票、オンライン投票、これが何でできないんだろう、できれば多分学生たちもすごく投票しやすくなる。  とにかく、学生というのは、本来だったら住民票を世田谷区に移さなきゃいけないですけれども、世田谷区に住民票を移していないという若い世代が多いことが、やっぱりどうしてもなかなか投票に行かない理由の一つにもなっていますし、これがオンライン投票になることによって随分環境変わってくるんじゃないかと。  一人の学生がいろいろ調べてきてくれて、海外の事例でいくと、エストニアという旧ソビエト連邦、バルト三国の中の一つですよね。あのエストニアという国は、もう二〇〇〇年代から地方選挙はインターネット投票を導入をしていると。その後、インターネット投票が地方選挙で導入されてから、国政においてもインターネット投票が導入されて、今やもう十年以上たつと。ヨーロッパの百三十二万人ぐらいの小国でありますけれども、現にそういったオンライン投票が可能になっている。これを日本でもどうにか導入できないのかということを学生から言われました。  もちろんこれは世田谷区だけで決められる問題ではないですけれども、こういったインターネット投票、オンライン投票というものに対して、世田谷区の選挙管理委員会がどう思っているかお伺いをさせていただきたいと思います。 ◎渡邉 選挙管理委員会事務局長 まず、投票ですけれども、日本の選挙では、当日に自ら投票所に出向いて投票用紙に自署する、これが原則となっておりますけれども、平成十四年に公職選挙法の改正がございまして、地方選挙においては、条例を制定することにより、投票所に出向かなければいけませんけれども、電子投票機を用いた電子投票ができるようになったという状況がございます。しかし、機器の不具合等により多くの選挙人が帰った事例もございまして、最高裁で選挙無効の判決が出たこともあって、現在実施している自治体はございません。  今、御紹介のあったエストニアですけれども、十五歳以上の国民は、ICチップ入りの電子証明が可能なIDカード、マイナンバーカードみたいなものを法律で携帯することが義務づけられておりまして、このICカードを利用してスマートフォン等でも投票できる、こういうことも可能になってございます。  ちょっと私も驚いたのは、受付期間内であれば、一度投票してもキャンセルして、また投票可能ということも行っているそうでございます。  これは、昨年、近隣選管と合同でお呼びした情報セキュリティ大学院大学の先生から聞いたお話ですけれども、あわせて、その中ではアジア圏でも韓国がインターネット投票の実証実験を行ったと。ただ、現在は実施に至っていないということも聞いてございます。  また、国内におけるインターネットの投票の検討状況ですけれども、総務省に設置されました投票環境の向上方策等に関する研究会の二十八年の報告ですけれども、その中では、本人確認の確実な実施、また、インターネット回線等のセキュリティー確保、投票の秘密の確実な担保等々の課題があるというような報告になってございます。  今お話しのインターネット投票がなぜできないのかということですけれども、区としては、国がしっかりと公職選挙法を改正して、地方選だけやっても意味がないので、早く国政選挙の導入を主体的に取り組んでいただくことが重要かなと思ってございます。そういう意味では、まだ現在、導入の前提となる様々環境が十分にないのではないかというふうにも考えてございます。 ◆藤井まな 委員 確かにまだ現状では、国民必ずみんながマイナンバーカードを持っているわけではないですから、エストニアのように、なかなかそういうシステムを立ち上げるということはまだまだ難しいということでありますけれども、このハードルが明確になっているということは、それを超えればできるということでありますから、こういった議論も行われているんだよということも若い世代に周知をしていただきたいなというのと、じゃ、ほかに何の方法があるのかと。  もちろんインターネット投票がそんな簡単にできないことぐらい私も分かっていますから、学生たちに、ほかにどんないい方法があるのかなという話を聞きますと、やっぱり投票所に行くという行為を十代、二十代前半というのはなかなか想像しにくい。その中で、やっぱり身近に大学に行っている立場からすると、大学の中に例えば投票所があったりしたらどうかという話を、これまた結構多くの学生たちが言うんですね。  投票日当日というのはなかなか難しいでしょうけれども、例えば大学の中に期日前投票所を設置するであるとか、それで期日前投票所を設置する中で、例えば多くの学生が知らないのが、住民票が世田谷区になくても、不在者投票制度を使うと自分の住んでいる、遠くの県であっても実家があるところに投票ができるということを、学生たちはみんな意外と知らないんですね。それは選挙に行ったことがないわけですから、そんな制度があることも分かっていない。  期日前投票所が仮に学校にあれば、そこで、ここに住民票がない人も不在者投票で投票できるんですよということも周知することもできるし、そういった様々なメリットがあると思いますけれども、大学内に期日前投票所を設置するということに対しては、どういったハードルがあるのか、どう考えていらっしゃるのか、選挙管理委員会の考えをお伺いさせていただきたいと思います。 ◎渡邉 選挙管理委員会事務局長 まず、御指摘のあった若者の投票率ですけれども、先般の都議会議員選挙で、十代の投票率が四二・一八%であるのに対しまして、二十代は二七・二八%と、一五ポイントぐらい低くなってしまうという現状がございます。これは他の選挙通じてこういう状況にあるということでございます。  御提案のあった大学の施設内に期日前投票所を設置するということですけれども、お話しのとおり、そこに通う学生にとっては投票所を身近に感じ、また、その利便性から投票率向上にも一定の効果が出るというふうに考えてございます。  お話にも併せてございましたけれども、在籍している学生さんの中には、実家に住民票を残したまま東京に出てきているという方も多数いらっしゃると思います。案内の不徹底という御指摘もありましたけれども、やはり全国一斉の国政選挙で、こうした学生も不在者投票制度を利用して、地元に投票用紙を請求して東京で投票できる、こういうものが施設内の期日前投票所でも可能になりますので、そういう周知もできるのかなというふうに思ってございます。  現在、期日前投票所は、選挙管理委員会本部にございますサーバーと専用回線でつながってございます。したがって、リアルタイムで投票状況を反映するという仕組みになってございます。ですから、大学の敷地内に期日前投票所を設ける場合には、同様に専用回線を敷設する必要がございます。  また、期日前投票所については、その学校の学生だけを限定して受け付けるということができないことから、広く区民にも周知して、誰もが投票できるようにしなければなりません。したがって、大学にとっては不特定多数の方の来場、また受付の面では、人員の配置など多くの課題があるというふうに認識してございます。 ◆藤井まな 委員 様々なハードルがあると思いますけれども、昨今、例えばうちの母校の駒沢大学だと、職域接種でワクチンの接種をやったりだとか、より行政と大学が密接になることが多くなってきたと私は感じていますし、今日は大学連携の担当の課長さんもいらっしゃいますし、選挙管理委員会はそういった大学の連携というものをしっかりと考えていただいて、大学生にどうしたら少しでも投票率がアップできるのかなということを考えていただきたいのと、あと、これは学生じゃなくて、区民の方からいただいた意見なんですけれども、若い世代に対して、例えば投票済証ってありますよね。ああいったところに対して、例えば世田谷区発祥の、ここの場所から、ポケモンが世田谷区発祥だという話をしたと思いますけれども、あと、世田谷区が舞台のアニメとかもあるわけで、この投票済証を何か工夫して、投票するとそんなのがもらえるんだみたいなのも、そんなのでつるというのもよくないのかもしれないですけれども、様々な工夫がまだまだできると思うんですね。  大学の連携と投票済証の工夫と、ぜひともそういったところの工夫もしていただきたいということは要望しておきます。  次に、一般質問でも行いました公契約条例のお話をしていきたいと思うんですけれども、今日、十月一日からということで、今日から最低賃金が千四十一円になりました。さらには、深夜は一・二五倍を掛けるわけでから、深夜の最低賃金は千三百一円になったということで、それに関して一般質問の中では、今、公契約条例の労働報酬下限額、工事以外の業務委託の労働報酬下限額千百三十円の現状を、千百五十円に上げればいいんじゃないかという話をさせていただきました。  何でこういうことを私が言っているかというと、もちろん今回最低賃金が上がることもあるんですけれども、やっぱり前回の私が言った一般質問の答弁でもあったんですけれども、公契約条例審議会の中の意見をしっかり聞いてと、僕が質問すると必ずこの言葉を言うんですね。適正化委員会の議論をしっかり聞いて、あとは労働報酬下限額を決めている労働報酬専門部会の話もよく聞いてと言うんですけれども、じゃ、今までと今年とでこの審議会がしっかり開かれているんですかといったら、開かれている回数は明らかに減っているのに、それでもしっかり聞いていきます、議論を行っていただいていますみたいな、ちょっと答弁とやっていることが矛盾しているんじゃないかと僕は思っているんですね。  だから、あえて踏み込んで、この値段に関しては誰も言っていないけれど、観測気球的に千百五十円ぐらいにしたらどうか、以上にしたらどうかという話を僕がしているわけですよね。やっぱり世田谷区は議論する場をしっかりつくっていかなきゃ駄目ですよ。そう思いますけれども、どうですか、担当の皆さん。 ◎阿部 経理課長 委員お話しにありました、まさに労働報酬下限額を議論する公契約適正化委員会、労働報酬専門部会、去年も確かにコロナ感染症の影響で回数が制限されてきたというところはございました。ただ、労働報酬専門部会は、最近ですと例年年間二回開催をして、その次の年の下限額についての結論を、一応区に対する意見書として結論を得るというタームで行っていまして、それは昨年も同じ、今年も同じ予定で、次回は今月末頃に想定をしております。  先日行われた労働報酬専門部会では、委員お話しあったとおり、東京都の最低賃金の動き、最高額となるよという動きですとか、あるいは新型コロナウイルス感染症の現状としては、昨年度とやはり異なって、ワクチン接種が進んでいることですとか、あるいは経済指標の一部でも回復が見られるというようなところから、委託契約等の労働報酬下限額の引上げについても活発な御意見が交わされていたという状況がございます。  ですので、来年度の下限額に関しましては、今後行われる特別区人事委員会の給与勧告も確認の上、申し上げた今月末の専門部会で十分御審議いただいて、その上で適正化委員会より意見書を頂いて、区として、最終的には意見書の内容を十分尊重して、区の財政状況等も考慮しながら、きちんと判断をしてまいりたいと思います。 ◆藤井まな 委員 この間も言いましたけれども、千百五十円という数字は決して高いとは僕は思っていません。なぜならば、高卒初任給の時給換算割を達成したとは言っていますけれども、この間も言ったとおり、その中には賞与が入っていなかったりとか、実際の同一労働同一賃金が達成されているかといったら、全然達成されていない水準でありますから、そういったこともしっかりと考えていただいて、もちろん適正化委員会の言葉が一番課長に響くんでしょうけれども、私がそういった具体的な金額を言っていることも、ぜひとも忘れないでいただきたいのと、この公契約条例と切っても切り離せない入札制度改革の中にも出てくる建設キャリアアップシステムの推進という話を、去年の代表質問、今はいませんけれども、当時の風間ゆたか幹事長から、建設キャリアアップシステムの導入に向けてということを、議会で初めて言ったのは多分我が会派なのかなと思っておりますけれども、先日、私たちの会派でも、実際に建設キャリアアップシステムのカードとかが導入をされている区役所の本庁舎の工事現場を視察してまいりました。  もちろん導入をされていて、システムも見させていただいて、ほぼほぼ九割以上の方がそのカードを持っていて、ごくたまにシステムの中には持っていない方もいらっしゃるという表示がされていたんですけれども、これはまさに我々が求めている理想的な現場だなということは理解できました。  ただ、これが世田谷区全ての工事現場に導入されていかなければいけないわけで、それに対してはまだまだハードルがあるんだろうと思います。そのことについて、行政は今後これを全ての場所に導入していくにはどういったハードルがあるのか、どういったことをすればこれが推進できるのかということをお伺いさせていただきたいと思います。 ◎鳥居 庁舎建設担当課長 建設キャリアアップシステム、英語の頭文字を取ってCCUS――通称シーキャスと言いますが――につきましては、建設技能者の資格や社会保険の加入状況、現場での就業履歴を登録、蓄積することができる建設業界横断的な仕組みです。システムの活用により、建設技能者の技能、経験に応じた処遇が受けられる環境を整備し、高齢化が進む建設業界におきましては、将来にわたっての建設業の担い手確保を目的としており、国では令和五年度から、あらゆる工事でのCCUS完全実施を目指しております。  CCUSの具体的な運用方法につきましては、建設会社、建設現場、建設技能者の情報をシステムへ登録の後、建設技能者に対しては、資格や職務履歴に応じてレベル一から四のカードが交付されます。そして、その後の就業状況に応じてカードのレベルがアップする仕組みとなっており、現在カードのレベルに応じた賃金目安の検討が各種団体にて進められております。  区内の建設産業におきましても建設業の担い手不足は深刻であり、建設技能者の処遇改善や若い世代の担い手確保につながるCCUS普及は重要な課題であると認識をしております。本庁舎等整備工事におきましては、着工以降、CCUSを運用し工事を進めております。  今後、区内事業者を対象とした現場見学会や勉強会の実施など、区内事業者へのCCUS普及推進に向けた具体的な実施内容を検討し、区内のリーディング事業としての役割を果たしてまいります。 ◆藤井まな 委員 システム導入に向けてしっかりと取り組んでいただきたいと思います。  時間がなくなってしまったので、ちょっと簡単にお話だけさせていただきたいと思いますけれども、今日も台風接近中であります。こういった状況の中で、災害時に要支援者避難をする方に対する避難支援プランというのが災害対策の特別委員会でも示されました。特にこういった台風ももちろんですし、地震のことについての避難支援プランもつくるというふうに書いてありましたから、もちろん先行して多摩川浸水被害地域がつくられるんだろうと思いますけれども、二種類必要なわけですね。地震と水害では全然違いますから、こういったところも早急に、不安でありますから、今日も台風が来ているわけですから、まだまだ十月末まで台風シーズンということで、できる限り早く、浸水想定地域、そして土砂災害で、この間も警報が出ましたけれども、そういった地域のことは早くしていただきたいのと、私も議会で提案させていただいた避難所の見える化システム、VACANのシステム、あれも前回、土砂災害のときには、あるにもかかわらず使われなかったということで、これを改めて、災害時にはしっかり起動させていただきたいということを要望させていただきまして、中塚委員と交代させていただきます。 ◆中塚さちよ 委員 私からは、寄附、遺贈についての質問をさせていただきます。  令和二年度の世田谷区の財政運営を振り返りますと、新型コロナウイルス感染症の影響による厳しい財政状況が予想される中での区政運営だったと思います。コロナ関連の支出が大きく膨らむ中で、歳入面では、特別区税はふるさと納税による減収が五十六億円を超える減収、これが令和三年度はもう七十億円を超えるということですけれども、ある大手ふるさと納税サイトが取り扱っている二百二十一自治体、六百七十七事業者に、二〇二〇年十月に行った調査では、ふるさと納税の寄附額なんですけれども、二〇一九年四月から九月と比較して約半数の自治体が、うちの区はすごくふるさと納税で減収しているわけですけれども、この納税サイトにおきましては、昨年対比一五〇%以上ふるさと納税が伸びたと回答していると。また、二六・七%の自治体では、前年比二〇〇%以上の寄附額が集まっているということなんです。  寄附やお礼の傾向について、巣ごもりによる需要増加と答えた自治体が圧倒的に多かったということです。ふるさと納税のお礼品には、食品を中心に自宅で楽しめるものが豊富にそろっていたので、外出自粛のときにそうした返礼品に再度注目が集まったことが、この大幅な寄附額の増加につながっているということでした。返礼品競争というのはちょっと近年批判される向きもあった中で、ここにきて時流に合致して非常に伸びたと。一方で、体験型の返礼品は需要が減少したという現象があったということです。  一方で、寄附元年とも呼ばれる二〇一一年の東日本大震災のときを思い出していただきますと、こういう厳しい状況のときは見返りを求めない助け合い、こうした寄附とか機運も非常に生まれることもあります。  別の大手ふるさと納税サイトでは、こうした市民感情を捉えて、コロナに立ち向かう地域応援プロジェクトというのを二〇二〇年三月からスタートし、ふるさと納税の控除にならないコロナ寄附というのもプロジェクトをつくって紹介して寄附を促す取組をしていました。  飲食関連以外にも医療・介護現場、また、文化芸術関係、スポーツ関係など、苦境に立たされた業界や人々を応援したいというニーズに応える寄附メニューが紹介されまして、このサイトでは二〇二〇年五月から九月までで二億二千四百五十万二千八百四十九円の寄附が集まったということです。コロナ禍にあった二〇二〇年の世田谷区の寄附の状況について教えてください。 ◎髙井 経営改革・官民連携担当課長 令和二年度の寄附ということでございます。世田谷区へは、令和二年度四千二百八件、約四億一千万円ほどの御寄附を頂きまして大変感謝しているところでございます。そのうち亡くなった方の御意思による遺贈ですとか、法人などからの寄附を除きます個人の方から寄附、いわゆるふるさと納税に当たりますものが一億七千万円となっておりまして、前年度と比べて一億一千万円の増となっております。  この四億一千万円のうち、昨年四月から募集を開始いたしました新型コロナウイルスをともに乗りこえる寄附金には、十一か月で二千七百十九件、約八千六百万円の御寄附を頂きまして、このうちの二割は区外の方から寄せられたものでございます。医療機関などへのマスクや防護用品の配付、医療的ケアが必要な方への消毒液の配付、PCR検査体制の強化などに活用させていただいたところでございます。  ちなみに、今年度のコロナ寄附金の状況といたしましては、ここまで半年間で二百三件、約四百万円の御寄附を頂いているところでございます。 ◆中塚さちよ 委員 流出している額を考えると、寄附額全体では、二〇二〇年度、令和二年度で四億一千万円ということなので、額としてはそこと比べると非常に小さいわけですけれども、しかし、善意で集まったこの寄附というのが、特に個人の方からのが前年度六千万円から一億一千万円増えたということで、特に新型コロナウイルスをともに乗りこえる寄附金というところに非常に多額の個人からの寄附が集まったと。そして、そうした善意が医療現場や医療的ケアが必要な方の支援に生かされたということは、とても大事なことだと思っています。  今年まだ四百万円しか集まっていないということですけれども、これから十二月に向けてがふるさと納税のまさに本番というところだと思いますので、ぜひ区民の心を機敏に捉えていただいて、納税する人が増えるようにPRの取組というのを期待したいと思います。  次、ふるさとや縁ある自治体を応援したい、見返りだけではなく、そうした思いを持っている方は一定いるんだなということが分かったわけですけれども、そうした中で区政運営のこうした寄附の金額というのは決してインパクトが小さいわけではありません。  区への寄附のもう一つは遺贈ですけれども、二〇二〇年の寄附金全体で、四億一千万円のうち遺贈分というのは一億九千万円の遺贈があったということです。二〇一九年度は五百万円、一八年度は三件で一千六百万円ということで、一億九千万円ですから、二〇二〇年度の遺贈というのが、非常に大口の寄附が入ったというふうに伺いましたけれども、私、これは以前にも、令和元年の決算特別委員会で、地域の銀行、金融機関に協力いただいて、区へのふるさと納税を高額納税者の方にPRするような取組を進めてはどうかといった提案をしてきましたが、遺贈についても、信託なり地元金融機関との連携で推進できないかと思います。  例えば奈良県生駒市では二〇一九年に遺言代用信託を利用した遺贈寄附の仕組みを導入し、また岐阜県では二〇一九年に地元の地銀が信託銀行と開発した遺贈寄附の仕組みをつくって、これは岐阜県内の四十の市町村で導入されています。また、千葉市は、二〇一八年十二月に千葉銀行と遺贈に関する協定を結んでいます。三重県桑名市も県内外の三つの銀行と協定を結んで遺贈寄附を進めています。  本区でもこういった仕組みを金融機関と連携し、遺贈寄附というのを進めていけないでしょうか。 ◎髙井 経営改革・官民連携担当課長 財産を相続する際の手続に金融機関が関連することは多くございますので、金融機関と連携しまして、区への寄附をPRするということは効果的であると考えております。また、区役所を訪れた際に偶然広報物を御覧になったことをきっかけにしまして相続財産の御寄附を頂いたという例もございまして、幅広く広報する重要性も認識しているところでございます。  引き続き区の広報媒体のほかに、御提案もございましたような金融機関でチラシを配布するというふうなことも含めて寄附を募る取組の周知に努めてまいりたいと考えております。  また、これまでも金融機関といろいろと意見交換をしてまいったこともございまして、そういった中では、遺言信託のサービスは有料で取り組んでおられる金融機関の業務であるということ、それから遺贈先として自治体が紹介されるためには費用をかけて契約関係を締結する必要があるということ、また、そもそも自治体はなかなかその対象となりにくい可能性が高いということなどの課題が多いものと考えております。  そういった課題がございますけれども、金融機関との対話を引き続き継続いたしながら、御紹介いただいたような他の自治体の例も参考にいたしまして、遺贈も含めまして、区への寄附を検討いただくきっかけを広げていけますよう取り組んでまいります。 ◆中塚さちよ 委員 今、区の御答弁にありましたが、金融機関と連携をするにも費用がかかるというお話でしたが、これは奈良県生駒市の取組でいいますと、銀行に自治体が年間五万円の利用登録料を払うことで、信託の寄贈を受けられるということなんですね。第一号の利用者さんは百万円を信託してくれたと。この方が亡くなったら、この自治体は五万円払っただけで百万円の遺贈が受けられることになっていますので、費用がかかっても、元が取れるというとおかしいんですけれども、十分な効果が期待されるのではないかと思います。  近年、特にやはり身寄りのない方も増えていますし、エンディングノートですとか、ACPとかいって、亡くなるときに自分のそうした意思を残していこうというのが非常に注目されてきている中で、遺言信託とかのパンフレットとか、私もたくさん見ていますけれども、そういうパンフレットを見ると、最後に寄附メニューが出ているんです。こういうところに寄附するのもありますよと。  そういうところで、例えば行政というのは税額控除もあるわけですから、決して期待できないという答弁はちょっと当たらないのではないか、十分これは検討する余地があるのではないかと思っています。  世田谷区の区民の方々、そこそこそういったこと、信託される方ですとか、そういう方が多いのではないかと思いますので、ぜひこれは前向きに進めていただいて、少しでも皆さんの善意、また地域地元に生かしたいという方はたくさんいらっしゃると思いますので、それを拾い上げていくような仕組みというのを導入していただきますよう要望申し上げます。  次に、区政への住民参加についての質問をさせていただきます。  この主要事務事業の成果も見ましたけれども、なかなかやはりコロナ禍で集まるのが難しかったというところで、区政への区民参加とか市民活動の停滞というのがちょっと懸念されるなというふうに感じています。これが全てではないんですけれども、地域の絆事業の交流会ができなかったとか、NPOの支援のセミナーができなかったとか、区民参加、住民参加って本当に幅広いので、これはちょっと少ない例だと思うんですけれども、現実ここに出ない中でも多くのそういった市民参加の機会というのがかなり失われていたのではないかなと懸念しております。  そのような中でも、区としては、例えば認知症の条例とか計画であったり、また地域行政に関する条例ですとか、まさにこの区民の参画とか協働とかこうしたことが本当に欠かせない大事な計画や条例というのが策定されたり、また現在進行中というところかと思います。  そうした中で、区政参加の手法もいろいろありますけれども、二十年も前から導入されておりますまさに非常にオーソドックスなものですけれども、パブリックコメントというのもありまして、これは計画や条例の素案とかをホームページなどで見て意見を寄せて回答を得ることができます。集まれないし、ズームも使えないと、そうした高齢の方にとっても、コロナ禍の中で区政に何かしら意見をしたり、参加したり、そうした方法としてパブコメというのもまだまだ拡充したり見直せる部分があるのではないかというふうに考えています。  このパブコメですけれども、現状は素案とか案などの段階で意見を募集して、その都度、区のほうで回答をし、公表もしてくださっています。しかし、その回答を見ますと毎回回りくどい表現で非常に分かりにくかったり、また最終段階の成果物、最終形になった段階で、一体どこにどうパブコメが反映されたのかということは、意見を寄せられた区民の方にとってもちょっと分かりにくいというのが現状かと思います。  これを、最後に出来上がったもののどこにどういうふうに区民の意見が反映されたのかということをもっと分かりやすく知らせていけば、パブコメを寄せた方々というのも、形骸化しているとかということではなく、反映されたのかなとか、区政に参加したなという満足感が得られて、また区民参加を促していくことにもつながるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。 ◎山戸 広報広聴課長 お話しのように、区では区民の生活に広く影響を及ぼす条例や計画の策定の際に、主に素案に対するパブリックコメントを行っております。その結果については、条例や計画の案の公表時にいただいた御意見と、それに対する区の考え方を同時に公表しているところです。  御提案のように、最終的に条例が制定されたり、計画が策定され公表されるときにも、パブリックコメントとしていただいた御意見がどのように反映されたかを改めて周知することにより、区政への区民参加を支える機会の拡充になると考えます。  今後、行政サービスのRe・Designの視点を持って庁内調整を図り、御意見をいただいた方に区政への参加を実感していただけるよう努めてまいります。 ◆中塚さちよ 委員 なかなか車座集会も今もやっていないですし、非常に住民参加の機会が少なくなっていますので、今あるものも十分に活用していただけるように要望いたします。  最後に、災害対策について質問いたします。  区では、首都直下型地震などのような大規模災害が起こったとき、自治体が単独では十分な災害対策を実施できないといったときに、相互に応援するための大規模災害時における相互応援に関する協定書というのを結んでいます。東京二十三区間での相互支援協定のほか、十の自治体と今協定を締結しているようです。例えば群馬県の川場村、高崎市や、長野県の松本市、茨城のつくば市もですか、こうした自治体と協定を結んでいます。  その具体的な内容としては、食料とかの物資あるいは必要な資材とか、車両の提供だったり、あとは職員の派遣、また被災者を収容するための施設の提供というのもあります。つまり避難者を受け入れたりすることを想定した内容となっている協定になります。  例えば私がかつて東日本大震災のときに介護施設が被害を受けて、入居者、スタッフ丸々他自治体の介護施設で受け入れた、そうしたケースをテレビで見たことがあります。これは本当に大変なことで、高齢者は災害時に運よく生き延びることができても、そのあと健康を、体調を崩して二次被害で亡くなる方も多いです。ですので、協定自治体との間では事前にこうしたことを想定した高齢者施設での避難訓練であったり、具体的なシミュレーションというのが必要ではないでしょうか。  世田谷区では人口が増えて、高齢化ですので介護施設が増えています。入所者の数も増えて重度化も進んでいます。少なくとも、想定される避難者数や受入れ先のキャパシティーとかがどうなっているかの把握はしているのでしょうか。 ◎長谷川 災害対策課長 協定自治体との間では、様々な対応事例の共有はしてございますが、御指摘のようなケースについて、具体的にどのように対応するかについての細かな手順などは定められていない状況でございます。また、どこの自治体でどれくらいの施設入居者の受入れ協力が可能であるかなど、そのような把握まではしていないのが現状でございます。現状におきましては、実際そのようなケースが生じた際、自治体間で密に連携を取りまして、必要となる支援を共有しながら対応することになると考えているところでございます。 ◆中塚さちよ 委員 今、実際には想定していない、要は形だけだということではないのかと思うんですね。前の議会か、他会派への答弁で、本当は話合いとかをやっていたんだけれども、ちょっとコロナ禍で中断しちゃっている、オンラインでやるようなことを答弁していましたけれども、形だけでは本当にあったときにどうしようもないですので、特に介護施設の職員なんかも、実際にこういう協定があるということを認識している職員がいるのかなというふうに考えます。  ですので、他自治体に施設入居者を例えば移送、移動しなきゃいけないんですけれども、そうしたときの移動手段だったり、交通ルートだったり、そうしたところも事前の想定というのが必要ではないかと思います。本当にいろいろと検討すべきことがあるんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。 ◎長谷川 災害対策課長 御指摘のとおり、事前に考えられる対策に万全を期しまして、いかに想定外と言われるものをなくすかが重要であるというふうに考えてございます。年に一度、協定自治体の防災担当者が実際に顔を合わせて課題を共有して検討する場を設けてございますが、委員お話しのとおり、ズームで、昨年、今年と行う形になりますが、十一月上旬に行うことで準備を進めてございます。  このような場を通じまして、本件の課題提供をいたしまして、御指摘に係る協力体制の構築について、協働で検討に取り組んでいきたいと考えております。 ◆中塚さちよ 委員 特に介護施設なんかは、避難訓練をしっかりやっていたところはかなりその成果が上がっているというのが過去の実績としてもありますので、形だけじゃなく、ちゃんと機能するような協定にしていくよう要望いたしまして、中村委員と交代いたします。 ◆中村公太朗 委員 では、一般質問で入札制度改革の話をさせていただきましたけれども、少し確認しつつ、この点、また切り込んでいければというふうに思います。  一般質問では三点について質問をいたしましたけれども、まず確認したいんですが、今般の改正は、過度な競争性に対してブレーキをかけ、落札率と言うとちょっとベースが変わってくると思うのであれですけれども、落札額を比較的上げていくということを意図して、総合評価であり、今後の入札制度自体をその方向性に持っていこうとしているということでよろしいですね。いいか悪いかで、イエスかノーでお答えいただきたいと思います。 ◎阿部 経理課長 今回の入札制度改革につきましては、公契約適正化委員会からの答申も受けまして、その中では条例の実効性の確保及び一層のダンピング防止を求められたという点がございますので、この条例の趣旨を入札制度に具体的に反映させて、適正な労働条件の確保、経営環境の改善を図って公共工事の品質向上を目指すものでございまして、この制度によって直接落札率がどう変わるかにつきましては、今後試算を重ねまして、あるいは試行後にその状況をきちんと検証分析して、また制度に生かしたいと考えております。 ◆中村公太朗 委員 よく分からないですけれども、落札率はいいんですけれども、これは落札額自体を、これまでよりも競争性にブレーキをかけることで比較的企業に楽に入札に入ってもらおうということを意図して導入しているということはないんですか。落札率がこれまでより厳しくなるということも想定されているんですか、伺います。イエスかノーでお答えいただけますか。 ◎阿部 経理課長 今回の入札制度改革の仕組みにおいては、あくまでも公契約条例に基づく労働報酬下限額の支払いですとか、労働環境の向上、こういったものを実現していただくということを目的として持って、それをもってというより、それを実現するための工事品質というところを併せて、そこも勘案した上で入札に参加いただくということですので、それに必要な手段として、総合評価方式を活用しまして、今の取組を実現する価格と、それからその取組自身と、その両方を評価して落札者を決定するということでございます。 ◆中村公太朗 委員 よく分かんないんですけれども、要は、今言ったようなことを実現するためにこれまでよりも金額をつけるという話ですよね。シンプルにお答えいただいたほうがいいと思うんです。それに対する影響額というものも、実際の影響額というのはやってみないと分からないものですから、細かい数字は分からないにしても、想定額も、これは予算が余計に出ますから、それ自体も想定をしていない、計算ができないという状況でいいですよね。 ◎阿部 経理課長 今回の制度改革に対しましての予算への影響というお話でありますけれども、予算につきましては、基本的に、言ってみれば予定価格の想定を持って予算計上することになりますので、直接的に予算に影響というのはなかなか今回の仕組みですと、とはいえ、一方では、この制度を成り立たせるために予定価格の精査は非常に重要だということを認識しておりますので、それを併せて行うことによって予算等の調整についても、きちんと対応していきたいと考えております。 ◆中村公太朗 委員 分かりました。  じゃ、もう一点、今回の改正に至る根拠としての公契約適正化委員会の答申に書かれているこれらの提案は、区民の理解を大前提にと書かれている部分に対しての区民の理解が得られたというエビデンス、調査とか、証拠というかデータ、区民の理解を得たよという結果、そういうものはないということでいいですよね。イエスかノーで答えてください。 ◎阿部 経理課長 今回の仕組みを導入するに当たっては(「イエスかノーで答えてください。やったかやってないか、あるのかないのか答えてください」と呼ぶ者あり)公契約適正化委員会において諮問をいたしまして、答申をいただくために、事業者さんに対するきちんとアンケート調査を行って、その状況なども踏まえて答申をいただいたということで、それにつきましては、当然議論の過程の委員会の中身を公開もしていきますし、当然この制度全体の検討状況についても、議会をはじめとして、きちんと御報告をして、区民の皆様にお知らせして、この後また実現となれば、最初は試行ですから、繰り返し申し上げておりますが、その検証を行わなければならない。そちらの結果につきましてもきちんと周知を図って、御意見を賜ってまた制度に生かしていきたいと考えております。 ◆中村公太朗 委員 阿部課長、時間がないんで、言ったとおりにしてください。事業者の意見は、区民意識じゃないですから。いいですか、それは事業者側、入札に入る側ね。僕が言っているのは、オール区民の税金を使うに当たっての区民理解は進んでいるんですかと。大前提と書いてあるものについては、今後していきますと今おっしゃいましたから、ないんでしょう。これからやっていきます、周知していきますだからないんですよね。そうしたら、ないって答えてくださいよ。時間がないんで、いいですか。  次、行きます。その上で今回の影響を受けるのが、これまで安く札を入れていた事業者が取れなくなる、取りづらくなっていくという影響になるわけですけれども、これも多分長くなるので聞きません。
     これまで低入札価格調査をやって、そこでダンピングだということは過去に一度もなかったわけですよ。つまり、区内事業者で安く札を入れてきたところはできたんですよ。それが、今後こういう制度に変わってくる。総合評価はいいんですけれども、例の標準価格を入れたり、最低制限の公開はいいですとなったときに、標準価格よりも安く入れていたところが、点数が低くなっていくことで抜かれるから、それより金額を高く入れたところが落札をするかもしれないということは、本来低く入れてきて、低入でもひっかからずちゃんとできるよと。自分たちの企業努力でしてきたものを入れてきたところが、落札チャンスが失われることになるという制度になっていくわけなんですけれども、そういった事業者が、いや、これはおかしいんじゃないのという声は、課長に届いていますよね。イエスかノーで答えてください。 ◎阿部 経理課長 区といたしましても、(「届いているかどうかをお答えください」と呼ぶ者あり)今、委員おっしゃられた事業者による企業努力、こちらについてはおっしゃるとおり低入価格調査等を通じて把握をしております。 ◆中村公太朗 委員 ちょっと分かりづらい。届いていますか、届いていないか。そういう声があったかないか、もう一回伺います。 ◎阿部 経理課長 そういうお声をいただいているのは事実です。 ◆中村公太朗 委員 ということは、本当に自分たちができますよと、与えられた今回の案件を落札したいと思って応募してきて、自分たちで緻密に計算をして、ほかのところに負けないように落札できるように頑張って入れたところが、今後は、もしかしたらわざわざ、本来この金額でできるけれども、これでは安過ぎて落とせないかもしれない、わざわざ高く入れなきゃいけないよということが起き得るんですよ。しかも、それは分からない。もはやそこはギャンブルですよ。そんなことでいいんですか。それで競争性の確保って言えるんですか。  これが、ずっとダンピング防止、ダンピング防止だからと言っていますけれども、これまでダンピング防止で低入価格調査をやってきて、そこでダンピングが一度もなかった。一度もなかったから、それを継続するならまだ分かる。もしくは、ないんだったらそれを取っ払うというのは分かる。ないのに、今度はその低入調査もやらずに、やるんですよ、やるんだけれども、その枠をぐっぐっと、その条件というのか、さらに後退というか、競争性を鈍らせていくという方向性は、ダンピング防止の理由にはならないんじゃないですか。だって、起きていないし、低入でこれまで全部できているんですよ。  しかも、これは皆さん言っていたように、後でやりますけれども、区内事業者ですよ、ここ。そこに、そういう状況を受けて、プラスと言いますけれども、これはその分、余計に出ていくお金というのは区民の税金ですよ。これがかからなければ本来別のサービスに使える、この間も一般質問で申し上げましたように、これから施設管理の維持費もいろいろ出てきて、バランスも悪くなっていくという中で本当にいいんですかというのが素朴な疑問なんです。  そこで、区内事業者の育成って何なんですか。よく言いますよね。区内事業者の育成。育成ですよ、育成。区内事業者の育成って何ですか。 ◎阿部 経理課長 区内事業者育成ということでは、当然、事業者さんの自立を促して、より活発に競争力を高めるということはやっぱり必要だと考えております。今回の入札制度改革は、申し上げているとおり、申し訳ないんですが、公契約条例の実効性の確保、一層ダンピング防止を求めると答申であったわけですから、今ないから未来もないということは当然ありませんし、現在のその状況を見ても、非常に経済が厳しいところがあったりということがあって、一層ダンピング防止を求めるんだというのをいただいているわけですから、そこで今回の改革で検討しております総合評価方式では、施工実績、あるいは技術者の実績、こういった施工能力、従来のものに加えまして、条例に基づく労働環境向上などの取組を評価することで、事業者の総合力を高め、公共工事の品質向上を促進したいと考えております。  入札契約所管といたしましては、この新しい仕組みを事業者の方に丁寧に説明しまして、こういった形で、総合的な力をつけていただくことを図っていきたいと考えております。 ◆中村公太朗 委員 そうですよね。総合力を高める、競争性を高めるため、それが育成じゃないですか。それを目指すんですよね。  副区長、本会議場でも言いましたけれども、今の今回のこの制度は、例えば本当に競争性がある、競争力のある自社努力をしているAという区内事業者が、これまでは低入調査を乗り越えて取ってきたもので、届かなかったB、C、D、Eは取れませんでしたよというところを、今度はAは駄目よと。Aを切り捨てて、B、C、D、Eには仕事をあげましょうということになりかねない。今言ったように総合力を高めるんだったら、B、C、D、EをAのようなところに持っていかせるのが育成でしょう。違いますか。それを育てていくのが育成なんじゃないですか。Aを切り捨ててB、C、D、Eに合わせようと、後退させようというのが育成ではないですよね。  ということは、落札金額を上げるんではなくて、もちろんそれはできないものを、今現状できないんでしょうから、その分析は必要です。Aはなぜできたのか、B、C、D、Eはなぜできなかったのか、それは必要ですよ。だけれども、そこに純粋に仕事をあげるために落札額を上げるんじゃなくて、その金額があるんだったら、じゃ、B、C、D、EがAになれるようなことにお金を使うというのが育成なんじゃないですか。これが、区内事業者の育成ですよね。だから、これは全然違うことをやっているわけですよ。  別にB、C、D、Eが競争性がないとか、努力していないとは言いませんよ。だけれども、頑張っているところを切り捨てて、競争力がないところに甘い汁を吸わせることが区が目指していく区内事業者の育成なんですか。いかがですか、伺います。 ◎中村 副区長 競争力ということと、事業者の育成という二つのキーワードだと思います。まず、この入札制度について言えば、これまで区の工事請負契約は一般競争入札が基本で、総合評価方式入札においても、価格が低ければ低いほど価格点高くなるという仕組みでした。この仕組みの中で、区は事業者に競争を求めてきましたし、事業者は競争力をここで高めてきたということがあったと思います。一方で、昨今、低価格調査の対象案件が毎年一定数発生している現状にあることも確かです。  そこで、今回の制度改革は、公契約条例を守ってください、徹底してくださいというところから一歩踏み出して、お話しありましたとおり、こうした過度の価格競争を抑制する取組は必要だと思っています。この取組によりまして、各事業者が適正な労働条件を持って安定的に雇用ができて、障害者雇用など社会的責任を果たすことで信頼性を向上させて、課長からもお話しありましたトータルで事業者の力を高めることができると考えているところです。  先般の一般質問の際にも課題も御指摘いただきましたし、今議会での議論も踏まえて検討を詰める部分もありますけれども、一つは入札価格への影響について試算を重ねるなど検討状況は年度内に、来年度には試行結果を区議会へ御報告するとともに、広く区民にもお知らせして、理解促進に努めていきたいと思っています。  いずれにしても、区の公契約の現状を捉えたこの改革につきましては、ぜひ試行、実現をしてまいりたいと考えております。 ◆中村公太朗 委員 だから、本当に競争力を高めていきたい、区内の事業者を応援したいんだと言うんであれば、それこそさっき言ったように、レベルアップをさせて、むしろ区の公共工事だけじゃなくて、東京都、ほかの公共工事を取ってこれるような世田谷区内の事業者にしていくとか、もしくは民の仕事でも、民民同士の仕事でもばりばり取っていける競争力をつくるのが世田谷区の事業者だよねということに持っていくのが区内事業者の育成であって、別に無理くり仕事を回しているよと言っているつもりはないけれども、少なくとも今現在頑張って競争性を持っているところが、本当はできるのに安過ぎてカットされちゃうから、だからちょっとざっくりとした上乗せした金額で札を入れなきゃいけないとか、そういうことが起き得る制度にしていくというのは、本当にピント外れだと思いますし、育成という観点でいけば、さっきうちの藤井委員から説明がありました公契約条例でも今回入っているんでしょう。CCUSをやるにもお金がかかるんですよ。そういうところに補助を出していくとかね。それによって公契約条例を守っていければそれは育成かもしれませんし、そういうところに、ちゃんと事業者の育成にお金をかけていくことが必要なんじゃないかということを改めて申し上げておきます。  時間がないので、公有地の有効活用だけ最後触れたいと思います。  一般でしまして、今回細かくもう一回区切りまして分かりましたけれども、税外収入を上げていく、区内にある土地を税外収入として活用していくには、土地開発公社が先行取得して、まだ区が買い取る前の土地を活用するのが一番シンプルで可能性があるということですよね。  それが、公社自身で単独で税外収入を上げていくこともできるし、基本的に管理は担当所管が今やっていますから、担当所管が独自でこうしたいんだということも制度としてはあると。ただ、これは五年前に指摘をしていて、正直あまり進んでいないんですけれども、恐らく担当所管は、これはインセンティブがないですから、まだ公社が持っていて将来自分たちの事業用地になるその土地を事前に活用しようと言われても、活用しても、上がった収入が自分個人の給料に反映されるわけでも、その分部署の予算が増えるわけでもないから、それはもう手をつけないということが明確にシステム上というか、今の区の状況上、分かりましたので、やはりここは一括で、公社もしくはそこに関わる用地課が積極的な活用をすべきです。  なので、毎回全てのものを活用を前提に民間に問い合わせていく。これを活用しませんか、税外収入に使えませんかということを言っていくようなことをルーチン化することをやりませんか、伺います。 ◎春日谷 用地課長 委員のお話しの内容につきまして、区の税外収入の一助となる可能性がございまして、大変重要な視点であると受け止めてございます。世田谷区都市開発公社保有地の活用につきましては様々な課題が想定されるところでございますが、既に区有地で駐車場を運営しております外郭団体や民間事業者へのヒアリングを実施しまして、事業として成り立つかどうか、スピード感を持って調査検証いたしまして、一定の収益が見込めるということになりましたら、庁内調整を行い、実施に向けて取り組んでまいります。 ◆中村公太朗 委員 用地課に限りませんけれども、五年間、調査研究が続くみたいなことはもう止めませんか。毎回毎回。であれば、経緯を必ず報告するような状況を役所としてもつくってくださいよ。やっぱり議会側としてもそれは言い逃れにしか聞こえませんので……。 ○加藤たいき 委員長 以上で世田谷立憲民主党の質疑は終わりました。  ここでしばらく休憩いたします。     午前十一時五十六分休憩    ──────────────────     午後零時五十分開議 ○加藤たいき 委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  無所属・世田谷行革一一〇番・維新、どうぞ。 ◆桃野芳文 委員 まず、私からは、株式会社世田谷サービス公社について聞いてまいります。  サービス公社は、世田谷区の幹部の退職後の再就職先ということで、いわゆる天下り先という中でも最大規模の外郭団体です。昨年度の売上高がざっくりと四十億円ぐらいあって、そのうち区の公共施設の維持管理事業が大半で、三十四億円ぐらいという会社です。  企画総務委員会で報告された令和二年度のサービス公社の事業報告書を見ると、令和二年度というのは、随分とたくさん利益が出た形になっています。売上高が先ほど申し上げたように大体四十億円で、経常利益が一億七千万円、売上高経常利益率という指標がよく使われますけれども、これは収益力、いわゆるどれぐらいもうける力があるのかということを示す指標ですけれども、今の計算から導くと、これが四・二%ぐらいなんですね。  会社の規模だとか業界別の平均みたいなものでこの収益利率というのは様々指標がありますけれども、大体売上高四十億円程度で、本業が施設維持管理という会社で、売上高経常利益率が四%というのはすごく数字が高い、四%を超えてくる会社というのはなかなかないんですね。非常に収益力が高い、簡単に言うとすごくもうかっている会社ということになります。株式会社だから、もうかるのはいいことなんじゃないかと一見捉えてしまう方もいらっしゃるかもしれませんけれども、それは違うんじゃないかというふうに思うわけです。  最近はあまりこういう言葉は使われませんけれども、かつて第三セクターという言葉がはやりまして、第一セクターが公共部門、第二セクターが私企業部門で、第三セクター、世田谷区がお金を出してつくっている会社、議決権ベースで大体八九・九%ぐらいですか。株の大半を持っている、いわゆる世田谷区の子会社なわけです。  そういった中で、なぜこんなことをやるかというと、これは利益を追求するわけじゃなくて、公共的事業をいかにコストを抑えてやるか、コストミニマムで公共的事業を実現していくかという仕組みです。端的に言うと、公共施設の維持管理を世田谷区が直接やるのは効率が悪いから、民間の手法も導入しながら、コストを抑えながらやりましょうというのが第三セクターということになります。  理屈からして、第三セクターの世田谷サービス公社がそんなにうはうはもうかってしまうということ自体が、そもそも理屈的にはおかしいわけですけれども、同じことを別の視点で言うと、サービス公社は市場原理に基づく競争にさらされていないわけですね。その中でたくさん利益が出ている。競争がない中で、区から仕事をもらってもうけが出ているという構造になるわけですけれども、まずこの区の公共施設管理事業のうち、サービス公社が競争を経て勝ち取った事業、そうではなくて競争がない中で仕事を受けている事業、これはどれぐらいの割合になるのか教えてください。 ◎松本 政策企画課長 サービス公社の今年度受託しております区施設の維持管理業務委託のうち、他の事業者との競争の上、受注している施設は、指定管理者制度を導入しております区民会館の六施設で、約一億六千万円になります。そのほかの施設は随意契約でございまして、六十五施設で三十二億八千万円となります。 ◆桃野芳文 委員 御存じのとおり、大半というか、ほとんどが競争のない中で仕事を受けているわけです。では、競争を経て受けている中でも、これまで議会の中で指摘が出ていた部分がありますけれども、その競争の内容は不透明じゃないかというような指摘もこれまで議会から出ていました。  例えば成城ホールの指定管理、これはアクティオという会社がやっていたところがサービス公社に替わったわけですけれども、一次審査では、これまでやっていたアクティオがリードしていたんだけれども、二次審査、プレゼンテーションでひっくり返って、僅差で逆転してしまったということもあって、これは議会でも報告されたときに、どういうことなんだということで様々質疑が交わされたということが経緯としてありました。  そういった中で、令和二年度はまた随分もうけが出たわけですけれども、今後もこうした構造の中で、サービス公社が利益を積み上げていくことになるのか、それともそこに世田谷区として、やはり第三セクターでお金がどんどんもうかっていっている、そこにお金があるというのは仕組み上ちょっとおかしいねということで何か取組をされる意思があるのか、それについてまず聞かせてください。 ◎松本 政策企画課長 サービス公社は、地域社会の発展と区民福祉の向上に寄与することを設立趣旨とする地方公社でございますが、株式会社である以上、一定の利益を出し、株主に配当を出すということも必要であると考えております。過去には配当を確保した上で、剰余金から区への寄附を行ったこともあり、近年では東京二〇二〇大会を契機とした共生社会の実現に寄与するため、令和元年度に区に三千万円の寄附を行っております。また令和二年度には、ボランティアグッズやボッチャセットなど物品の寄附も行っているところです。  また、利益の中から積立ても行っておりまして、新たな事業を開拓するための新規事業開発積立金など将来の投資に備えた準備もしてきております。今後もサービス公社の経営状況や社会の変化、情勢に応じまして、区への寄附や障害者雇用の幅を広げるための設備投資など、利益の還元についてサービス公社と協議をしてまいります。 ◆桃野芳文 委員 かつて寄附ということもありましたけれども、例えば株主配当だって、世田谷区はたくさん株を持っているわけですから、たくさん利益が出ているんだったら、やっぱり配当で戻してもらうとか、少なくとも世田谷区民にとってこのお金をどうするかという視点でしっかり考えていただきたいということと、やっぱり構造的に、競争のない中で世田谷区からどんどん仕事をもらって、それでどんどん利益が積み上がっていく。民間の大体同規模の同業他社に比べてはるかにもうかっている。やっぱりそういう構造は見直すべきだと思うんですよ。世田谷区民のお金でやっている会社ですからね。  かつて塩川正十郎という財務大臣が、母屋でおかゆを食っているのに離れですき焼き食ってるぞということを、特別会計の問題点を挙げて指摘したことがありましたけれども、決してそういうことにならないように、仕組みをしっかりと変えていかなきゃいけないと。余ったお金どうするかということとともに、そもそも仕組みを変えていかなきゃいけないというふうに思います。  それで、九月一日の企画総務委員会で、外郭団体改革の取組状況についてという報告がありました。その中にも、やっぱり見直しが必要だというようなことは書かれています。そこの中で、サービス公社の委託事業は適否を検証して財政的支援を見直していくというようなことが書いてありますけれども、先ほどの売上げの構造、四十億円のうち三十四億円ぐらいが区からの仕事で、その大半三十億円以上が競争のない中で仕事を取っているという中で、この委託事業の適否を検証しなきゃいけないと思うんですけれども、検証するって書いてありますけれども、どれぐらいの規模、どれぐらいのスケジュールでやっていくのか。それがこの九月一日の資料の中には明記されていませんから、それを教えてください。 ◎松本 政策企画課長 今年度進めております外郭団体改革の取組の中で、特に課題を有する団体を特定団体として挙げておりますが、サービス公社もその一つでありまして、集中的に改革を進める必要がございます。具体的な見直しとしましては、サービス公社の基幹業務であります公共施設の維持管理について、今後サービス公社が担っていくべき役割を災害対策など三つの視点で整理しまして、これに当てはまらない十四の施設について、令和四年度以降、順次見直しを行ってまいります。  区から受託しております施設の維持管理業務委託料約三十四億円のうち一・六億円程度の規模の見直しとなる予定でございます。 ◆桃野芳文 委員 三十四億円のうちの一・六億円ですから、ボリュームとしては、外郭団体改革という名前に比べると、やっぱりちょっと物足りないなという気がするんです。そこは、しっかりともうちょっと、今私が申し上げたような指摘を受け止めた上で取組を進めていただきたいというふうに思います。  それと、先ほど来、答弁の中で出てきている障害者雇用についてもしっかりとやっていっていただきたいんです。これは、やっぱり第三セクターたる世田谷サービス公社の役目として、当然これはやっていただきたいということなんですけれども、施設維持管理業務というのは、障害者雇用をしっかりやっていく上で割とやりやすい分野だと思うんです。  仕事が増えてくれば、雇用が増えていく、それは理屈として分かるんですけれども、ただ単にそれを受け皿として使っていくというのでは、少し取組として、ずっと同じことをやっているわけですから成長がないと思うんですよ。なので、例えば障害者雇用をもっと促進していくためにマッチング事業みたいものをやっていくとか、もしくは研修とかトレーニングみたいなことやって、力をより引き出していくとか、ただ単に雇用で受け付けるだけじゃなくて、より伸ばしていく、その人たちの能力を引き出していくような取組も必要ではないかなというふうに思うんですけれども、その辺について考えを聞かせてください。 ◎松本 政策企画課長 障害者の雇用は、企業活動を通じて地域に貢献するというサービス公社の経営基本方針におきまして重点的に取り組んでおります項目の一つとなります。今後もさらに充実をさせていくものと認識しております。  サービス公社におきます障害者の主な従事内容は、今お話しにもありましたけれども、公共施設の日常清掃業務であります。この間、サービス公社独自に、簡易で高品質な清掃方法でありますユニバーサルハウスキーピングシステムを開発するなど、作業負担を軽減し、障害者が行うことのできる仕事の幅を広げてきております。また、就労障害者の障害特性や能力に応じた個別支援プログラムの充実や、就労指導員ですとか就労支援のスキルアップを図るなど、サービス公社としても積極的に取り組んでいるところでございます。  現在、外郭団体改革の取組の中で、サービス公社については障害者雇用の持続可能性確保のための組織体制整備について検討をしているところでございます。こういった動きも含めまして、今後もサービス公社が障害者の雇用の幅を広げ、障害者の社会参加促進に寄与するよう、担当所管として働きかけてまいります。 ◆桃野芳文 委員 一般質問でも触れましたけれども、今、教育委員会のほうで医療的ケア児が通学というか、学校で学ぶのにOriHimeという遠隔ロボットを活用しているという話がありました。これは障害者雇用という局面でも、このOriHimeという遠隔ロボットが非常に活躍しているということが各メディアで取り上げられていますけれども、障害者雇用に力を入れているということであれば、ぜひこのOriHimeを活用いただきたいというふうに思うんですけれども、こういった新しいことも、ぜひ世田谷サービス公社にも区からも提案していただきたいと思うんですが、それについてお答えください。 ◎松本 政策企画課長 お話しのOriHimeですけれども、障害者の社会参加の新たな手法の一つとしまして有効な手段だと認識しております。既に民間や自治体のカフェなどの店舗におきまして実験的な活用を始めているところもあり、実験の結果ですとか、今後の展開を注視していく必要がありますが、サービス公社の事業においても、施設での受付業務ですとか飲食事業などに障害者雇用の場を広げていく可能性もあると感じております。  OriHimeは障害者雇用のみならず、様々な理由で外出することが難しい人にも活用することは可能であると考えております。活用に向けては、解決すべき課題も多々ありますけれども、サービス公社とも情報を共有し、実現の可能性を探ってまいります。 ◆桃野芳文 委員 障害者雇用というキーワードでもこのOriHimeということを検討できると思いますが、あと障害がある人でもない人でも、例えばテレワークというキーワードでも活用できるんじゃないかと思うんですが、今、役所関係でも、神奈川県庁とか群馬県庁とか平塚市役所で、このOriHimeが活用されているということが報道されています。  世田谷区でも、今テレワークということが、コロナ禍でもキーワードになっていますし、当然障害者雇用という切り口でも検討できるんではないかなと思うんですが、世田谷区としてのお考えをお聞かせください。 ◎好永 人事課長 厚生労働省でまとめました令和二年の障害者雇用の状況では、民間企業では雇用障害者数、実雇用率とも過去最高を更新し、公共機関においても雇用障害者数は前年と比べ増加しています。一方で、重度障害者等、移動や外出が困難な方や短時間しか働けない方の就労など様々な課題も抱えております。  お話しのOriHimeを活用した移動等が困難な障害者の就労については、民間企業で導入が進むほか、他自治体でも活用され広がりを見せております。区の障害者雇用におきましても、移動等が困難な障害者の就労の課題の一つであると認識しておりまして、OriHimeもその活用の一つと考えておりますが、実際のOriHimeの活用に当たりましては、活用可能な職務の選定や在宅勤務における勤怠管理のほか、採用選考の方法等、様々な課題を整理して研究していく必要があると考えております。 ◆桃野芳文 委員 田中委員に替わります。 ◆田中優子 委員 桃野委員に替わりまして、田中優子から、災害対策とピクトグラムについて伺ってまいります。  まず、こちらの図を見ていただきたいと思います。これは高松市にある高松琴平電鉄、ことでんの啓発の看板なんですけれども、踏切のバーをいろいろなスポーツに見立てて、走り高跳びをしないとか、ハードルのように乗り越えないでください、乗っかって平行棒みたいにしないでくださいという、ちょっとここまでいくと無理があるかなという感じではあるんですけれども、これは今年の四月に設置された「無理な横断はおやめください」、「踏切が鳴ったら危険です。くぐらない、入らない」という啓発の看板、非常に話題になっているものであります。  ピクトグラムと言えば、東京オリンピックの開会式に使われまして非常に注目されていたんですけれども、このことでんは四月なんですね。オリンピックの前に、もうこういうアイデアを使っていたと、すごいなというふうに思いました。  そして、ピクトグラムの代表と言えば、逃げる人、非常口で使われているものがあります。こちらです。これは、もう誰もが知っているピクトグラムになっていると思うんですけれども、実はこれ、間もなく三十年になります日本発国際規格というもので、デザインの基になったアイデアは、三千余りの中から、識別性テスト、デザイン評価、心理テスト、照明実験、煙の中での見え方テストによる審査を経て、そして選出されました。  一九八七年、ISOに日本発国際標準化規格として安全標識に組み込まれる。以来、日本が生んだ世界標準デザインとして現在まで使用されているということを、私も実は最近知ったんですけれども、これは日本発祥だったということを知らない方も結構いるのではないかと思うんですね。今では誰もが知っているデザインです。  災害対策に合せて伺うんですけれども、実はこのデザインというのは、日本発だけではなくて、世田谷発祥なんですということもあまり知られていないのかなと思います。私も、劇団・せたがや創作紙芝居をやっている中の作品で、デザインの力というものがありまして、それで知りました。世田谷区にある多摩美術大学の太田幸夫教授が発案したものだそうです。  それで、災害対策と言えば、今日もすごい大雨なんですけれども、ここ数年、台風やゲリラ豪雨の被害がどんどん広がっておりまして、大雨警報が出ると本当に私たちも、それから職員の皆さんも非常に心配な状況になります。  私は、二〇〇九年、二〇一〇年と続けてまるごとまちごとハザードマップの提案をしております。それは、地域で水害が発生したらどれほどの浸水になるか、避難所はどこかなど、まちを歩いているだけで分かるようにすべきである、そういう看板を設置するというものです。私が議会で取り上げた十年以上前なんですけれども、まるごとまちごとハザードマップといっても、まだほとんど認知されてもいませんでしたし、当時、区は、そんなマイナス情報を公にしたら不動産価値が下がってしまうという声がある、地権者への利益侵害の懸念があるという非常に後ろ向きな答弁でありました。  しかし、(「今でもある」と呼ぶ者あり)今でもあるという声もありましたけれども、今では、でも最低限、多摩川流域には想定浸水深さ五メートルという注意喚起の標識が電柱にくくりつけられていたりしていますので、随分進歩はしたのかなという気はしております。  ただ、災害は水害だけではなく、水害に関しては一部の地域であり、天気予報もあるので、ある程度は前もって準備できるという部分はあるんですけれども、区内全域に被害が及ぶ可能性がある大地震、震災、首都直下地震、いつ起こるか分からない、でも必ず来ますと言われているものがありますから、日常的に備えておかなければならないというふうに考えます。  現在はコロナ禍ということもあり、外国からの観光客はほとんどない状況ではありますが、収束すれば、また外国の人たちも民泊を利用して、結構世田谷区などにもたくさん訪れる可能性があると思うんです。災害用のマップとか、アプリとかを開こうとしても、例えばもう全然電源がないとか、あるいは混雑してつながらないとかそういうこともありますから、町なかを歩いているだけでどこが避難所か分かるという状況にしておくことが重要だと思うんです。  先ほどの逃げる人のピクトグラム、これも世界規格ですから、誰が見ても、それがあればこっちなんだとすぐ分かるわけですね。他自治体では、工夫を凝らして町なかで避難所や広域避難場所の案内表示を行っているところがあります。当区においても、外国からの訪問者のみならず、たまたまその地域を訪れたとか、地域住民であっても日頃からあまり関心がなくて自分の広域避難場所を知らないという人も結構多いと思うんです。ですから、町なかの案内表示板、これはとても重要なもの、必要なものだと考えます。  例えば、こちらは川崎市の町なかにある看板なんです。麻生中学校が避難所ですと、今いるところから三百五十メートル、方向はあちらというふうに矢印が描かれてありまして、先ほどのピクトグラムで逃げる人のところで避難所を示しています。こんなふうになっているんです。  いいなと思ったのは、この中に、こちらにありますが、麻生中学校は、現在地から地図がこう描いてありまして、歩くべき道の矢印もついていて、ここに行けば大丈夫ですと、本当に言葉が分からなくても、子どもでも誰でも分かるように、きちんと記されています。  その地図の部分なんですけれども、ちょっと大きくしました。ここまで描いてあると、本当にその地理的な知識がなくても誰でも逃げられます。避難所がどこだか分からなくても、これですぐに分かるというものになっています。  世田谷区でも、このような町なかでの避難所とか広域避難場所の案内板が必要だと思うんですけれどもいかがでしょうか。 ◎長谷川 災害対策課長 ある地点から見まして、必ずしも一時集合所、広域避難場所、指定避難所、水害時避難所が同一の方向にあるとは限りません。それぞれの場所への矢印の案内が混ざって表示されると混乱するおそれがございます。そのため地図のような形でお示しをする必要があると考えております。  しかしながら、地図を掲出するとなりますと、ある程度の大きさや耐久性などを考慮する必要がございまして、そのような掲示板の設置場所を確保することが課題であると考えております。 ◆田中優子 委員 いろいろあるんですね。避難所も種類がたくさんあって複雑かもしれないんですけれども、避難に関連した施設や場所の全てを表示する必要はないと思うんです。例えば浸水の被害がない地域であれば、災害、震災のためだけの避難所でいいわけですし、まずそういう一番シンプルなところから区民の生命と安全を守る上での必要最低限の情報をこういう町なかに案内してほしいというふうに思うんですけれども、そういうことはできないでしょうか、伺います。 ◎長谷川 災害対策課長 これまで様々な手法で広域避難場所などの周知に努めてきたところではございますが、御提案のように、地域や案内する情報を絞り込むなど上で、生命と安全を守るための的確な避難行動を促す工夫というものを今後も検討する余地があるものと考えております。 ◆田中優子 委員 検討する余地があるというのは、余地はあるんだけれども今はしないということなんでしょうか。できるところから始めるという発想がなければ間に合わないですよ。いつ来るかも分かりません。先ほどの川崎市のほか、杉並区でも同じように丁寧な案内板を掲示しているんです。実際やっている自治体はあるわけですから、世田谷区でできないはずはないというふうに考えます。これはぜひやっていただきたいと思うんです。  例えばほかの地域の方々が多く訪れるような場所というのも区内にはあると思います。そういうところを優先的に、初めて訪れる方、言葉が分からない方などでもすぐ分かるように、ピクトグラムを使ったせめて広域避難場所、その方向を示す案内の掲示、まずそこから進めていくことを取り組んでいただければ、最低限いざというときにパニックにならず、被害の拡大を防ぐことにも有効ではないかと思います。  基礎を打って立ているような物すごくしっかりした大きな看板を、案内板をつくれと。それは限界があるかもしれませんが、例えば地域の中で公共施設だってありますから、そういうところに掲示したり、地域の方々が自主的に掲示できるような簡易のものをつくることはできないでしょうか、お聞きします。 ◎長谷川 災害対策課長 掲示する場所によりましては、地図のような形での案内がふさわしい場合もある一方、広域避難場所に絞りまして、方向や距離、これを誰が見ても分かるように、ピクトグラムを使った簡易な表示がふさわしい場所など様々あることと考えられます。今後地域の方々の御協力も視野に入れて工夫を考えてまいります。(「もっと積極的な答弁できないのかよ」と呼ぶ者あり) ◆田中優子 委員 本当ですね。考えてまいりますじゃ、間に合わないですよ。もうぜひ具体的に検討に入ってください。これは強く要望しておきます。  次に、日常からの備蓄についてですけれども、私は令和元年、二年前、二〇一九年にフェーズフリーという言葉を初めて議会で紹介いたしました。本日、午前中の平塚委員の質問でも取り上げられていたんですけれども、フェーズフリーとは、いつもともしもをもっとフリーにする、つまり平常時と非常時の垣根を取り払うという概念であります。平常時に使っているものを災害時にそのまま使えれば、慌てることなく災害時でも対応できるというものです。  これを、食料や水などの備蓄品に置き換えると、最近ではローリングストックという言葉が使われています。ローリングストックとは、缶詰など非常食になるものを消費期限が来る前に食べて、食べたら買い足すということを繰り返して、常に家庭に新しい非常食を備蓄しておくという方法です。  実はこのコロナ禍にあって自宅療養となってしまった方が、災害時用に準備しておいた非常食、備蓄食料や日用雑貨があって本当によかったと言っていました。逆に何も備えていなかった人は、自宅療養、軽症ではあるけれども外に出ちゃいけません、あるいは濃厚接触者で外に行かないでくださいと言われてしまった人たちは、何もなくて本当に困ったと。しかも、ピーク時は東京都からの食料品が届くまで一週間から十日もかかったんですね。本当に困った、こういうときに災害時の備蓄品が役に立つんだということが改めて分かったわけです。  そのような意味からもローリングストックは非常に大事だと思いますが、まだまだ大勢の区民の方々に知れ渡っていないのではないかと思います。この普及啓発に取り組むべきだと思いますが、いかがでしょうか。 ◎長谷川 災害対策課長 区といたしましては、自然災害に対する備えとしてのローリングストック、これを推奨する切り口だけではなく、様々な場面で役立つものであることをより強調していきたいと考えております。例えばコロナ感染予防をはじめ、区の行う様々な啓発活動、例えば環境対策や食品ロス削減などの周知啓発の際に、併せてローリングストックをアピールするなどの工夫に取り組んでまいります。 ◆田中優子 委員 災害対策にも食品ロス削減にも役立つので、ぜひ啓発を進めてください。  最後に、避難所の開設、設営について伺います。  当区では避難所の開設、そして運営を地元町会・自治会の方を中心に任せているんですけれども、負担が大き過ぎるという切実な訴えが何人からも届いています。町会・自治会は全体的に高齢化しており、自分たちも被災する可能性がある中で、避難所の開設と運営全てを任されるのは非常に厳しいのは当然のことと思います。  そこで、運営はともかくとして、まず設営です。開設だけは民間会社に委託することを考えてみる必要があるのではないかと思います。そうすれば、どれだけ確実に開設ができることでしょうか。区民の方々も安心だと思います。そして、区民負担もかなり減ります。区として抜本的な改革を考える、そういう時期に来ていると思いますが、見解を伺います。 ◎長谷川 災害対策課長 区といたしましては、町会・自治会の役員の方々だけではなく、指定避難所の運営を担うのは、避難者を含めた区民が運営組織の方々と協力をして、一体となって開設運営していく必要があると考えてございます。こうしたことから、各地域では地域の方々に声かけして訓練に取り組むなど工夫に努めております。区としても、運営に関わることを広く周知に努めてまいります。  御提案の外部委託につきましては様々課題がございますが、これまでの発想に捉われず様々な手法について研究に取り組んでまいります。
    ◆田中優子 委員 具体的な答えがないんですけれども、初めての提案ですので、これはしっかり真摯に受け止めていただいて、そういうことが外部委託できるかどうかという視点でぜひ検討していただきたいと思います。課題があるのは当然です。でも、抜本的な改革がここで必要だと思います。それを強く強調し、要望もして、無所属・世田谷行革一一〇番・維新の質問を終わります。 ○加藤たいき 委員長 以上で無所属・世田谷行革一一〇番・維新の質疑は終わりました。     ──────────────────── ○加藤たいき 委員長 引き続きまして、日本共産党、どうぞ。 ◆江口じゅん子 委員 日本共産党の質疑を始めます。  私からは、国分寺崖線の下にある、特に成城三丁目、四丁目、喜多見八丁目などの避難できる避難所確保について伺います。  等高線地図で説明をします。この濃い茶色が、崖線上の成城の住宅街になります。高さ四十から四十五メートルの高台です。色が変わるごとに五メートルずつ下がります。オレンジ色、ベージュ、黄色と下がって、黄緑色の崖線の下になり、ここの崖線下と成城の崖線の上では二十メートル高低差があります。等高線の幅が狭いことも分かると思います。それだけ坂道が急ということです。  これは野川です。これが小田急線。野川と小田急線を挟み、ざっくり言うと、これが成城四丁目、三丁目、喜多見九丁目、八丁目。地図にはないんですが、こっちが成城学園前駅で、さらにその奥に水害時、土砂災害時の避難所となる砧支所があります。  この崖線下の地域では、令和元年の台風十九号、また今年夏の豪雨など、近年、大雨や土砂災害など警報の発令が多くなっています。しかし、地域の方からは、大雨の中、高低差二十メートルの長い急な坂道を上って崖線の上に出て、さらに砧支所まで行くのに、大人の足で二十分から三十分もかかる。年寄りも小さい子どももいる、とても行けない、何とかならないかなどの声が多く届いています。  台風十九号の際は、喜多見八丁目、野川沿いの方から、妻は車椅子、電車も止まり車もない。避難しろと言うが、砧総合支所まで行けないとSOSの電話も来ました。大雨の際、二階の垂直避難も可能ですが、地域には平家、アパート、マンションなど集合住宅もあります。野川の目の前に住む方からは、二階の避難を考えているが、想定外の災害が多くなっている、今のうちに喜多見駅周辺で避難所を確保できないかとの要望も伺っています。  早めの避難、また縁故避難なども重要で、私も警報発令時、この地域の方々に早めの避難を呼びかけます。しかし、高齢で足も悪いのに食料を持って坂を上がって支所までとても行けない、支所にはで横になる場所もないでしょう、早めの避難と言われてもとか、うちは三世帯の六人家族、子どもも小さい、縁故避難できる知り合いもいないしとか、避難をちゅうちょする方が多くて、早めの避難をしない、できない方がとても多いと実感しています。  豪雨時、野川氾濫の可能性があるので、崖線上の垂直避難は承知をしています。しかし、それが困難な物理的条件と、地域の方々は介護など様々な事情を持っています。命最優先で早めの避難を実現する方策の一つとして、例えば喜多見駅前のサミットと災害協定を結ぶなど避難しやすい避難所確保を求め、伺います。 ◎長谷川 災害対策課長 水害時の避難所は、風水害対策総点検の中で、区民の皆様や区議会の御意見をいただきながら、多くの方々が安全に避難できるよう計画したところでございます。避難所までの安全な避難ルートは確保されるかなど、地域の御意見を踏まえながら開設する施設を決めた経緯がございます。当該地域では、その他、喜多見地区会館を土砂災害の予備避難所としており、八月十五日のような浸水害の避難指示を伴わない土砂災害単独の避難指示が発令されるなどしておりますことから、今後活用していきたいと考えております。  水害時避難所は、区の職員が交代で運営に当たる体制を基本としております。地域住民のお力もお借りしながら運営することとしておりまして、避難所ごとに個別調整を行ってございます。避難所の拡充を検討するとした場合には、区職員の配置ですとかそういったことを精査の上で、地域と意見交換をしながら役割分担等検討する必要があると考えてございます。  このような背景があることを踏まえつつ、地域から水害時の避難所に係る御要望などがありました場合は、関係所管と連携いたしまして、安全を最優先とした適切な避難行動につなげていくための様々な工夫について検討するとともに、改めて周知啓発などに努めてまいります。 ◆江口じゅん子 委員 検討を進めてください。中里委員に替わります。 ◆中里光夫 委員 では、私からは財政について質問します。  コロナ禍で非正規雇用で働く人たちの仕事が奪われ、まともな保障のないままの自粛要請が、飲食をはじめとした中小企業、個人事業主、文化芸術、イベント関係者を追い詰めていると。八月に出された区内経済状況についてを見ましても、区内の小売業、昨年十―十二月の業績、マイナス六一・四ポイント、大変大きな打撃を受けています。  今年初めに私たち区議団でアンケートを行って、生活が苦しいという方が五〇%を超えていると。また最近は、デパートの催し物の仕事をしてきたけれども、仕事がなくなって、住宅確保給付金などを利用してきたがもう先が見えない。こういう相談も寄せられ、生活保護の申請をする例なども増えてきています。区民や中小事業者の暮らしを守るための必要性が増していると。一方、この間、ネウボラなどの子育て支援の展開や保育や介護の需要増に応えた施設の整備、児童相談所の開設など、区が行う事業は拡大をしてきました。  区の財政には限りがあります。財政運営では、一つとして、国などから財源を獲得する努力、二つとして、区として何を優先し選択するのか、方針を明確にする中で、財源を生み出す努力と工夫が必要です。コロナ禍から区民生活を最優先に守っていく財政運営を求めて質問していきたいと思います。  決算が示されました。基金残高は過去最高一千百十九億円、令和二年度の実質収支は百三十九億円、今年度の繰越財源として確定しました。第三次補正予算で庁舎等整備建設等基金へ五十億円の積み増しをしたと。特別区債発行の抑制を図るためと区は説明していますが、そもそも区民生活に影響を与えない庁舎整備の財政計画と言ってきました。さらに余裕を持たせるための積み増しができるほど、現在の財政は健全だということです。区財政の現状についての基本認識を伺います。 ◎五十嵐 財政課長 令和二年度決算におきます区の財政状況は、実質収支は前年度から四十一億円増の百三十九億円となりまして、財政健全化法による健全化判断比率も四つの項目でいずれも適正の範囲内となっております。また、令和二年度末時点での基金残高は一千百十九億円、前年度から五十八億円増となりまして、このうち財政調整基金の残高は三百八十一億円ということで、いずれも過去最高額となったところでございます。  一方、見方を変えまして、財政調整基金残高の当初予算規模に対する割合という視点で見ますと、この割合は世田谷区の場合一二%となっておりまして、これは二十三区中十九番目という低さでありまして、余裕のある状況とは言えないと認識しています。また、一方で、単年度の財政指標や基金残高を見ますと、区の財政状況は健全の範囲内だと言えるという認識でございます。 ◆中里光夫 委員 現状は、財政は健全だと、お金はあるということです。しかし、区は中期財政見通しや財政シミュレーションで、実際に実態に合った見せ方や説明が不十分だと言えると思います。  公共施設等総合管理計画一部改定案が出されていますが、区債残高、償還額、基金残高の再シミュレーションが示され、基金は来年度から減り続け、令和十六年頃からは、区債残高は一千四百億円程度で高止まりするという予測が出されています。貯金は減り、借金が増えて大変だと危機をあおるようなシミュレーションだと言えると思います。  しかし、区債残高一千四百億円は、一年前に出てきた資料、総合計画管理一部改定素案には、区の財政規模を踏まえれば過度な特別区債残高ではないというふうに記載されていますが、まさにそういう金額です。また、これまで繰り返されたシミュレーションはいつも次の年から基金は減る見通しが示されている。しかし、実際には、年度末に予算の使い残しを基金に積み上げて、毎年毎年最高を更新している。毎年積み増ししているのに、その実態を反映しているシミュレーションになっていない。実態に合わせた財政の見通しの改善、そして区民説明を守ることの徹底を求めますが、見解を伺います。 ◎五十嵐 財政課長 委員お話しの公共施設等総合管理計画一部改定案におきましては、重点方針等により経費の抑制を図ったものの、中期財政見通しの更新におきまして、特別区税の今後の見通しは不透明であることから令和三年度と同額で見込んだことなどによりまして、財政見通しを踏まえた特別区債残高及び基金残高の再シミュレーション結果として、令和二十八年度の特別区債残高が一千四百七十六億円、基金残高が三百二十一億円となってございます。  こうした長期的な見通しにつきましては、令和六年度に予定している先ほどの計画の本改定に向けた検討の中で財政見通しを踏まえ、区債残高、基金残高のシミュレーションも更新してまいります。  中期的な区債残高、基金残高のシミュレーションにつきましては、毎年一月に予算案に基づく更新を行い八月に決算と翌年度予算フレームを踏まえた時点修正を行っているところです。今後も地域経済の動向、あるいは区の財政需要など、その時点時点における区財政の影響を見極めながら適宜更新し、お示ししてまいります。 ◆中里光夫 委員 適時更新しながら、細かく見直しもこれまでもやってきましたけれども、やはりそのたびに、基金の額で言えば、次の年から下がるというのが示されて、現状は上がりましたというのがずっと繰り返されてきた。やはりこの実態をきちんと区民に説明する必要があるということを指摘しておきたいと思います。  区政運営は何よりコロナから区民の命と暮らしを守ることを最優先とする必要があります。困窮世帯への支援に踏み出したことを評価します。また、ワクチンや大規模検査、保健所や医療の体制強化など感染対策、区民や事業者の暮らしと営業を支える支援、さらに医療や介護、子育て、障害者福祉など、コロナ後を見据えたケアを支える区政の推進、気候危機打破、持続可能な社会のための取組を進めることです。  ふるさと納税など国の不合理な税制改正をただして、国の姿勢を変えさせ、財源を確保することも必要だと思います。区民の命と暮らしを最優先にする区政運営、財政運営が必要です。区財政の運営で何が重要で、どのような選択をするのか、副区長の答弁を求めます。 ◎中村 副区長 区財政の運営についてです。区ではこの間、コロナ禍における厳しい財政状況の中、事務事業の見直しや補正予算と組み合わせた複数年による予算の対応など様々な工夫を凝らすとともに、国や都の財源を最大限に活用し、PCR検査体制の確立や医療機関への支援、生活困窮世帯や子育て世帯への支援、区内事業者の事業継続のための支援など、区民生活の安全と安心を守り抜くことを最優先に区独自の施策を行ってきたところです。  感染症の影響による大幅な減収に加え、ふるさと納税による七十億円もの税源流出が見込まれる中にあっても、区は感染拡大防止対策と区民生活支援、社会経済活動の両立を図りながら、区民サービスを維持していく責務があると考えます。  区政運営に当たりましては、引き続き、不合理な税制改正に対し声を上げて、地方税財源の充実強化、また、地方創生臨時交付金の継続など、必要な財政措置を国や都に求めてまいります。また、公的責任、参加と協働を踏まえた行政経営改革の取組を一層推進し、必要な財源の確保に努めながら、現在策定中の未来つながるプランに掲げます四つ柱の取組を着実に進めて、区民に身近な区として、区民の生活や事業者の活動を支えてまいりたいと考えます。 ◆中里光夫 委員 区民の命や暮らしを支える、それは本当に最優先に進めていただきたいと思います。  では次に、未来つながるプラン素案が出されていますが、それについての質問です。  区民の暮らしや福祉最優先の区政の発展を求め、このつながるプランの行政経営改革について、まず伺います。  今実行している新実施計画では、自治の推進と独自性のある自治体経営の確立に向け、低所得者への配慮の観点を踏まえ、区民の視点に立った改革を着実に推進する、こういう記述があります。そして、その方針の第一に、区民に信頼される行政経営改革の推進を掲げています。そして、その推進のために、視点二として、自治の推進と情報公開、区民参加の促進があります。  しかし、このつながるプランでは、この位置づけが大変弱く、新実施計画の前進面を踏襲した行政経営改革の明記が必要だと考えますが、見解を伺います。 ◎髙井 経営改革・官民連携担当課長 区はこれまで、公正性、公平性や成果に基づく評価の観点とともに、低所得者等への配慮の観点を踏まえ、区民の視点に立った行政経営改革を進めてまいりました。昨年度、全庁を挙げて実施いたしました施策事業の本質的な見直しにおきましても、区民、利用者の視点に立って、様々な角度から一つ一つ丁寧に検証を行い、コロナ禍で苦境に立つ区民生活への影響を見定めながら取り組んできたところでございます。  未来つながるプランにおきましても、引き続きこれまでの考え方を堅持するとともに、区民サービスの向上や参加と協働による地域行政の深化を進め、さらには自治の推進と情報公開、区民参加の促進をこれまでと変わらず基礎におきまして、区民に信頼される行政経営改革を推進し、持続可能な区政運営の確立を目指していくというふうに考えております。 ◆中里光夫 委員 自治の推進と情報公開、区民参加の促進をこれまでと変わらず基礎に置いて進めていくということですから、この計画の中にしっかり書き込んでいただきたいということを求めていきたいと思います。  次に、行政経営改革は、区民に信頼される区政運営への改革が目的です。公会計制度の運用も始まりましたが、これは単なるコストカットの道具ではありません。公会計制度については、さきの一般質問で、費用対効果のみでは評価できない事業の効用なども見極め、行政経営改革に取り組む必要があるという答弁もありました。つながるプランにしっかりと記述するべきだと考えますが、いかがでしょうか。 ◎髙井 経営改革・官民連携担当課長 事業の評価検証に当たりましては、成果の達成状況や新公会計制度に基づくフルコストなど客観的な手法に基づく分析とともに、社会状況や区民ニーズを踏まえた事業の意義や効果など、数字で表すことのできない定性的な視点を併せ、総合的に評価検証を行うことが重要であると認識しております。これらのどちらかに偏重することなく、両方のバランスをしっかり取って事業の本質や在り方を見定めていく必要がございます。  未来つながるプランにおきましても、この考え方を堅持いたしまして、今後の案をまとめる段階にて明記してまいります。 ◆中里光夫 委員 しっかりと書き込んでいただきたいと思います。  また、つながるプランの行政経営改革の取組に、民間活用と官民連携によるサービス向上とコスト縮減というところで、図書館運営と区立図書館の在り方という明記がされています。図書館は、この視点六の民間活用と官民連携によるサービス向上とコスト縮減に位置づけられているんですが、確かに図書館の民間活用は今後の図書館運営の柱の一つだということです。しかし、昨日、区長に共産党の質問で確認したとおり、次の行動計画で、区立図書館の民間活用は、運営面での長所や短所も十分に検討していくということをおっしゃっています。一方では評価検証をこれから行う、一方では行政経営改革で民間活用に位置づけられている。これは矛盾するんではないでしょうか、伺います。 ◎髙井 経営改革・官民連携担当課長 区立図書館についてでございますけれども、世田谷区立図書館運営体制あり方検討委員会での検討プロセスで、区民や専門家の意見を反映させまして、民間のノウハウや創意工夫によりまして利用者に対するサービスや利便性の向上が期待されることから、施設の設置者としての公的責任の下、今回新たに地域図書館二館に、モデル的に指定管理者制度の導入を進めており、指定管理運営の中で評価などをしていくこととしているところでございます。  これらを踏まえて、未来につながるプランにおいても、引き続き視点の六、民間活用や官民連携によるサービス向上とコスト縮減に位置づけております。 ◆中里光夫 委員 モデル的に進めるというような話ですけれども、やはりこういった項目、検討すると一方で言っていて、一方で民営化推進、行革計画に乗っかっているというのは矛盾していると。これはこの項目に載せるべきではないということを指摘しておきます。  また、区立保育園の今後の在り方も、行政経営改革の視点七、施策事業の効率化と質の向上に位置づけられています。区立保育園は保育の質のスタンダードであり、保育の質を守るための役割、セーフティーネットとしての役割の充実など議論をされてきました。こういった区の責任を果たすためということで議論されてきた問題を、そもそも行政経営改革のテーマにすること自体がなじまないということを指摘しておきたいと思います。  次に、つながるプラン、住民自治、民主主義の観点についてです。  保坂区長は、これまで参加と協働を掲げてきました。それは、主権者である区民が地域の主人公として、区政や地域の問題に関わっていく、区はその前提となる情報公開を進めることや、住民自治の推進に努力してきた。そして、新実施計画では、重点政策の中で豊かなコミュニティー活動の発展と住民自治の推進ということが位置づいていました。ところが、つながるプランの四つの柱からは、住民自治の推進の言葉が消えているんです。  地域行政推進の施策の方向性にも、様々な区民が地域の担い手として一層関わっていく地域社会を目指しますとあって、これは住民を地域の担い手としてのみ見る見方になっているんじゃないか。この間の地域行政推進条例の検討状況でも、地区や地域協議会の仕組みの記述もなくなっている。区は、住民は意見を出して、地域の担い手として参加すればよい、決めるのは行政だ。そんな姿勢になってはいないか。そうであれば、これはまさに民主主義の後退だと言えると思います。DXでは、参加と協働のRe・Designとありますけれども、参加と協働の性格まで変えてしまうんじゃないかと大変心配しています。  つながるプランで民主主義を守り発展させる姿勢、情報公開と住民参加、住民自治を推進する、これをきちんと書き込むべきだと思いますが、見解を伺います。 ◎松本 政策企画課長 四つの政策の柱に位置づける施策につきましては、基本的に令和四年度、五年度に重点的に取り組む必要がある組織横断的連携や、区民事業者等との参加と協働により推進するものを考えており、参加と協働は全ての施策の土台となっていると認識しております。  未来つながるプランでは、四つの政策の柱に基づく施策として地域行政の推進を位置づけ、また行政経営改革の十の視点においても、自治の推進と情報公開、区民参加の促進を掲げております。参加と協働をさらに発展させていくためには、区民が主体となって区政や地域の課題に関わっていける住民自治の推進を図ることを目指し、あわせて、区民への情報公開、情報提供の充実を図るとともに、区民参加の機会を多様化していくことが不可欠であると考えております。  引き続き、参加と協働による取組を一層推進していくとともに、今後、デジタル技術の活用により、参加と協働のさらなる多様化を実現していきたいと考えております。 ◆中里光夫 委員 重要である、位置づけているというのであれば、しっかり書き込んでいただきたいと思います。  最後に、高齢者介護の基盤整備の位置づけがなくなっていると。新実施計画では、一体的な提供体制の構築、高齢者の暮らしを支える、介護基盤の整備が位置づいていました。ところが、このプランではその記述が消えています。しっかり書き込むべきと思いますがいかがでしょうか。 ◎松本 政策企画課長 こちらについては分野別計画のほうで進行管理をしておりますので、一覧としてプラン上ではお示ししてまいります。 ◆中里光夫 委員 重要な問題です。 ○加藤たいき 委員長 以上で日本共産党の質疑は終わりました。  ここでしばらく休憩いたします。     午後一時四十七分休憩    ──────────────────     午後二時五分開議 ○加藤たいき 委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  生活者ネットワーク、どうぞ。 ◆金井えり子 委員 生活者ネットワークの企画総務所管の質問を始めます。  ジェンダー不平等は災害リスクを広げる。これは、減災と男女共同参画研修推進センター共同代表の浅野幸子さんの言葉です。  昨年、私も浅野さんのお話を伺いました。二〇一六年の熊本地震の際、関連死は直接市の四倍以上が認定されました。被災のショック、過酷な避難生活などから体調を崩し悪化、死に至るケースがありました。性別、立場によって違う避難生活上の問題を解決するためには、地域の多様な人材、意見が必要ということが分かったそうです。例えばトイレ、プライバシーへの配慮、コミュニケーション、防犯対策にも女性の視点は欠かせません。  政府は二〇二〇年までに防災会議の女性委員比率三〇%という目標を掲げましたが、なかなか進まず、二〇二五年までに先延ばしになりました。二〇二一年二月、東京新聞が首都圏の主な三十一市区の防災部門の常勤職員、防災会議委員の女性比率についてアンケート調査をしています。防災部門の常勤職員の女性比率は、港区が三五・七%、台東区三一・三%、文京区三〇・〇%で、その他の二十八自治体は三割に届きませんでした。防災会議委員の女性割合は豊島区の二五%がトップですが、この豊島区、防災部門女性常勤職員は何とゼロ%でした。  この調査の中で、世田谷区の防災部門の常勤職員の割合は一八・八%、防災会議委員は一五・一%となっています。世田谷区の現状を伺います。 ◎長谷川 災害対策課長 内閣府男女共同参画局は、男女共同参画の視点からの防災・復興の取組指針におきまして、防災担当部局の担当職員について、その男女比率を少なくとも庁内全体の職員の男女比率に近づけることや、管理職への登用など女性職員の採用、登用の促進に取り組むことを示してございます。庁内の各所管は日常から災対各部として災害対策を担っており、全体としては庁内全体の職員の男女比率に近づけることは達成できているものと考えております。しかしながら、一方では災害対策課の管理職、常勤職員につきましては、男性十三名に対し女性三名となっているところでございます。 ◆金井えり子 委員 庁内全体の職員の男女比率に近づけることというのが達成できているということですけれども、災害対策課、十三名対三名ということで、防災に女性の視点を入れるということは、意思決定の場に女性が入るということを意味すると思います。防災部門の職員、会議などでは女性比率を上げるべきと考えますが、今後の展開を伺います。 ◎長谷川 災害対策課長 区といたしましては、女性職員が防災担当職員として配置されることによりまして、災害対策の検討に当たって女性の視点からの気づき、指摘が得られること、また女性防災コーディネーターや女性防災士との円滑な連携などの利点があると考えております。  防災施策の決定過程における男女共同参画の推進を図る上では、現在の体制が適切な男女比率となっているか、また女性職員の視点が生かされているかについて検証する余地があると考えられ、これらの検証、また適切な男女比率の在り方について、今後関係所管と連携して取り組んでまいります。 ◆金井えり子 委員 ぜひ検証する余地はあると思いますので、お願いいたします。  今、女性防災コーディネーターという言葉が出てきましたが、この女性防災コーディネーターの育成と活用についても伺います。  一期生修了三十八名が誕生いたしましたけれども、コロナの影響で思うように活躍できなかったと聞きました。この一期生の方々をどのようにしてつないでいるのか伺います。 ◎長谷川 災害対策課長 区は、平成三十年度から令和元年度にかけ、世田谷女性防災コーディネーターの養成に取り組み、三十八名のコーディネーターの方々に各地区で多様性に配慮した女性の視点からの防災の意識の普及啓発に努めていただくこととしておりました。しかしながら、今般のコロナ禍によりまして地域での活動がしにくい状況が続き、当初目標としておりました令和三年度までに区内五地域での地域啓発研修の実施には至っていないという状況でございます。 ◆金井えり子 委員 女性の視点、本当に必要です。意思決定の場にももちろん必要ですけれども、現場の避難所にも欠かせないものだと思います。世田谷区の避難所運営マニュアルにも、各担当責任者や各担当員に女性が少なくとも三割以上は参画することが望ましいとあります。女性防災コーディネーターがリーダーシップを取れば地域の女性も参加しやすくなります。女性防災コーディネーターの数、避難所の数からすると本当に全く足りない、もっと増やすべきです。二期生の養成が必要と考えます。見解を伺います。 ◎長谷川 災害対策課長 女性防災コーディネーターの活動が十分できていない状況もございますことから、委員お話の次期の女性防災コーディネーターの可能性を含めまして、今後の方向性を検討するに当たりましては、改めて活動実績を積み上げていく必要があると考えております。  活動の再開の支援とともに、総合支所などとも連携しながら、身近な地域における活動の場を提供するなど、適切なフォローアップを行いまして、活動の実績を積み上げることで、来年度以降、できるだけ早期に今後の方向性を定めまして、多様性に配慮した女性からの視点による災害対策の普及推進を加速させていきたいと考えております。 ◆金井えり子 委員 本当にこのコロナ禍で進めにくいことではあるとは思いますけれども、そういったところで必要なものがどんどん減らされていってしまう、進まなくなってしまうというのは本当によくないことだと思います。ぜひぜひ女性防災コーディネーター、多く増やしていっていただきたいと思いますので、今後どのように増やすのか、例えば計画数なども掲げていくことを求めます。  また、防災の備蓄品についても、女性が入って、アレルギー対応食や、サイズを配慮したおむつ、離乳食と一緒にスプーンをつけるなど改善が進んだという例があります。備蓄品もどんどん新しいものが出てきています。定期的な見直しも必要です。備蓄品の見直しの際には、女性の声、それこそ女性防災コーディネーターの声などを入れるとよいと思います。区の見解、伺います。 ◎長谷川 災害対策課長 備蓄品につきましては、調達しやすいもの、安価なもの、多くの方々が食べやすいもの、栄養面などを勘案いたしまして選択をしてまいりました。加えまして、備蓄スペースに限度がございますことから、製品の大きさなどを考慮し、備蓄品を決定してきた経緯がございます。また、ビスケットなどの物量が多いものにつきましては、複数年をかけて入替えをしてございますので、備蓄品の均一化などの観点から、これまで大幅な見直しはしてきておりませんでした。  しかしながら、多様なニーズがございますこと、またこういった備蓄品の製品の充実が進んでいることから、トレンドを踏まえた研究の上で物品を選択する工夫が必要であると認識しております。  見直しに当たりましては、女性の視点を併せて生かすことで、より多様なニーズへの細やかな配慮などが期待されます。例えば女性防災コーディネーターに御協力をいただくことができないか、また、それに当たって想定される課題の抽出など今後取り組んでまいります。 ◆金井えり子 委員 ぜひよろしくお願いいたします。  その備蓄品なんですが、昨年、備蓄品の生理用品について、備蓄品の入替えのときに廃棄せず、例えば学校やらぷらすなど、必要とする方に使っていただけるよう提案しました。これはうまく回った事例があるのか伺います。 ◎長谷川 災害対策課長 これまで指定避難所や広域用防災倉庫に備蓄している生理用品、こちらは配備後、十年で入替えをすると同時に廃棄してまいりましたが、今後はメーカーの推奨期間、三年で入れ替えまして、この三年サイクルで入れ替えたものは再利用することとしてございます。この新たなサイクルによる入替えは、令和四年度から予定をしてございまして、次回入替え時期は令和七年度となります。この入替えから、生理用品の再利用を図ってまいります。 ◆金井えり子 委員 生理用品などの備蓄品、学校などと連携して、防災備蓄の回転ができるとよいと思います。これは以前も提案させていただきましたが、見解を伺います。 ◎長谷川 災害対策課長 生理用品の再利用に当たりましては、学校等と連携をいたしまして、入替え品を提供することを想定しているところでございます。ただ、備蓄量が限られること、また三年に一度の入替えサイクルであることを考慮しながら、需要量とどのようにバランスを取っていくかについて、関係所管と連携して検討してまいります。 ◆金井えり子 委員 ぜひそうしていただいて、一つのところでやっている縦割りではなくて、本当にいろんなところと連携していただきたいと思います。  この備蓄品のことなんですけれども、これもほかのところと連携をお願いしたいところで、食品について、今までは防災訓練とかイベントなどの際に配布したりということもしていたかと思うんですが、コロナ禍でそんな機会も少なくなっているかと思います。食品のほうは子ども食堂ですとか、フードバンクなどと連携できないものでしょうか。賞味期限などのこともありますが、廃棄にならないよう有効活用できる工夫を求めます。見解を伺います。 ◎長谷川 災害対策課長 消費期限が近づきました備蓄品は、事前に全庁へ情報提供いたしまして、希望する所管、学校、また福祉施設などの区内施設へ配布してございます。消費期限切れなどにより再配布できないものにつきましては廃棄することとしておりますが、一部につきましては、家畜の飼料とするなどの工夫をしております。令和三年度につきましては、ビスケット八万一千食を再配布いたしましたが、消費期限の関係などによりまして約四万七千食につきましては廃棄、また、アルファ米につきましては三万二千食を再配布いたしましたが、こちらも期限の関係などにより約二万四千食は廃棄してございます。  備蓄品の有効活用に当たっての課題といたしましては、再利用できるものであっても、消費期限までが約一年未満と短いものとなりますため、期限内に消費できる受入れ先に限られることが挙げられます。このようなことから、消費期限間際であっても期限内に消費できる受入れ先を広く募ることが工夫の一つとして考えられるところでございます。
     例えば東京都が今年度より稼働してございます未利用食品マッチングシステムを活用するなどにより、フードバンクなどの団体等に開示、配信するなど、今後様々な工夫を検討してまいります。 ◆金井えり子 委員 ぜひそういったマッチング、いろいろ検討してみてください。お願いいたします。  次に、会計年度任用職員について伺います。  非正規公務員の地位を安定させるため、会計年度任用職員という制度になって一年半がたちました。五月二十四日の朝日新聞の朝刊に、非正規公務員の新制度、会計年度任用職員待遇改善のはずがという記事がありました。九月二十日には、日本経済新聞にも、非正規公務員遠い処遇改善の見出しで掲載されています。非正規公務員の四分の三が女性であることは周知のところですが、この制度の変更でどのような影響が出ているのか。  三月、官製ワーキングプアの女性たち、コロナ後のリアルとして緊急集会が行われました。専門知識や資格が必要で、コロナ禍の下でもエッセンシャルワーカーとして住民サービスを支えているのに、低賃金で昇格もなく、年度ごとの採用で先が見えないなどの声が上がりました。これを受けて立ち上がった公務非正規女性全国ネットワークはむねっとの公務非正規労働従事者への緊急アンケート調査では、年収二百万円未満が半数を超えている、昇給がないなどから九四%が将来に不安があると回答している。  このような情報がありますが、まずは、世田谷区の会計年度任用職員の制度の現状を伺います。 ◎増井 職員厚生課長 会計年度任用職員制度は、地方公務員法、地方自治法の改正により、一般職の非常勤職員の制度として令和二年四月より導入されました。制度導入前の特別職の非常勤職員という位置づけにおいては、直接適用されていなかった守秘義務、それから職務専念義務などの地方公務員法の服務規定が適用されることになったほか、期末手当の支給が可能となり、処遇の向上も図られたものです。  この制度の導入により、会計年度任用職員はこれまで以上に適正かつ安定的に任用されるとともに、毎月の報酬に加えて、一定の要件の下で期末手当が支給され、例えば事務嘱託員では、制度導入前より制度導入後の年収は三十五万円超の増となったところでございます。また、こうした期末手当の支給に加えて、より一層働きやすい環境を整えるため、区ではそれまで原則六十五歳までとしていました任用の年齢制限を撤廃するとともに、公募によらない再度任用の回数についても、引き続き上限を設けないこととしております。 ◆金井えり子 委員 これは国の統一の改正ということではありますけれども、自治体によって違いが生じているということなんでしょうか。新聞記事なんかを今の御答弁とすり合わせますと、あら、自治体によって違うのかしらと思ってしまうんですけれども、区では収入面などの処遇改善がなされているということですね。年齢制限や再任回数も上限なしということですけれども、ただ、これは会計年度ということなので年度で区切られてしまうという印象がありまして、それまで積み上げてきたキャリアや実力を認められない、そこが将来が不安というふうにつながっていくのではないかと思います。  世田谷区では、そういったところはどうなんでしょうか、伺います。 ◎好永 人事課長 会計年度職員には、職務内容や任期、勤務日数や勤務時間が異なる様々な職がございます。一人一人のライフスタイルに合わせて、専門的な知識や経験、資格を生かした職をお選びいただいているものと認識しております。また、年齢制限を撤廃したことにより、例えば事務嘱託員では、民間企業で勤務された六十五歳の方などが採用され、区の事務補助業務を担っていただいており、長年の企業での業務経験を生かしていただいております。さらに、公募によらず再度任用する回数を設けないことによりまして、良好な勤務実績を積めばキャリアに応じた実力を発揮できることにつながることから、より意欲を持って勤務されているものと理解しております。  このように、区におきましては、会計年度任用職員が様々に設定した任用体系の下、年齢にかかわらず、その経験等を生かし、多くの職場で御活躍いただいているところでございます。 ◆金井えり子 委員 それでは、世田谷区では本当にそういったキャリアとか実力を認めていただいている、だから将来は不安がないかなというところの認識でしょうか。  実際に、私も世田谷区で会計年度任用職員として働いている方、何名かに伺いました。会計年度任用職員と一言で言っても本当に職種が多くて、また、月に働く日数とか時間も多様なので一概には言えないという前提はありますけれども、少し収入が上がったという方のほか、なぜこの制度に変わったのか、メリット、デメリットが分からない、あまり状況は変わっていないように感じるなどの御意見がありました。  会計年度任用職員として働いている御自身が理解されていない様子がうかがえます。説明会などもあったそうですが、直接説明を受けていない方も多いと聞きました。正規の職員の方々とともに、区を支えているなくてはならない会計年度任用職員です。疑問や不安を抱えて働くことがないよう求めます。見解を伺います。 ◎好永 人事課長 会計年度任用職員制度の導入時におきましては、庁内に対し、制度内容等を説明する資料を通知することにより職員への周知を図ってまいりました。しかしながら、今、御指摘の制度が切り替わったことによる会計年度任用職員の原理原則を要因とする将来の不安につきましては、世田谷区の制度運用には当てはまらないものもございます。  旧制度におきまして、平成二十八年度から更新回数の限度を撤廃しておりましたが、現行制度でも勤務実績等を考慮し、能力実証を行った上で回数制限の限度を設けず再度任用を行うこと、また、原則六十五歳までとしていた年齢制限を撤廃したことなどの世田谷区の運用の仕組みが十分御理解されていないものも一因であると考えております。  このように制度について分かりやすく紹介した手引書を整備し、庁内ネットワークでいつでも確認できるようにするなど、今後も制度の周知に努め、会計年度任用職員が安心して勤務いただけるよう取り組んでまいります。 ◆金井えり子 委員 ぜひ分かって働けるような制度にして、そして、この会計年度任用職員の方々が働きやすい、不安がないような、そういったところにしていただきたいと思います。お願いいたします。  こういった働き方に関しては、国際労働機関からもディーセントワークということが求められています。この会計年度任用職員のような立場や、また性別、障害のあるなしにかかわらず、全ての人に働きがいのある仕事、尊厳ある働き方ができるような社会になるようにということです。  今、そんな中で障害者雇用が進んでいるようですが、離職率が高いと聞きます。就職後一年で四から五割が辞めてしまうというデータもあります。退職、転職の理由は、収入や待遇のほかに、理解、配慮のなさなどが多く挙げられています。世田谷区では、障害のある方の離職率はどのようになっているのでしょうか、現状を伺います。 ◎好永 人事課長 区では、障害者活躍推進計画におきまして、障害のある職員の職場定着の指標を採用後三年の間の離職率としまして、各年度五%未満という目的を掲げております。実績としましては、令和三年四月一日現在で一・八九%となっております。ちなみに職員全体ですと三・四一%となっております。 ◆金井えり子 委員 職員全体が三・四一%、そのうちの障害者の方々が一・八九%の離職率ということですね。本当に区では、障害のある方々、職員全体と比べても辞める方が少ないということでしょうか。一般に職場への定着というところでは、コミュニケーションとマッチングが鍵と言われています。本当にその方に合った仕事、理解と信頼が重要かと思いますが、区では、この離職率の低さというのはどういうところから来ているのかということを伺いたいと思います。区でどのように取り組んでいるのでしょうか、伺います。 ◎好永 人事課長 障害者の離職を防ぎ、職場定着を進めるためには、個々の特性を踏まえた配置や職務の選定、創出が重要であると認識しております。区では、採用内定後に本人から障害の特性についてヒアリングを行うほか、必要に応じて本人が利用する就労支援機関の意見を聞きまして、配属先などの検討を行っております。加えて会計年度任用職員の採用試験の際には、個々の障害の特性を見極めるための実技試験を実施しております。  採用後は、人事課の障害者雇用支援チームによる定期面談を実施し、本人及び所属から配属職場における本人の状況等を聞き取るとともに、本人の利用する主要支援機関等とも情報共有を行い、必要に応じて職務の調整や手法の提案を配属職場に行っております。  配属職場においても、職場の選定、創出に当たっては、個々の特性に応じて合理的な配慮を行うことはもちろん、係内の業務に捉われず、必要に応じて課内や部内へ範囲を拡大して行うなど柔軟な対応をしております。引き続き、障害のある職員が本人の意欲や個性に応じて能力を有効に発揮するとともに、安心して安定的に働くことができるよう、全庁挙げて取り組んでまいります。 ◆金井えり子 委員 本当にきめ細かなそういった配慮で進められているのかなというところが分かりました。障害のある方はもちろん、職員全体が安心して安定的に働けるよう、また人が仕事に合わせて働かされるのではなく、その人に合った仕事を選び、認められ、信頼関係の中で働く、尊厳ある働き方を世田谷区からつくっていただきたいと思います。そして、世田谷区から社会に広げていただき、そういった働き方、ディーセントワークを進めていただきたいと思います。  以上要望いたしまして、質問を終わります。 ○加藤たいき 委員長 以上で生活者ネットワークの質疑は終わりました。     ──────────────────── ○加藤たいき 委員長 引き続きまして、新風・せたがやの風、どうぞ。 ◆つるみけんご 委員 新風・せたがやの風、企画総務領域の質疑を始めます。  区の働き方改革とDXについて、伺います。  九月三日のDX推進・公共施設整備等特別委員会にて、令和四年、五年の世田谷区情報化事業計画というものが示されました。この計画は、資料によると、区の情報化の実施計画として位置づけられたものです。この計画の中身をよくよく見てみますと、事業の体系として、政策一、区民の力を活かす情報化、政策二、行政経営を支援する情報化、政策三、情報化基盤の強化ということが記載されております。  ここで、疑問があります。これは、今回示されたDX推進方針に基づく重点取組とほとんど内容が重複しているのではないでしょうか。同じようなテーマに見える計画が別々に並行して走っていて、別々の報告事項として委員会に報告されている、つまりそれらが一体的なものになっていないということです。こうしたものを、これまでの取組を一旦きちんと整理して、統合し、そして簡素化していく、これこそが本来のDX推進と併せて行われるべき行政経営改革であり、働き方改革なのではないでしょうか。  中身について少し詳しく伺っておきたいのですが、特別委員会でお示しいただいた情報化事業計画令和四年度~五年度素案では、平成三十年度から令和三年度のモバイル端末を活用した行政事務の効率化、働き方改革の実現という実施内容について、計画を上回る実施となっているとの分析をされています。具体的にどのようにモバイル端末を活用した行政事務の効率化がなされたのか、どのような働き方改革の成果が得られたのか、お聞かせください。 ◎山田 ICT推進課長 今年度中には、当初の計画を大幅に上回る七百二十台の配備を予定しており、全管理者に加え、各課一から二台程度配付できる見込みとなっております。職員へのアンケートでは、出先会議での議事録作成や資料の即時修正が可能となった、出張先においてメールや予定表の確認、決裁事務が可能となったなど、事務の即時性や効率化、意思決定の迅速化に関する評価、さらには紙資料の持ち出しが不要になるなど、ペーパーレスにもつながったという結果を得ることができております。 ◆つるみけんご 委員 二〇一八年三月に策定された当初の当該計画の年次計画を個別に見てみますと、二〇一八年度には、モバイル端末を利用した新たな業務運用の試行、二〇一九年度には、一部の業務でのモバイルワーク本稼動、二〇二〇年度、つまり昨年度には、モバイルワーク本稼働の拡充という計画になっています。これについて、区は計画を上回る実施と分析をされているわけです。もう一方で、テレワークについては、これまで特別委員会等でやり取りをさせていただきましたが、現状、世田谷区ではほとんど進んでいないとの説明を受けています。  情報化事業計画における分析と、今現在の世田谷区の状況とは大きな矛盾が生じているように見えるのですが、いかがでしょうか、御見解を伺います。 ◎松永 デジタル改革担当課長 情報化事業計画の実施状況につきましては、モバイル端末が増加したことに伴いまして、徐々にではありますが、例えば会議の際に、紙に代わりパソコンによる資料共有、また、離れた職場からのリモート参加、コロナ禍を契機に各職場で工夫した働き方を実施しているというところでございます。  DXの特別委員会でのお答えにつきましては、職員の在宅ワークを念頭に、区の業務は、デスクワークだけではなく窓口等で区民と直接対応する業務も多く、それぞれの業務特性の分析や職員の服務等、制度面の整理が必要との認識からお答えしたものでございます。 ◆つるみけんご 委員 制度面の整理が必要ということであれば、早急に整理されるべきだと考えます。冒頭にも問題提起いたしましたが、世田谷区DX推進方針に基づく重点的取組と情報化事業計画においては、大部分が重複しております。  情報化事業計画において、これまで行ってきた計画の成果を一旦整理し直して、DX重点取組に組み入れると同時に、計画を一体的なものとして整備し直すことが本来の区役所のRe・Designだと考えますが、その点はいかがでしょうか、見解を伺います。 ◎松永 デジタル改革担当課長 お話しのとおり、情報化事業計画は、区の情報化における実施計画と位置づけております。一方で、DX推進方針につきましては、区のDX推進の方向性を示して、実施計画等に具体的な取組を位置づけていくものでございますが、計画等との関係が分かりづらいという部分もございます。  DX推進方針につきましては、令和六年度からの次期基本計画に統合するとともに、実施計画につきましても基本計画との一体化を視野に検討してまいります。 ◆つるみけんご 委員 本来であれば、今このタイミングで一体化されるべきです。また、計画のみならず、会議体についても同様のことが言えます。例えば、区は平成二十九年七月に、庁内に部長会のメンバーで組織される世田谷区役所版働き方改革推進会議を設置されています。一方で、DX推進においては、副区長をトップとして、政策経営部長や総務部長がメンバーであるデジタル戦略プロジェクトチームを組んで進めておられるわけです。各会議の詳しい内容までは把握できませんが、こうした会議体が幾つもできることで職員の皆さんが会議づくめになり、それぞれで整合を取るための手順が必要となります。これにより一つ一つの政策判断が遅れ、勤務時間も長時間化していく、こうしたことは働き方改革の理念とは全く逆行しています。  重複する部分がある会議体については、これまでの議論を一旦整理し、簡素化していく、これを働き方改革、区役所のRe・Designの中で徹底的にやっていくべきです。見解を伺います。 ◎松本 政策企画課長 会議体の見直しについては、定期的に行うことが必要であると認識しております。直近では、平成三十年度に会議体の整理、見直しを行い、複数の会議体の統合や当初の目的を達したものの廃止などを実施いたしました。関連する会議体を見直し、効率のよい会議運営を行うことは、業務の生産性や働き方改革の観点からも必要なことでございます。DXの推進は、まさに好機であり、年度当初の会議体の整理や新たに会議体を設ける機会と捉えまして見直しを行ってまいります。 ◆つるみけんご 委員 大胆な見直しをされることを期待しております。  次に、視点を変えて、DX推進における行政サービスのRe・Designについて伺います。区長は、本定例会の招集挨拶で、DX推進によりワンストップサービスを実現するとの方針を示されました。これを受け、定例会一般質問では、まちづくりセンターにおけるワンストップサービスの実現とは何かということを質問しましたところ、専門的な内容であった場合でも、DXによるデジタル化により、本庁や総合支所などの担当所管とつながり、区民がその場で求めるサービスの提供や解決がされる、または、その見通し等が示されることとの見解をお示しいただきました。これは少々分かりづらいような言い方になっております。  つまりは、本庁、総合支所以外の外部の専門的な機関への相談が必要な場合、複雑な事案を除けば、区民は原則として、相談と行政手続を本庁、総合支所に出向くことなくまちづくりセンターで行うことができる、そのような理解でよろしいでしょうか、伺います。 ◎松本 政策企画課長 行政におけるワンストップサービスについては、一般的には、一つの場所で様々な行政手続が受けられる環境を指すものと認識しております。DXの取組を進めることで、行政手続にとどまらず、相談にまで範囲が広げられると考えております。  区長が招集挨拶でお示ししましたDXの推進により区が目指すべきワンストップサービスについては、委員お話しのとおりであると理解しております。 ◆つるみけんご 委員 ワンストップサービスの実現は、長年、区民の困り事であった窓口でのたらい回し問題の解決を意味するはずです。その重要なワンストップサービスの捉え方が所管ごとに異なったり、ましてや区民の意識と区側の目指す姿にずれが生じたりしてはなりません。  区が目指すワンストップサービスのあるべき姿を明確化することが必要です。その上で、理念と具体像を、庁内はもとより区民と共有し、区民の念願でもあるたらい回しゼロ行政の実現を図るべきと考えます。お考えを伺います。 ◎松本 政策企画課長 DXの推進に当たっては、区民本位のサービスデザインを徹底することが重要であると考えます。ワンストップサービスは、まさに区民を軸に、一か所や一回の手続で行政サービスを完結させられることと考えております。  高齢化の進行やコロナ禍による新しい生活スタイルの転換等を背景に、場所や時間を問わない行政サービスの提供とともに、ワクチン接種の予約支援でも明らかになったように、身近な拠点を軸としたワンストップサービスが求められております。デジタル技術の活用により縦割りの弊害を排し、区の様々な機関のサービスがひとつながりになることは、区民本位のサービスの在り方であり、たらい回しのないワンストップサービスの実現に向けた取組を加速させてまいります。 ◆つるみけんご 委員 次に、区の危機対応について伺います。  世田谷区では、危機発生時に全庁的な緊急体制の整備をすることを目的に世田谷区危機管理基本マニュアルというものが策定されています。この中では、自然災害、重大事故、重大事件等、健康危機など、様々な種別の危機の範囲が規定されており、区内で危機が発生した際には、このマニュアル、あるいはこれにひもづく個別マニュアルに沿って対応されることとなっています。  ここで、まず伺います。八月六日夜、成城学園前駅付近を走行していた小田急線の車内で男が刃物を振り回し、周りの乗客に切りつけるという事件がありました。本事案につきましては、世田谷区危機管理基本マニュアルにおける重大事件等に該当するものと考えますが、よろしいでしょうか、伺います。 ◎野村 地域生活安全課長 区としましても、当該事案は、同マニュアルに定める重大事件に該当するものと認識しております。 ◆つるみけんご 委員 本件が重大事件等に該当するとしたならば、マニュアルでは、緊急時の広報は、危機が発生した場合に、発生事象の事実関係などについて、その時点で確認できた内容をまずは発信するということになっています。具体的には、ホームページ、災害・防犯情報メール、区ツイッター、そして、議会への報告などです。  しかしながら、今回の事案において、本来、危機発生直後に発信すべきだった区民への情報発信は行われておりません。区が公式に情報を発信したのは、翌日朝十時二十分頃になって発信された検挙の情報発信のみです。区民が二次被害に遭わないために、メールをはじめ、ツイッターやLINEなど、あらゆるツールを使って注意喚起をすべきだったのではないでしょうか。また、本マニュアルは平成二十一年三月から改定が行われておらず、情報収集や発信、庁内共有の仕組みや会議体、危機管理体制の在り方など、見直すべきところが多々あります。  デジタル技術の発達等、時代の変化に合わせて根本的な見直しを行い、簡素で分かりやすく、全職員、全職場で共有できるものにつくり替えていくべきです。また、今回の反省を生かし、今後、マニュアルに書かれている対応が、いざ危機が発生した際には確実に実施されなければならないということは言うまでもありません。区としての見解を伺います。 ◎野村 地域生活安全課長 当該事案におきましては、区が事案認知後、安全安心パトロールカーを現場周辺に急行させ、区民への注意喚起、広報を実施いたしましたが、区の認知から約三十分後には容疑者確保の一報が入ったため、災害・防犯情報メール等での注意喚起は見送りました。  区としましては、当該事案対応を検証するとともに、マニュアル等の見直しも含めたより実効ある体制づくりに今後も努めてまいります。 ◆つるみけんご 委員 危機というのはいつ起きるか分からない、だからこそ、迅速な見直しが必要と考えますが、具体的にはいつまでに見直しをされるのか伺います。  また、今後も技術の進歩等により変わりゆく社会情勢に合わせて不断の見直しが行われるべきと考えますが、併せてお考えを伺います。 ◎野村 地域生活安全課長 委員御指摘のとおり、危機管理には、多岐にわたる事案への迅速、的確、そして柔軟な対応が常に求められております。そこで、まずはSNS情報サービスやモバイル端末の活用など新たな手法を積極的に取り入れるなど、個々の対応マニュアルの随時見直しを図り、有事即応態勢を確立するとともに、区の危機管理の根幹をなす世田谷区危機管理基本マニュアルにつきましても、庁内関係所管や警察、消防等の関係機関との連携、協議をし、早期に見直しに着手してまいります。 ◆つるみけんご 委員 最後に、区民意識調査について伺います。  区のDX推進方針では、区民の視点からの変革が掲げられています。この中で、区民の視点や困り事に立ち返り、行政サービスを再構築していくこととされていますが、これまで区が毎年行ってきた区民意識調査、これこそがまさに区民の視点と困り事の蓄積であるはずです。  行政サービスの再構築については、まずはそれらがどのように分析され、行政サービスのRe・Designに生かされるのかを区民に明らかにすべきです。見解を伺います。 ◎山戸 広報広聴課長 区民意識調査の結果は、区民の皆様からの貴重な意見であることから、事業の目的ややり方を一から考え直したり、再構築したりする素材とするとともに、区民の皆様へ分かりやすい情報提供や情報発信に努め、全庁的に改善意識を共有し、取り組んでまいります。 ◆つるみけんご 委員 世田谷区には、区民の方からいただいた声、この困り事というのが区民意識調査として蓄積されているわけですから、それをしっかり行政サービスのRe・Designに生かしていただきたいと思います。  以上で新風・せたがやの風の企画総務領域の質疑を終わります。 ○加藤たいき 委員長 以上で、新風・せたがやの風の質疑は終わりました。     ──────────────────── ○加藤たいき 委員長 引き続きまして、減税せたがや、どうぞ。 ◆あべ力也 委員 それでは、まず防犯カメラについて伺ってまいります。  防犯カメラで、私自身が被害に遭って、加害の方を、今年、警察のほうに二人検挙をしていただきまして、書類送検に二人なっているということで、犯罪の抑止と犯罪の検挙に向けて防犯カメラが大変効果があるということは身をもって感じております。  前の質問でも、防犯カメラを設置するメッシュをやっぱり縮めていって、犯罪の抑止と検挙に向けて設置台数を増やしてほしいというような要望もしてきておりますけれども、せんだって、世田谷線の世田谷駅の近くの商店に私のポスターを貼っていただいているところがあって、度々ちょっと剥がされるという被害に遭ったものですから、これも一一〇番をいたしました。それで、刑事さんが来ていろいろ調べて、ここは商店街で、街路灯に防犯カメラも設置をしているので、恐らく映っていると思うというようなことだったんですが、いつ剥がされたか分かりますかと言われても、僕もちょっとよく分からないということで、そのデータ自体は、商店街のほうに言えば取り寄せられるけれども、いつなのか分からないとなかなか難しいですねというような話も承ったということなんですが、今後、防犯カメラがいっぱい設置をされた場合に、やっぱり検挙であったり、抑止であったりということでは、警察との連携ということが大切なことになってくると私は思うんですね。  その点で、商店街や町会・自治会なんかと警察がしっかり連携をして、犯罪の検挙に向けて、この連携についてしっかり取り組んでいただきたいと思うんですが、区のほうでは、連携に向けてどういう取組をされるのか伺っておきたいと思います。 ◎野村 地域生活安全課長 東京都と世田谷区の補助制度を活用して設置した防犯カメラの管理につきましては、カメラを設置した町会・自治会、商店街などの各団体が行っております。また、適正な運用管理のため、区の条例に定めた基準に沿って各団体が運用計画を作成しております。今、委員からお話しのありました警察などからの画像データの提供依頼があった際も、依頼者に対し法律に基づく手続などを求めるなど、データの管理を厳正に行っていただいております。  区におきましても、今後もデータ管理に関する助言、指導、また、今お話しのあったような部外のデータ提供の際は、管理団体と警察等との仲介を区が積極的に行うなど、区民等の権利、利益の保護と、区民が安全で安心して生活できる地域社会の実現の両立をこれからも図ってまいります。 ◆あべ力也 委員 ぜひしっかり連携を取っていただきたいと思います。  防犯カメラの映像は犯罪の大きなエビデンスになるわけでありまして、こうしたエビデンスを確保するためにも防犯カメラの映像というのは大変貴重でありますから、犯罪の立証に向けて、町会・自治会、警察と連携をして、犯罪の抑止と検挙に向けてしっかり取り組んでいただきたいと要望しておきたいと思います。  次に、今年になって、避難勧告とかということが廃止になって避難指示というふうに一本化されました。六月に改正になったんですが、早速、八月十五日、砂防被害に関する勧告が私が住んでいる岡本でも発出されたということで、避難所になっている岡本の集会所に、避難指示が出たんだから、町会の方でそちらに行っている方がいらっしゃるんだろうと思って私も伺いましたら、誰も来ていなかったんですね。  ですから、避難指示というのは、今回の改正というのは、警戒レベルを一本化して情報を整理して分かりやすくするというのが目的だというふうに伺っております。その上で、大きな変更になるわけですから、国や自治体は住民に丁寧に説明をして、訓練などを通じて理解を深めてもらう必要もあると思います。  住民の側も、災害が発生するというような情報が出るというのは、どういうタイミングで、どこへ避難するのがいいのかとかということを日頃から確認する必要があると思うんですけれども、今回、岡本で避難指示が発出しても、自分たちは避難したらいいのかどうなのか、どういうタイミングで避難したらいいのかということがよく分からない方もいらっしゃったんじゃないかと思うんですけれども、今後の避難に向けて、住民の皆さんに周知と訓練等をしっかりやっていく必要があると思うんですが、この点について区の見解を伺っておきたいと思います。 ◎若松 危機管理部副参事 国は、本年五月二十日に災害対策基本法を改正し、避難情報の名称等の変更を行いました。大きな変更点といたしましては、委員お話しの避難勧告と避難指示が一本化された点でございます。避難対象となる風水害は、多摩川や野川、仙川などの河川氾濫と土砂災害でございます。避難対象となる方は、多摩川及び中小河川の氾濫では洪水浸水想定区域内、土砂災害では土砂災害警戒区域内にお住まいの方となります。それ以外の区域にお住まいの方は、基本的に避難する必要はございません。  区民の皆様の具体的な避難行動といたしましては、避難所などへの水平避難、建物の二階以上への垂直避難がございます。対象区域にお住まいの方が避難情報の発令に合わせて適時適切な避難行動を取っていただけますよう、総合支所と連携してさらなる周知を図ってまいります。 ◆あべ力也 委員 やはり災害が発生したときには、どういう行動を取るのかということがしっかり分かるように周知をしていただければ災害に巻き込まれることもないと思いますので、その辺の徹底をぜひしていただきたいと要望して、私の質問を終わります。 ○加藤たいき 委員長 以上で、減税せたがやの質疑は終わりました。     ──────────────────── ○加藤たいき 委員長 引き続きまして、レインボー世田谷、どうぞ。 ◆上川あや 委員 区の職員の公務災害、通勤災害への補償について伺います。  本年六月の定例会で、私からは、水害時などに区の要請で水防活動に当たり亡くなった住民、また、区立学校で健診などに当たる学校医や歯科医、薬剤師が亡くなった場合の遺族補償について、同性パートナーが支給対象とされていないのは、同性カップルへの差別を禁じた区条例に反するではないかと指摘をし、男女の事実婚同様、補償するべきではないかと見解を求めました。  これに対し、区と区教委からは、性的マイノリティーも差別しない区条例に基づき、同性パートナーへの損害補償に向けた課題の整理を進める必要があるとし、区独自の補償制度の整備を進める方針をお示しいただきました。この日の質問では、区の事業に御協力くださる区民、区内医療者の同性パートナーの方の平等の議論をまず優先しましたが、同じ課題は、区の職員についてもあると考えています。  この点、議員に言われてから検討するようでは駄目だと、早速、総務部長が区の職員の遺族補償の平等に検討の御指示をお出しになられたと伺っているのですが、今後の対応方針について、ぜひこの議会の場でもお伺いをできればと考えております。いかがでしょうか。 ◎増井 職員厚生課長 公務災害、通勤災害により職員が亡くなられた場合、災害補償には、遺族補償年金、遺族補償一時金、葬祭補償などがございます。受給資格者は、職員の死亡当時、その収入により生計を維持していたものとなります。現在、民法、労働基準法の規定では、同性パートナーの方は、これらの制度による受給資格者の範囲に入っておらず、補償の対象となっておりません。世田谷区多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例では、「性別等の違い又は国籍、民族等の異なる人々の文化的違いによる不当な差別的取扱いをすることにより、他人の権利利益を侵害してはならない」とあります。
     同性パートナーの方への補償には様々な課題がございますが、条例の趣旨を踏まえ、区が何らかの給付制度を独自に設けることは、既存の法制度と矛盾するものではなく、法制度を補完するものとして可能であり、取り組むべきと認識しております。引き続き関係所管と連携しながら、どのような仕組みとしていくのかなどにつきまして検討を進めてまいります。 ◆上川あや 委員 よろしくお願いいたします。  次に、さきの本会議でも指定管理者の指定で反対討論を行った課題、区の外郭団体における同性パートナーのいる職員処遇の平等とハラスメント禁止規定への性的指向、性自認の明記について、一層の改善を求めます。  この改善を最初に呼びかけたのは、平成三十年三月の予算質疑です。以来四年半が経過し、徐々にではありますが、事態は改善されてきたと承知をしております。しかし、区の外郭団体十一団体のうち、職員処遇の平等を一部の制度でも実施できた団体は七団体、ハラスメント禁止規定への性自認、性的指向の明記が実施できた団体は八団体となっており、裏を返しますと、前者で四団体、後者で三団体がなお手つかずのままとなっています。  世田谷区本体では、昨年四月には、職員休暇制度や職員住宅の提供が同性パートナーのいる職員に対しても平等となり、同じタイミングでハラスメント禁止規定も改められています。以来、一年半が経過してもなお、区の職員に準じた扱いが基本であるはずの各団体で改善が進まないのはなぜなのか。区には、指導を強めていただく必要があると考えています。  区が現在策定中の第二期男女共同参画プラン後期計画(素案)では、課題十二で性的マイノリティ等多様な性への理解促進と支援を掲げ、取組を推進するためには、企業による理解、協力も欠かせませんと書き、就労や働く場、提供するサービスにおいて性的マイノリティーへの公平な扱いや配慮がされるよう進めますと政策誘導を掲げています。ならば、区の外郭団体にこそ率先して改善をさせ、範を示すべきではないのでしょうか、いかがでしょうか。 ◎松本 政策企画課長 区は、平成三十年四月、世田谷区多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例の施行や、令和二年四月、職場におけるハラスメントの防止に関する基本方針の策定などに伴いまして、機会を捉えて各外郭団体へ通知し、条例、方針の趣旨に沿った団体運営を進めるよう働きかけてきたところでございます。  委員お話しの同性パートナーを対象とした休暇制度等の規定、ハラスメント禁止規定への性的指向、性自認の明文化については、現在、区の外郭団体十一団体のうち七団体が整備しており、残り四団体については、どちらか、またはその両方が整備できていない状況でございます。  区の外郭団体は、こうした取組を率先垂範して進めるべき立場でございます。現在、整備できていない四団体については、今年度中をめどに規定の整備、明文化を行うよう強く求めてまいります。また、各外郭団体については、ソジハラスメントを含めたあらゆるハラスメントの防止や、性別等を問わず、職員が互いに尊重し合いながら快適に働くことができる職場環境の確保に取り組むよう指導、調整をしてまいります。 ◆上川あや 委員 ぜひ速やかな改善をお願いいたします。  最後に、区の職員採用からの外国籍の排除についてです。  多摩地域の二十六市では、全廃されて久しい国籍条項の撤廃を以前この区議会で求めましたが、その後、本区のリードで特別区全体で議論が進んでいると伺っております。これまでの検討状況と今後の見通しについて伺います。 ◎好永 人事課長 職員採用における国籍要件の見直しにつきましては、委員の御指摘を踏まえまして、二十三区の検討会に世田谷区より提案し、特別区として課題認識を深め、見直しに取り組む必要性から、令和二年三月に新たな検討課題として了承されたところでございます。  その後、検討会におきまして、特別区の現状や政令市の状況等が整理されてきましたが、特別区においては、現在も採用に当たって国籍要件を付している事務系や技術系の職種について、全ての政令市でほぼ全面的に要件を撤廃していること、併せて、ほとんどの政令市は管理職への昇任についても全ての職種で国籍要件を課していないといった事実が確認されました。  そうした状況を踏まえまして、特別区においても従来の取扱いを前提とせず、引き続き検討をしていくものと整理されたところでございます。一律の考え方ではございませんので、なお時間が要するものと考えられますが、検討を引き続き進めていきたいと考えております。 ◆上川あや 委員 ぜひ不合理な差別がないように、排除がないように、改めてしっかりとした点検、推進をお願いいたしまして、私の質問を終わります。 ○加藤たいき 委員長 以上で、レインボー世田谷の質疑は終わりました。  ここでしばらく休憩いたします。     午後三時一分休憩    ──────────────────     午後三時二十分開議 ○加藤たいき 委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  世田谷無所属、どうぞ。 ◆ひうち優子 委員 本日は、新公会計制度について伺います。  このテーマは以前から幾度となく取り上げてまいりました。その後、財務四表に加え、外郭団体等との連結精算表や内部取引による相殺消去等の内訳表など速やかに公表され、また、六月の一般質問で取り上げた令和二年度決算の全事業別の財務諸表を二十三区で初めて公表されるなど、全国的に見ても模範的な自治体となっていることを高く評価いたします。  そこで、今回は二点お伺いいたします。一点目、コロナ禍においてリーマンショックを上回るほどの財政危機が懸念されていましたが、令和二年度決算における財政状況はどうだったのか、また、各会計別の自己資本比率が従来どおり〇・九以上を維持できたのか、答弁を求めます。 ◎原田 会計管理者 令和二年度におけるキャッシュフロー計算書の形式収支は約二百十八億円となり、令和元年度の百六十八億円を超えるものとなりました。コロナ禍における影響が懸念されていた税収につきましても、前年度を上回るところとなりました。  御質問の各会計の自己資本比率につきましては、令和元年度と変わらず、全ての会計において〇・九五から〇・九九を維持しております。 ◆ひうち優子 委員 維持できているということで、今後のコロナの影響を注視していきたいと思います。  次に、昨年公開された令和元年度決算における三枚の相殺消去等の内訳表を精査いたしましたが、世田谷区スポーツ振興財団の区への未払い金などの流動負債約二億六千五百二十五万円、世田谷サービス公社の区からの未収入金などの流動資産約五億八千四百七十万円の二点は、事業内容を勘案しても突出して高いように思われます。  前者については同財団の資金繰りのリスクはないのか、後者については債権回収上のリスクはないのか、金額が多額になっている理由とともに答弁を求めます。 ◎原田 会計管理者 外郭団体では、三月末までに発生した未払い金や未収入金を財務諸表に計上しています。一方、区では、出納整理期間中に前年度に支出負担行為を行ったものについて、請求に基づいて支払いを行います。  スポーツ振興財団の例ですと、財団の決算が確定した後に大蔵第二運動場の利用料金収入の返還分を区に支払うため、納付は四月以降となり、未払金として計上せざるを得ない状況です。また、サービス公社につきましては、各課において契約を締結していますが、公社は三月履行分の請求を四月以降に行い、これに基づいて区は適正に支払いを行っています。  このように、毎年度、仕組み上は相殺消去等の内訳表上では未収金や未払金が計上されますが、五月末までの出納整理期間に支払い及び収入が行われるものであり、資金繰りや債権回収上のリスクはございません。 ◆ひうち優子 委員 資金繰りや債権回収上のリスクがないとの見解と認識いたしました。今後も注視をしていきたいと思います。  次に、基幹システムについてお伺いいたします。先日、某大手都市銀行において、本年五回目のシステムトラブルが発生をいたしました。今回はハードウェアが原因とのことですが、非常に大きな問題であると考えます。  通常、システムには本番系と待機系があります。待機系には、切り替え後、直ちに業務を引き継げるホットスタンバイ方式と、切り替え指示を出してからシステムを起動するコールドスタンバイ方式があります。今回の大手都市銀行のシステム障害の場合には、第一予備系のみがホットスタンバイ方式であったため、多重バックアップシステムが機能せず、第一の切り替えが失敗した後に回復に時間を要したことが判明をいたしました。  そこで、二点質問いたします。以前、私が質問をした際、当区の基幹システムは二重のバックアップ系があるとの答弁をいただいておりますが、現在もバックアップ系は二重であるのかどうか、また、ホットスタンバイとコールドスタンバイの区別はどうなっているのか、また、今回の大手都市銀行のシステム障害の場合には、システム監査の専門家からは、第一の待機系への切り替えを行うと同時に、第二のコールドスタンバイの待機系の起動を行っていれば被害は低減されたとの見解もありますが、当区のシステムダウン時のマニュアルはどうなっているのでしょうか、二点お伺いいたします。 ◎山田 ICT推進課長 現在も基幹システムの冗長化構成に変更はありません。運用系、待機系はホットスタンバイで冗長化されており、障害発生時には自動で待機系に切り替わるようになっております。  当区では、さらに万が一の際に証明書発行などの必要最低限の業務を可能とするシステムダウン時システムと呼ばれる第二のバックアップ系が別のデータセンターに存在しています。待機系にも障害が発生した場合、状況を確認の上、手動でシステムダウン時システムに切り替えて運用することになっております。 ◆ひうち優子 委員 世田谷区では、きちんと体制が整っているとのことで安心いたしました。  次に、システムの切り替えに関する訓練は、どの程度の頻度でどのような内容で実施をしているのか。特に待機系への切り替えが失敗した場合の第二待機系への切り替えの訓練は行っているのか伺います。 ◎山田 ICT推進課長 基本的には基幹系システムの運用委託業者による作業となりますが、的確な状況把握や指示が行えるよう、年に一回以上、ICT推進課内の関係する職員間で机上演習を実施し、ノウハウ共有を行っているところです。 ◆ひうち優子 委員 共有を行っているとのこと、今後もシステム障害が発生をしないように体制を整えていただきたいと思います。  最後に、システムの専門家の人材確保は非常に重要です。システム監査技術者、公認システム監査人、情報処理安全確保支援士などの人材を確保することと、資格取得の支援制度を構築していただくことが重要と考えますが、その点について伺います。 ◎山田 ICT推進課長 区では、継続的な人材育成として、ICT人材育成計画に基づき、業務上必要な知識を習得させております。資格取得につきましても、情報セキュリティマネジメントやITサービスマネジメントなどの受験を含めた自己啓発に取り組んでおり、合格者も出ているところです。 ◆ひうち優子 委員 今後も、資格制度も含めてしっかりと人材を確保していただくことを要望いたしまして、質問を終わります。 ○加藤たいき 委員長 以上で、世田谷無所属の質疑は終わりました。     ──────────────────── ○加藤たいき 委員長 引き続きまして、Setagayaあらた、どうぞ。 ◆佐藤美樹 委員 まず最初に、本会議でも取り上げましたが、今日も官民連携のテーマで伺いたいと思います。今日は、官民連携の持っている役割のうち、区の抱える各政策課題に対して、官民連携が庁内に対してコンサル的な役割を果たしてほしいというあたり、すなわち内部の庁内の人間だけでは起こせない変革であったり、あるいは新たな取組というのを官民連携から促していくような、その辺の役割について伺いたいと思います。  というのも、今回、ちょうど昨日九月三十日をもって喜多見・宇奈根地区で行われてきたトヨタモビリティ東京のオンデマンドバス交通というのが終了になりまして、このオンデマンドバスの実証運行というのは、ほかの交通不便地域の人たち、そういう地域の方たちも、熱い視線を送ってこの推移を見守ってきたようなところもありまして、今回いろいろな法的な制約もあって撤退というような結果を受けて、再びゼロベースに戻るというような事態になっていることに対して、やはりここでもう一度、ある意味、官民連携のほうが最初の窓口となって情報を収集していただきたい、あるいは、第一義的な所管は交通政策だと思いますけれども、そこに向けて官民連携のほうが促せる部分というのがあるのではないかな、その辺に期待したいなというふうに考えているところです。  まず、この辺についての官民連携としての見解を伺いたいと思います。 ◎髙井 経営改革・官民連携担当課長 お話しのトヨタモビリティ東京株式会社とは、様々な連携協力を積み重ねまして、令和二年十一月に包括連携協定を締結いたしました。その一環である区民の移動に関わる取組といたしまして、同社主導で喜多見・宇奈根地区におきまして、生活支援サービスと組み合わせた移動支援サービスの実証実験を実施していたわけでございますが、そのスキームで対価を得るということは法令に照らして適当ではないとの見解が国土交通省関東運輸局から示されたということから、本格実施を見送ったものでございます。  今回の実証実験により得られました意見や要望などの区民ニーズ、それから、本格実施に至らなかった問題点、こういったものは今後の取組を進める上で、ぜひ参考にすべきものであると思っております。公共交通所管による分析を共有しながら、民間企業が有するリソースや発想、手法を生かした課題解決に生かしていきたいと考えております。  今後は、トヨタモビリティ東京社との対話を継続し、新たな連携提案を促すとともに、他の企業を含めまして、民間との連携事業に向けましては、この実証実験から得られた課題の分析、明確化を踏まえた適切なテーマ設定による提案募集を目指すなど、関係所管による次の取組に向けまして、MaaSに知見を持つ様々な企業からの情報など、様々な観点を共有いたしまして連携してまいります。 ◆佐藤美樹 委員 今回のトヨタモビリティ東京の提供していたようなサービスと類似のサービスであったり、MaaS単体のサービスを提供しているような企業はやはりこの件も注視してきたと思いますし、今であれば、今回、撤退という形になったのを受けて、では、どういうふうな形であればこういった類似の事業ができるのか、スキームを構築しようとしている企業であったり、あるいは、自分もちょっと調べてみたんですけれども、実際に渋谷区のほうでウィラーという会社が、これはMKタクシーを使った会員制の移動手段なりますけれども、そういったものであるとか、あるいは京丹後市のほうでウーバーがやっているやはりオンデマンドタクシーの取組であったり、全国規模になりますけれども、幾つか既に事例も存在しますので、最初にこのトヨタの話が来たのも官民連携のほうに来たというふうにも聞いていますから、ぜひとも世田谷のほうで再度その提案募集ということもやっていっていただきたいなというふうに思います。  そのためには、今度、官民連携のほうが外部に向けての発信力であったり、訴求力というところがどうなのかなというところなんですけれども、改めて、今回、区のホームページを見てみたんですが、Co―Labというかわいらしいロゴがあるんですけれども、少しインパクトというか、やはり企業から見て世田谷と連携をしたら何かしらメリットがありそうだなというイメージにつながる魅力というのが欠けているかなというふうにも思いました。もう少しその辺の魅力、企業側が世田谷に手を挙げようと思いたくなるような魅力というところをつくっていただきたいなと思うんですけれども、この辺についてお伺いしたいと思います。 ◎髙井 経営改革・官民連携担当課長 お話しのとおり、官民連携窓口にせたがやCo―Labという愛称をつけまして、マークなどもつくって、発信地として広く民間企業から募って連携提案の募集を行っております。特定課題の解決におきましては、テーマの設定型として、区側から連携企業の募集を行っております。例えば、これまでに区有地を活用したキッチンカーの移動販売の実証実験ですとか、空き家所有者と事業者をマッチングするシステムの構築といったものを実施してきたところでございます。区の財源ですとか情報が限られている中、区単独ではなく、民間企業の知見やリソースを活用して連携することで、よりよい公共サービスの実施や幅広い区民への情報発信などに効果を上げているところでございます。  御指摘いただきました訴求力、発信力、こういったものの強化におきましては、情報がいかに幅広く拡散されて拾われるかという視点が大事でございます。現在は、区のホームページを中心とした先ほどのせたがやCo―Labによる募集のほか、企業マッチングサイト、ビズクリエイトを活用して情報発信を行っているところです。  しかしながら、情報が十分に拡散して浸透するというところまでは至っておりませんので、今後は、企業がキャッチしやすい情報提供の在り方を民間との対話を通じて探りまして、例えば民間事業者が多く接触するメディアプラットフォームといったものの活用など、さらに効果的なPRを進めまして、インパクトを残せる情報発信を工夫してまいります。 ◆佐藤美樹 委員 よろしくお願いします。  駆け足になってしまうんですけれども、まだもう一問ありまして、この間、本会議でも述べました次の基本計画に民間企業からの有識者を入れるという点について、その後の検討状況や見解をお聞かせいただきたいと思います。 ◎松本 政策企画課長 今後、次期基本計画策定に向けた具体の検討体制等をまとめてまいります。委員のお話も踏まえまして、区が目指す十年後の将来像を見据えた幅広い議論ができる体制を検討してまいります。 ◆佐藤美樹 委員 駆け足で、すみません。ありがとうございます。  以上で終わります。 ○加藤たいき 委員長 以上で、Setagayaあらたの質疑は終わりました。     ──────────────────── ○加藤たいき 委員長 引き続きまして、都民ファーストの会、どうぞ。 ◆そのべせいや 委員 先日、横浜市長選挙がありましたが、IRに対して曖昧な態度を取り続けてきた現職に対し、多数の候補がIR反対、ギャンブル反対を打ち出し、その中の一人が当選、新市長は早くもIRを正式に撤回しました。もしかすると、今後、東日本における当事者は東京になるかもしれません。ギャンブル、賭博というジャンルそのものに対して反対をすることや、IRの経済合理性については自由に議論されるべきですが、一方、IRの中の三%を占めるカジノだけを目の敵にし、パチンコ、公営賭博の安全性を担保する議論に目が向けられることはあまりありませんでした。  世田谷区は大井競馬場を運営する一員として、ギャンブルによって財源としての利益を享受し、同時にそこから派生する問題には責任がある立場です。例えば、IR、カジノの議論の中では、日本在住者については、マイナンバーカードによる本人確認と入場回数の上限設定、家族の同意による制限、また掛け金の上限設定といった手法で、観光客ではない自国の在住者に対して、カジノ漬けとならぬよう、一定の安全性を担保すべく制限が設けられる予定です。カジノへの入場規制も参考に、競馬場、場外馬券場にも、入場、馬券の購入時のIDチェック、家族の同意や購入金額の上限など、アリバイづくりにとどまらない制度的な対策が必要です。  翻って、今、日本で一番人気のゲームを御存じでしょうか。九十年代から二〇〇〇年代に活躍をした競走馬、サラブレッドを擬人化した「ウマ娘プリティーダービー」というスマートフォンゲームが今年二月のリリース以降、日本一の売上げを誇っており、世界中で多言語のゲームが配信、発売されている中、日本語のみ、日本国内のみで配信される同ゲームが世界二位の売上げとして注目を集めています。ゲームがリリースをされる以前より、漫画、アニメとともに展開をされており、既に一定の認知度、人気があった中で、現在、ゲームとして爆発的なヒットを記録していますが、このウマ娘の影響で題材となっている競馬に従来とは異なる層からも改めて注目が集まっています。  実際に二〇一六年度から二〇年度の大井競馬における売上げ推移を確認すると、千百五十億円から千七百三十億円まで約一・五倍に増加をしており、その内訳も、外出が制限された二〇二〇年度は九割以上がインターネット経由ですが、既にコロナ以前の二〇一九年度でもインターネット経由七割、場内一割、場外二割と、場内、場外の売上げが微減する中、インターネット経由の売上げが大井競馬の増収を牽引しています。  総務省のデータによると、公営競技に賭けることで得られる期待値は七五%、所得税を引いた実質還元率は五八・五%とのことで、競馬への売上げに貢献をいただくことは、実質的に掛け金の四割を公共に寄附を頂いていることと同義ですが、過度な賭け方により問題が起きることは、趣味の範囲で楽しむ人にも、その財源にお世話になっている我々にとってもマイナスの影響が高いです。  依存症や生活破綻を防止するために、近年、スタンダードとなっているインターネットによる馬券、勝馬投票券の購入について、改めて一定の制限をシステムで担保する必要があると考えます。見解を伺います。 ◎阿部 経理課長 大井競馬場では、ギャンブル等依存症対策としまして、平成二十九年から本人の申告、平成三十年からは家族の申告による競馬場及び場外発売所への入場制限ですとか、インターネット投票のアクセス制限を開始いたしました。加えて、令和二年十一月からは、インターネット投票において、本人による購入金額の上限設定が可能となっております。さらに、日本中央競馬会におきまして、顔認証システム等の活用に向けた研究が進められております。令和元年秋には、その実証実験が行われましたけれども、帽子とかサングラス、マスクなどのアイテム装着時などにおける認証精度の低下、この問題が指摘をされました。今後、ハード面、運用面を含めたさらなる検証を行う意向と伺っております。こうした取組は、国の示したギャンブル等依存症対策推進基本計画に基づき、地方競馬各主催者、日本中央競馬会等が連携しながら統一的に実施をしているものでございます。  区といたしましては、この取組の進捗状況を注視しまして、必要に応じて、大井競馬場を運営する特別区競馬組合に対し、依存症等の対策徹底に努めるよう働きかけてまいります。 ◆そのべせいや 委員 続いて、いわゆる母子避難所について伺います。  世田谷区は、災害対策基本法に基づき地域防災計画に策定をしていますが、福祉避難所の一つとして、妊産婦と乳幼児に特化をした福祉避難所(母子)を用意しています。まずは、こちらの避難所による支援、そして利用の対象者について教えてください。 ◎長谷川 災害対策課長 福祉避難所(母子)の対象は、原則、妊産婦、おおむね一歳未満の乳児及びその保護者であって、自宅や指定避難所等での生活は困難なものとしており、同居家族も可能な範囲で受け入れることとしております。一般の指定避難所では過ごしづらくなったこれらの方々が安心して過ごせる場として、発災後、四日以降に運営を開始します。  福祉避難所(母子)では、助産師による育児相談、授乳相談、乳房ケア、健康相談などの支援を行います。指定避難所でこうしたケアの必要性が確認された対象者がいた場合、福祉避難所(母子)へ移送することとなります。  支援や利用者についてはこのように想定をしており、この前提の下で、受け入れまでの手順や生活スペースの確保、備蓄品等を準備しているところです。しかしながら、災害発生時には様々な事案が発生するものと想定しており、例えば、父と子のひとり親家庭で、お子さんの特性から一般の避難所での生活では不安がある場合などにつきましては、こちらの福祉避難所(母子)へ御案内することも考えられるところでございます。 ◆そのべせいや 委員 対象者は、妊産婦と乳児及びその家族とのことで、妊産婦、乳児を優先するため、家族が制限される可能性もあるということですが、あくまでも妊産婦、乳児が対象であり、母と子に限られないことが分かります。聞くところによると、二十三区内でも保護者については女性しか認めないところもあるそうですが、シングルファザー、あるいは男性カップルといった統計上は少数ではありますが、こうした家庭の乳児についても災害時に支援が必要になるケースももちろんあります。また、マジョリティーである女性と男性と子どもの家庭であっても、災害時であることを鑑みると、女性側が被災をした場合には、女性と子どもで避難所に行くことはできず、女性と子どもをひとまとめにして扱うことで支援から漏れるケースもありますので、実態として、保護者を性別で分けない対応は評価をしています。  また、母といっても、現在は、出産をした産婦と養育している母が同じではなかったり、法律上も親として扱われる特別養子縁組に限らず里親の場合もあり得ます。法律上、母子という言葉が父子という言葉と分離して単独で用いられる際は、基本的には母子保健法と母子健康手帳への言及であり、国語的な意味で広く母と子を示す言葉ではないということは理解をしていますが、一方で、ここまで考えなければ分からない表現は緊急時のサインに用いるには不適当ですし、仮にシングルマザー、小中学生の子どもがこちらに支援を求めに来たとしても、妊産婦、乳児向けというこの避難所の本質的な機能で対応することもできません。社会状況の変化も鑑みて、この表現を妊産婦、乳児あるいは乳幼児といった支援の目的に沿った表現へ変更、制度の修正が必要ではないでしょうか、答弁を求めます。 ◎長谷川 災害対策課長 お子さんが持つ特性や健康状態から、臨機応変に福祉避難所(母子)での受け入れを行わなければならないこともあると考えてございます。現状こういったルール等の整備が及んでございませんので、今後、これらの検討に取り組んでまいります。その際、一連の検討の中で、避難所の名称としてどのような表現が適切であるかについても併せて検討してまいります。 ◆そのべせいや 委員 終わります。 ○加藤たいき 委員長 以上で、都民ファーストの会の質疑は終わりました。     ──────────────────── ○加藤たいき 委員長 引き続きまして、国際都市せたがや、どうぞ。 ◆神尾りさ 委員 外郭団体改革の取組状況について伺います。  社会的状況が大きく変化する中、今後の財政見通しや新型コロナ感染症の影響などを踏まえ、抜本的な改革が必要とされます。外郭団体の存在意義は時代の変化とともに変わってきており、公益法人制度改革や指定管理者制度の導入等により、民間が担える公共事業の範囲が拡大していることが背景にあるとされます。一方で、外郭団体には、役所よりも機動力や専門性を持ち、民間ではできない公的な事業を行いながらも、円滑な事業運営や持続可能な財政経営が求められます。  今回の改革において、その在り方を大きく見直すとされる三団体は、二〇〇六年に世田谷区勤労者サービス公社を解散して設立された世田谷区産業振興公社、同年に世田谷区都市整備公社と世田谷トラスト協会を統合して設立された世田谷トラストまちづくり、そして、一九八五年に設立され、二〇一二年にエフエム世田谷と経営統合した世田谷サービス公社です。  現在、各団体の必要性、専門性、機能性、費用対効果等の視点から課題を整理しているとされますが、どのような手法やタイムラインで検討を行っているのか伺います。 ◎松本 政策企画課長 区では、外郭団体改革基本方針に沿って継続的に取組を進めておりますが、昨年末に庁内PTと課題別部会を設置しまして集中的に取り組んでいるところです。中でもお話しの三つの団体については、特に団体の存在意義や核となる事業、経営の持続可能性等の観点から、団体の在り方の見直しを検討しております。  これまで三団体に関しましては五回の課題別部会と五回の庁内PTで検討しているほか、団体を交えながら議論を重ねてまいりました。具体的には、それぞれの団体の設立目的に立ち返り、これまで果たしてきた役割を踏まえた上で、この間、団体を取り巻く状況が変化し、民間事業者などの担い手が増加する中でも、その団体の専門性が確保できているのか、あるいは、その団体が今後担うべき役割から、どういった事業を中心に展開していくかなど、経営の持続可能性も含め、様々な観点から団体の在り方について検討を進めております。  引き続き、PTを中心とした議論の熟度を高めていき、今年度中により具体の方向を示してまいります。 ◆神尾りさ 委員 各団体の在り方が変化する中、それぞれの専門性を生かして、区にも、民間にもできないような特徴的な取組を実施している外郭団体も見られます。例えば、新型コロナ禍に文化財団が行った世田谷美術館の「作品のない展示室」という企画展や、区民がまちづくりに主体的に参加するトラストまちづくりなど、それぞれの組織における専門性を生かした取組が今後の外郭団体の存在意義を高めていくことにもつながるのではないでしょうか。そして、そのためには、トップダウンではなく、周りを巻き込むリーダーシップがある組織において、豊富な経験に基づく企画力や実践力を持った人材が求められます。今後、どのように専門性を持った人材を生かせる体制を整えていくのか伺います。 ◎松本 政策企画課長 外郭団体が専門性を発揮して、民間の参入が難しい公的な事業へ機能的に取り組んでいくことは、外郭団体の存在意義として大変重要でございます。  今後、コロナ禍を踏まえた新しい生活様式の中でも、これまでにないアイデアや工夫を凝らし、区民ニーズに応える特徴的な取組が求められてくるものと考えております。外郭団体にとって専門性や企画力の核となる人材は、いわば生命線となるものであり、公共サービスの担い手が増える中で、そうした人材の確保、育成は各団体の課題となっていると認識しております。専門資格の取得や研修、講座の受講、民間事業者との人事交流などといった人材育成の取組はもとより、各団体が設立目的に沿って創意工夫した活動を自立して行える組織体制の確保が必要であると考えます。現在、庁内PTにおける人的支援・関与見直し部会において、マネジメント力強化やスキル向上について議論しているところです。今後、御指摘の視点も踏まえ、検討していきたいと考えています。 ◆神尾りさ 委員 核となる人材と自立して事業を行える組織体制が必要と認識されているとのことですが、ここで少し話を変えて、海外の事例について紹介します。アメリカにあるニューヨーク公共図書館。この図書館の名称には公共とついていますが、市によって設置されたわけではなく、民間の非営利組織で、財源は市と民間から得ています。この組織が実施した特徴的な事例があります。ニューヨークには、ネット環境にない世帯が約三百万世帯ありました。図書館では、地域のデジタル格差を解消することは、市民の平等な情報へのアクセスを確保する上で必要な事業だと考え、民間からの寄附を獲得し、一万世帯分のネット環境を整備しました。その実行力は、やがてホワイトハウスや連邦通信委員会を刺激し、何十億ドルもの投資を検討させ、国民六、七千万人をデジタルの闇から救い出したとされます。一組織において、民間の寄附を原資に実施された取組が国全体としての政策を動かした事例です。
     これからの外郭団体には、こういった先見性や大胆な実行力が求められるのではないでしょうか。時代の一歩先を読んで予算を確保し、機動力を持って公や民間では手の届かない事業を実施するためには、区の下請的な存在ではなく、自主自立した運営が必要となります。そういった力強い外郭団体の運営には何が必要だと考え、今後どのように改革を推進していくのか伺います。 ◎松本 政策企画課長 外郭団体では、区の委託業務以外にも、団体の役割に応じた様々な自主事業を展開しております。そうした自主事業を進める中では、お話しのニューヨーク公共図書館のように、住民や法人から賛同を得て、寄附を集めながら社会貢献の取組に生かしていくという視点は大変重要だと考えております。外郭団体の真の自主自立には、それぞれが担うべき使命をしっかりと捉え、斬新なアイデアや先駆的な取組を積極的に展開していくことに加え、団体自ら発信し、多くの方々の賛同を得ながら様々な主体との連携、協働を深めるとともに、収益事業や寄附により自主財源を獲得して有効に活用していく経営手腕が求められます。  区では、従来進めてきた経営の効率化に向けた指導、調整に加え、外郭団体がクラウドファンディングを活用した自主財源の拡充を積極的に進めるなど、外郭団体における発信力や巻き込み力をさらに高めるよう必要な支援を行ってまいります。 ◆神尾りさ 委員 外郭団体ならではの役割や存在意義を踏まえ、社会の変化に柔軟に対応し、時代の先を行くような団体への改革につながるよう要望し、終わります。 ○加藤たいき 委員長 以上で、国際都市せたがやの質疑は終わりました。     ──────────────────── ○加藤たいき 委員長 引き続きまして、区民を守る会、どうぞ。 ◆くりはら博之 委員 私からは、特殊詐欺への対策についてお伺いいたします。  私は、かねてから区民の財産をだまし取る卑劣な特殊詐欺被害の未然防止に向け、啓発の強化を求めてまいりました。特殊詐欺は、手を替え品を替え、狡猾な手口で私たちの生活に近づいてまいります。私たちができることは、常に新たな情報を発信し続け、一人でも多くの方に特殊詐欺の手口を紹介し、だまされることがないように啓発し続けることだと思っております。  そこで、まず区内での特殊詐欺被害の実態について、減少傾向にあるのか、それとも、残念ながら増加傾向にあるのか、また、詐欺の内訳についても教えてください。 ◎野村 地域生活安全課長 世田谷区内の特殊詐欺被害は、昨年、減少傾向を見せていたものの、本年、令和三年は残念ながら急激な増加傾向に転じております。本年一月から六月までの上半期で既に区内で百十九件の被害発生が認知されており、昨年同期比プラス三十三件、被害金額は昨年同期比でプラス一億六千五百五十万円の総額三億一千三百三十九万円に上り、警察からの情報では、その後も増加傾向で被害が確認されているとのことです。  主な手口としては、オレオレ詐欺が二十九件、キャッシュカードをだまし取る預貯金詐欺及び詐欺盗が合わせて三十五件、中でも被害全体の約四割を占める還付金詐欺の被害が昨年同期比六八%増の四十七件と増加しており、区としましても、危機感を持って警察と対策を協議中であります。 ◆くりはら博之 委員 御答弁ありがとうございます。  続いて、新型コロナワクチン接種に乗じた特殊詐欺についてお伺いいたします。  新型コロナワクチン接種に乗じた特殊詐欺の手口と、区内で確認された事例や被害の有無について教えてください。 ◎野村 地域生活安全課長 区内では、ワクチン接種に特化した特殊詐欺という被害は、現在、確認されておりませんが、新型コロナウイルスに関連し、区役所職員をかたり、年金生活の方にコロナ支援金があります、ATMで受け取ってくださいなどとだましてATMに誘導し、犯人の主要口座にお金を振り込ませる還付金詐欺の被害が発生しております。そのほか、被害には至らなかったものの、区役所、保健所、年金機構等の職員をかたり、コロナの助成金や還付金名目、また、PCR検査を受けた方に二万円が戻ります、ワクチンの予約を受け付けるが料金がかかります、ワクチン接種の予約を案内するので料金を振り込んでくださいなど、いわゆるアポ電が区内で複数にわたりかかってきていることが確認されております。いずれも、その後、ATMに誘導しようとする還付金詐欺の手口であったと見られております。 ◆くりはら博之 委員 御答弁ありがとうございます。  区では、ホームページで警視庁が公開している特殊詐欺に関する防犯動画、「特殊詐欺の手口について疑似体験を通して学べる動画」や、実際に犯人が区役所職員や警察官、息子などを名乗ってだましている犯人の声を紹介するなど、特殊詐欺の手口をリアルに紹介していただいております。詐欺被害の未然防止に向けて大変効果がある取組だと思っております。しっかりと周知啓発に取り組んでいただきたいと思います。しかし、先ほども申し上げましたとおり、特殊詐欺の手口は日々巧妙になっております。新型コロナウイルス感染症に乗じた卑劣な詐欺の手口について、最新の情報を提供していくことも必要だと私は考えております。  区は、「ワクチン接種を口実にしたサギに注意!!」というチラシを作成するなど取り組まれておりますが、チラシの文字を目にして想像するのと、動画を見て疑似体験するのでは大きな違いがあるのではないでしょうか。  区では、ユーチューブで世田谷防犯チャンネルを開設し、防犯や交通安全に関する動画を作成し、啓発を進めておりますが、特殊詐欺対策についても動画を作成し、区民に啓発を進めていってはどうかと考えますが、見解をお伺いいたします。 ◎野村 地域生活安全課長 委員御指摘のとおり、動画の活用によるリアルな被害防止啓発活動は有効と考えております。特殊詐欺被害防止を訴える内容の世田谷防犯チャンネルにつきましては、区内の警察署からも協力の申し出を受けておりますので、早期に作成、リリースして、早急に準備を進めさせていただきたいと思っております。 ◆くりはら博之 委員 御答弁ありがとうございます。動画の活用は、コロナ禍での特殊詐欺対策として効果が高いものと考えます。前向きに進めていただきたいと思います。  また、広報の対象は、高齢者もさることながら、高齢者を支える現役世代の若い方、もしくはお子様方への周知にも力を入れていただき、地域全体で支えていくような活動にも力を入れていただければと思います。  以上で私からの質問を終了いたします。 ○加藤たいき 委員長 以上で、区民を守る会の質疑は終わりました。     ──────────────────── ○加藤たいき 委員長 引き続きまして、無所属、どうぞ。 ◆青空こうじ 委員 最近、DXという言葉をよく聞くんですが、私はDXと聞くと、最初にデラックスが頭に浮かびます。今どきDXとは、デジタルトランスフォーメーションということを指すのが一般的のようですが、横文字に慣れていないせいか、なかなか頭に入ってきません。世田谷区議会でも十一月からタブレットを利用した委員会報告が始まると聞いています。タブレットというものを私は使ったことがないので、操作にちょっと不安があります。今回、予定されている二回の説明会に二回とも出席したいと思っています。よろしくお願いします。  世の中、私たち高齢世代もデジタルの波には逆らえない時代になってきました。その波に飲み込まれて溺れないように、少しずつでもいいですから慣れていかなければならないという気持ちを持っているわけですが、時代についていけるかどうか、私自身が心配です。少なくとも携帯はガラケーですし、スマートフォンを使っていません。  実際、高齢世代のどのぐらいの方がスマートフォンやタブレットを持っているのか、また、そうしたデータを把握しているのかどうか、お伺いします。 ◎松永 デジタル改革担当課長 令和二年度に内閣府が実施した情報通信機器の利活用に関する世論調査では、スマートフォンやタブレットの年齢別の利用状況について、よく利用している、または時々利用しているという回答の割合につきましては、全体で七七・八%、六十代で七三・四%、七十代以上ですと四〇・八%という結果がございます。また、昨年度、渋谷区が実施した区民意識調査で、六十代は七七・六%、七十代は六七・〇%の方がスマートフォンを保有しているという結果になっております。数値に差はありますが、いずれの調査においても、年齢が上がるにつれて利用率が低下していることから、世田谷区でも一定の年代以降でデジタル機器の利用率は減少していくものと推測しています。 ◆青空こうじ 委員 ありがとうございます。そうでしょうね。今回のワクチン接種の予約に苦労した区民の方は大勢いると思います。特に最初の対象であった七十五歳以上の方は、幾ら電話しても通じない、何回かけても駄目、次の日に電話をかけても通じない、仕方なし息子にインターネットでの予約をやってもらい、場所はうちからちょっと遠かったけれども、大蔵の運動場でした。区の職員が親切丁寧にしてもらい、区民の方も喜んでいました。  そんな中で、区がまちづくりセンターで行ったワクチン予約の代行は本当によかったと思います。私の周りの区民の方からも本当に助かったと聞いています。ふだんまちづくりセンターにあまりなじみのない人も、まちづくりセンターというものを知り、ありがたみを感じたのではないでしょうか。最近、三回目のワクチン接種の話も出てきていますが、本日は企総の所管ですので、ワクチン接種の予約だけではなく、スマートフォンやタブレットになじみのない高齢世代の人たちが機器を使えないがために、行政サービスを受けられないといったことがないようにしていただきたいと思いますが、区の見解をお伺いします。 ◎松永 デジタル改革担当課長 行政サービスのオンライン化等が進むことによって社会全体でのデジタル技術の活用が期待されておりますが、一方で、利用者の年齢が高くなるにつれて、スマートフォンの普及率やインターネットの利用率は減少する傾向にございまして、高齢者を中心にいわゆる情報弱者になりやすいと考えております。行政サービスに限らず、誰もがデジタル技術の恩恵を受けられる社会の実現を目指さなければならないと考えております。  今年度、区では、東京都の支援事業を活用いたしまして、高齢者を対象としたスマートフォン教室を実施する予定でございますが、今後、DXの推進に当たり、デジタルデバイド、いわゆる情報格差の解消も同時に進めていかなければならないと考えております。  国の調査では、スマートフォンを利用しない理由として、必要ないからというのが最も多い中で、パソコンやスマホを利用できる人だけが便利さを享受するのではなく、実際にデジタル機器を使用して自分に合った利用方法を体験できる機会をつくるなど、誰にとっても便利で易しいDXを目指していきたいと考えております。 ◆青空こうじ 委員 確かに本当になじみのない方がいっぱいいるもので、よろしくお願いしたいと思います。  また、コロナウイルス感染症については、緊急事態宣言が解除されたとしても、私たち高齢世代は、ワクチンを受けたとしても不安がなくなるわけではありません。当面、外出には慎重にならざるを得ないと思うし、他人と接触することも不安があります。というのも、ただでさえ孤立しがちな高齢者がますます孤立してしまうことは避けていただきたいと思っております。離れて暮らす家族や友人たちと直接会わなくても、デジタルの技術を介して、高齢者の見守りにもなるのではないかと思っております。  現在のコロナ禍だからこそ、気づいたこともあるわけですが、高齢者を孤立させない見守れる社会をDXで実現していただきたいと思いますが、区の考えをお伺いします。 ◎松永 デジタル改革担当課長 コロナ禍をきっかけとして、行政サービスにおいても、来庁、対面型から、非来庁、非接触型というのが求められておりますし、一般の行政サービス以外でもこうしたデジタル技術を活用したサービスの見直しというのが進んでいるというふうに認識しております。コロナ禍で不要不急の外出の自粛が求められ、他者との接触の機会が減りまして、今まで以上に、お話しのように高齢者、特にひとり暮らしの方への見守りの強化というのは求められていると思います。今後、スマートフォンやタブレット端末等のデジタル機器が社会からの孤立を防ぐツールとしての活用なども必要になると考えています。一方で、DXの推進により人材や財源を生み出し、相談業務などを区民により身近な地域の諸課題への対応に振り向けることも目指したいと考えております。 ◆青空こうじ 委員 よろしくお願いします。以前のように、マスクなしで自由にいろいろなところに出かけられる日が来るのが本当に待ち遠しいです。ぜひ区民にとってデラックスなDXを進めていただきたいと思い、以上で質問を終わります。 ○加藤たいき 委員長 以上で、無所属の質疑は終わりました。  ここでしばらく休憩いたします。     午後四時七分休憩    ──────────────────     午後四時二十五分開議 ○加藤たいき 委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  自由民主党、どうぞ。 ◆宍戸三郎 委員 自由民主党の企画総務領域の質疑を始めさせていただきます。  本日、午前中から現在まで、台風十六号の影響で強い風や雨が続いています。昨日より、各マスコミの報道や気象情報では、多くの注意を呼びかけています。災害に対する準備はとても大切で、そのための詳細な情報や予測はそれ以上に重要だということだと思います。今定例会の一般質問で、私は災害対策について取り上げました。そこで私は、区が持っているデータを有効に活用して区民の皆さんへ知らせ、あらゆる状況を想定した対策を立て、実践的訓練を実施することが災害対策には重要であると申し上げました。この委員会では、各論で具体的なことについて、提案も含め、いろいろ伺っていきたいと思います。  先日、災害対策課長とやり取りする中で、分厚い災害対策マニュアルがあると伺いました。そのマニュアルがいざというときにどれだけ役に立つか、多少不安は残りますが、それはさておき、私は再三、災害対策においては初動体制の重要性を指摘してまいりました。中でも夜間には照明がなければなりませんし、パソコンを使うことができなければ復旧、復興の事務が何もできないのではないかという考えから、電源確保が非常に重要であると申し上げました。  ところが、まず庁舎が使用できるかどうか、建物診断をしなければならないと伺いました。なるほどと納得したわけですが、電源確保前に必要となる初動手順にはどんなものがあるのか教えていただけますか。 ◎桐山 庁舎管理担当課長 区の災害対策本部を抱える区役所本庁舎におきまして、発災直後の電源の確保は、初動体制の起点となる重要な任務であると認識しております。現庁舎におきましては、大震災等で変電所からの電力の供給が途絶えた場合の業務継続のため、非常用電源は自動で発電機が起動し、給電が開始される仕組みとなっております。  災害対策本部を設置する第三庁舎におきましては、参集した職員が庁舎の躯体のひび割れや窓ガラスの破損状況等の安全確認を行い、同時に、区の電気技術職員が非常用電源の運転開始を確認します。あわせて、不要な照明を消灯するなど、電源への負荷を最小限に抑えるための点検を行い、災害対策本部の業務継続のための環境を確保しております。 ◆宍戸三郎 委員 非常用電源は自動で発電機が起動するということですが、それでは、復旧も自動なのでしょうか、伺います。 ◎桐山 庁舎管理担当課長 電力の供給が復旧して通電した際にも、変電所からの電力供給に自動で切り替わる仕組みとなっております。 ◆宍戸三郎 委員 電源確保は民間事業者と契約していると伺いましたが、災害対策に関してほかに委託しているものはありますか。また、何らかの事情で委託を受けている人が来られないこともある、当然そういうことも想定しておかなければいけないと思います。災害時の電源確保のためにも、ダブルキャスト、トリプルキャストとしておく必要があると考えますが、所管の考えを伺います。 ◎桐山 庁舎管理担当課長 現庁舎におきましては、大震災等で変電所からの電力の供給が途絶えた場合、非常用電源は自動で発電機が起動し、給電が開始される仕組みとなっております。また、災害時は、電気技術職員がこの自動起動式の非常用発電機の運転状況を開始する任務に就くこととしております。その上で、庁舎電気設備保守の受託事業者との契約内容としまして、平常時の業務のほか、時間外を含む災害等、不時、不測の故障に際し、速やかに応急措置や必要な作業を行う旨を含めており、災害時の電源確保に関しましても、非常用電源装置の稼働確認並びに継続運転のための作業を参集職員とともに行うこととしております。 ◆宍戸三郎 委員 本会議と先ほどの答弁では第三庁舎に限ってのお答えでしたが、併せて第一庁舎、第二庁舎も自動切り替えなのか、また手動のままなのか伺います。あわせて、作業点検も行われているのか伺います。 ◎桐山 庁舎管理担当課長 第一庁舎及び第二庁舎におきましても、第三庁舎と同様に、発災時にはスイッチ等の操作ではなく自動で非常用電源設備が起動する仕組みとなっております。また、第一庁舎、第二庁舎、第三庁舎とも、非常用電源設備は年に二回点検作業を実施しているところでございます。 ◆宍戸三郎 委員 この点検においても十分な対応をしていただくようお願い申し上げておきます。  通電火災等の二次災害を防ぐために、ほかの施設でも、例えば総合支所やまちづくりセンター、避難所などで専門的な知識がある電気技術職員が必要となるのではと考えます。区では、何人の電気技術職員がいて、そのうち何人が区内在住なのか伺います。 ◎桐山 庁舎管理担当課長 区では、電気技術職員が令和三年四月一日現在、三十七名在籍しておりまして、在籍している職員のうち世田谷区内に居住している職員数は十八名と聞いております。 ◆宍戸三郎 委員 区内在住者だけでなく、その三十七名の電気技術職員の方々が常日ごろからの専門的知識をいざ災害時には十分生かせるよう、計画を立てていただくよう要望しておきます。  次に、実践的な訓練の現状について伺っていきます。東京都の調査では、令和元年までの過去五年間、毎年二百万人以上が防災訓練に参加していたが、コロナ禍の対応もあって、令和二年度は約七分の一の三十二万人と大幅に減少していると聞いています。世田谷区内では、どのような状況なのか伺います。また、区職員の防災訓練のこれまでの取組と現状を伺います。 ◎長谷川 災害対策課長 委員のお話にございました毎年多くの地域の方々が参加する防火・防災訓練、こちらは町会・自治会、学校などが主催し、東京消防庁職員や区職員も訓練指導機関として参加しているものでございますが、感染拡大防止の観点から多くが中止となってございます。  一方、区の職員による区の災害対策本部の訓練につきましては、この間、ズームの活用や密集を避けるなど、感染拡大防止に最大限の注意の上、予定どおり実施をしております。この訓練は年に一回、全庁が参加をいたしまして、年々工夫を加えながら実施しているところでございます。例えば、令和元年度の訓練では、警察、消防、自衛隊、ライフライン事業者とともに、大規模災害時の火災等の発生事案に対する情報連絡の確認などを行ってございます。令和二年度は、災害、災対各部ごとの行動シミュレーションを中心に、今年度に初めて導入しました通信用アプリ、ラインワークスを用いた内容とするなどの工夫を加えております。  今年度につきましては、大型台風を想定した避難情報発令判断のための災害対策本部運営訓練と、震災時の初動行動訓練と、本部長室会議訓練の二回実施をいたします。年に二回の全庁参加訓練というのは初めての試みでございまして、状況に応じて何を行うべきかを考え、対応を判断する内容としてございます。このように、今後につきましても、引き続き実践的なものとなるよう工夫の上、取り組んでまいります。 ◆宍戸三郎 委員 各年度においていろいろな工夫をなさっているのを伺いました。しかしながら、災害に備えての実践的な訓練を決して怠ることのないよう強く要望しておきます。  また、災害時には、職員の方々は不眠不休の作業になることも予測されます。仮眠を含めた宿泊施設の確保、また、必要数をどのように考えているのか伺います。 ◎長谷川 災害対策課長 大規模な災害が発生した場合、区の職員は、非常配備体制による応急対策業務から、引き続き業務継続計画に基づく復旧・復興業務に当たることとなり、御指摘のとおり、職員には大きな負担がかかるものと見込まれます。  このようなことを考慮いたしまして、災対各部におきましては、職員の参集状況や活動状況に応じまして交代制とするとともに、やむを得ず庁舎で宿泊をする場合には、庁舎内の会議室、職員休憩室を活用することなどが考えられるところでございます。宿泊の必要人数の想定までは行ってございませんが、職員の負担を考慮し、初動期から区民の生活再建までを支えられるよう工夫に努めてまいります。 ◆宍戸三郎 委員 冬場であれば、インフルエンザなどの流行等も予測されます。区民のため、作業効率を考え、短時間でもよりよい休息につながるような環境を用意してほしいと思います。  次に、保有データの活用について伺います。さきの一般質問でも取り上げましたが、もう少し具体的にお聞きしたいと思います。答弁では、国土交通省は気象庁と合同で上流域の降雨量や支流からの流入量、流域の保水力等の様々なデータを解析した上で、現在の水位や三時間後の水位上昇予測等を洪水予報として自治体に発表するということでした。そもそも、なぜ三時間後なのか、三時間後の水位情報予測の自治体に対する発表をどうしてそのまま区民に伝えないのか伺います。また、その改善策があったら伺いたいと思います。 ◎若松 危機管理部副参事 三時間先の水位予想につきましては、国土交通省京浜河川事務所が、様々なデータ分析の結果や自治体が避難情報発令判断に要する時間、住民が避難にかかる時間などを考慮した上で設定をしております。また、一般質問でも御答弁申し上げましたが、住民向けの多摩川洪水予報につきましては、報道機関を通じ周知されるほか、国土交通省ホームページで公開がされることとなっております。  水位上昇予測に関する区民の皆様への今後の情報提供につきましては、国土交通省ホームページのリンクを区ホームページに記載するなど、周知徹底を図ってまいります。 ◆宍戸三郎 委員 国土交通省のホームページのリンクを区のホームページに記載するとの答弁をいただきました。よろしくお願いいたします。  もう一つ、区で配信している河川水位情報があります。災害に関する情報は重なっていてもよいと思います。洪水で被害を受けるおそれのある区民の方に対し、より分かりやすい情報提供に関しての区の見解をお聞きします。 ◎若松 危機管理部副参事 区は、災害時の情報収集方法として、風水害編のホームページ、多摩川の洪水や野川、仙川などの中小河川の洪水、土砂災害に関する情報等を一つにまとめ、ホームページで開設をしているところです。そのページにおいて、多摩川の洪水に関しては国土交通省の川の防災情報、中小河川の洪水に関しては東京都水防災総合情報システム並びに世田谷区雨量・水位情報、また、気象庁の洪水警報の危険度分布等の詳しい説明とともにリンクを掲載しております。また、土砂災害についても、河川の情報と同じく、気象庁の土砂災害の危険度分布等の説明とリンクを掲載しております。委員お話しのとおり、区民の皆さんに対してより分かりやすく情報発信ができるよう、今後も工夫を図ってまいります。 ◆宍戸三郎 委員 より分かりやすく情報提供できるよう工夫をしていくとのことですので、ぜひよろしくお願いいたします。  国土交通省と気象庁合同によるデータ解析の詳細を自治体としても知っておく必要があると思いますが、承知しているのか伺います。 ◎若松 危機管理部副参事 解析の詳細につきましては、自治体が避難情報の発令などに生かせるように、専門的な技術がない職員でも理解しやすいよう、国土交通省が縦軸に各項目を取り、横軸に時間を取った開始から終了までを棒状で表現したバーチャートなどに加工した上で自治体に発信をしており、区といたしましても、そうした解析詳細の結果は承知をしております。  区は、こうした多摩川の水位上昇の解析データや気象情報などを総合的に勘案した上で、避難情報の発令判断基準に基づいた対応をしております。 ◆宍戸三郎 委員 区は、解析詳細の結果を承知していると伺いました。  それでは、多摩川が氾濫したときの状況を時系列で検証し、どのような情報をいつ発信すれば区民の皆様が被害に対する備えができたのか、大規模氾濫減災協議会に対し流域自治体の要望をぶつけたらどうかと思います。区の見解を伺います。 ◎若松 危機管理部副参事 区は、令和元年台風第十九号の対応を教訓に風水害対策総点検を実施し、多摩川があふれたときの状況を時系列で検証した上で、情報発信の強化に取り組んでおります。  区民の皆さんに対して、風水害の事前の備えをしていただくためには、避難に関わる情報を適時適切に発信をすることが大切と考えております。  そうしたことから、大規模氾濫減災協議会の場において、国に対して早期の避難情報発令につながる多摩川洪水に関する情報提供を要望するとともに、自治体向けに発表される六時間先の水位上昇の予測についての精度向上についても併せて要望してまいります。区民の皆さんがいち早く事前の備えができるよう、区は適時適切な情報発信に努めてまいります。 ◆宍戸三郎 委員 六時間先の水位情報予測についての精度向上も要望していくとのことなので、ぜひお願いいたします。区民の生命と財産を守るという大前提のためにも、よろしくお願いいたします。多摩川に限らず、支流の野川もあふれたわけですが、野川、矢沢川などの支流でも水位情報は配信されています。  そこで、支流でも水位の予測はできるのか伺います。また、できないのであれば、都と区で過去のデータ解析をして事前準備を可能にする策は考えられないのか、支流の流域の降雨量と河川水位情報を時系列で検証し、上昇予測にトライしてみてはと思いますが、見解を伺います。 ◎若松 危機管理部副参事 野川、矢沢川などの中小河川においては、短時間かつ局所的なゲリラ豪雨などによる水位上昇は著しく速く、水位上昇の予測及び解析は難しい面がございます。そうしたことから、河川管理者である都は、ゲリラ豪雨などの際には水位をライブカメラにより常時監視をして、氾濫危険水位に達した時点で氾濫危険情報を発表します。区は、それを受けて避難情報の発令を行います。区は、最新の気象情報を収集するとともに、水位変化の状況を監視することで万が一の河川氾濫に備えます。また、中小河川洪水浸水想定区域にお住まいの皆さんに対しては、いざというときに早めの避難行動が取れるよう、必要な情報の発信を強化してまいります。 ◆宍戸三郎 委員 今後の研究調査と、それ以上の前向きな姿勢と努力を期待しております。  様々質疑をさせていただきましたが、私が申し上げたいことは、区民の皆様の安全安心のために必要なのは、区民の目線に立っての分かりやすい情報収集と周知、そして、初動体制に対する十分過ぎるほどの準備と想定力だということです。私は、長年にわたり商いに携わってきました。そこで一番大切なことは、お客様の目線に立って仕事を進めること、信頼を得るための十分過ぎるほどの準備をすること、毎日毎日同じ仕事でも向上心を持って取り組むことで、今までできなかったことも可能になり、お客様に喜んでいただく、そのことが自分自身にとっても大きなやりがいとなり、励みとなり、そして、その仕事が楽しくなるということを体験し、学んできました。このことは、先ほども私が申し上げたこと、区民の皆様の安全安心のためには、区民の目線に立っての分かりやすい情報収集と周知、そして、初動体制に対する十分過ぎるほどの準備と想定力につながっているのではないかと感じています。  最後に、このことを私の意見として、和田委員と替わります。 ◆和田ひでとし 委員 では、私からは、やはり避難所体制について、また少し伺っていきたいと思います。  今日は、御覧のとおり、外は台風の影響でかなりの雨、風が吹いておりますが、私は、ちょっと視点を変えまして、いわゆる避難所体制が区で本格的に構築されてきた経緯を遡ってみたいと思います。  まず、平成七年一月十七日といえば、皆さん御存じの阪神・淡路大震災。関西地方ではそういった大きな地震というのはあまり起こらないというような中で、突然大きな阪神・淡路大震災が起こりました。私の家内がちょうど兵庫県出身で、家内の兄弟が西宮と尼崎に当時住んでおりまして、兄と弟がいたわけですけれども、丸二日間は全く電話が通じませんでした。  それで三日目になってようやく電話がつながるようになって、現地の状況が分かってきました。ともかく兄弟家族は無事であるということが確認できて、うちの家内もほっとしておりましたが、どんな状況かと聞いたところ、水もガスも出ない、電気だけはようやくつき始めたという状況の中で、まだ小さな子どもを抱えての兄弟でしたから、今、何が一番困っているかと言ったら、やっぱり水が出ないこととガスが出ないということはともかく非常に困ると。  一月ですから、非常に寒い季節のあの地震でしたから、うちの家内と相談してどうすると言ったら、ともかく心配だから行きたいと言っていたんですけれども、当時、東海道新幹線もストップしておりまして、たしか丸三日間ぐらい止まっていたかと思います。行く方法がないねと、飛行機で行ってもいいんですけれども、現地に行っても分からないしということで、電話で連絡をしながら、たしか四日目ぐらいに東海道新幹線は京都まで暫定的に開通をしたという話で、京都まで行ければ、あとは在来線を乗り継いでも行けるかということで、では、分かった、行こうということで、持てる限りの荷物を買い込んで持っていきまして、水とかカセットコンロ、本当は運んではいけないであろうカセットコンロのボンベなんかもリュックに目いっぱい詰めて、カップラーメンとかいろんなものを詰め込んで京都まで行き、そこから在来線に乗り継ぎ、そして、甲子園まで阪神の電車が動いていましたので、甲子園で阪神電車を降りて、そこからタクシーで、まずは何とか兄の家へたどり着きました。  ちょうどその甲子園を降りたときに、阪神高速が大きく傾いていて、まさにあの惨状は、私にとっては衝撃的でした。本当にこんなことになっちゃうんだというのを目の当たりにしまして、今でもあの恐ろしさというか、あの光景が忘れられませんけれども、そういった経験をした中で、やはりその当時、関西での大地震で避難所がいかに大切であるかということ、また、あの当時は避難所の体制も何もできていない中で、ともかく皆さんは学校へ避難だとか、公園に集まって車の中で避難だとか、あの惨状は本当に目にあまるものでしたけれども、たしかそれをきっかけにこの世田谷区でも避難所の構築ということが大きな課題になったかと思っております。
     特に避難所を立ち上げるに関しては、私の住む地区では、奥沢地区ですけれども、まずは自分たちの町を自分たちで守るんだという構想を掲げまして、避難所訓練というものを、宿泊訓練を初めて、たしか三年続けて三つの小中学校で宿泊訓練を行いました。私も当時、自営業ですし、小学校の子どもたちもおりましたので、その避難所訓練には積極的に参加をしました。そこで感じたことは、何といっても、この避難所にたった一晩泊まるだけでも、体育館に一晩寝るだけでも、こんな思いをするのでは冗談じゃない、絶対に来たくない、避難所なんかに泊まりたくないという思いの中でしたけれども、そうはいっても、どんなことになるかは全く分からない。  そういったときに、やはり町の中で課題となったのは、まずは自助、共助の体制づくりというふうに皆さんで課題を掲げました。そして、まずは自分たちの町は自分たちで守るということを念頭に、各小中学校が一時的な避難所であるということがだんだん構築され、現在では、ほぼ区民の皆さんは、いざ地震が起こったら、火災が発生してしまったら、まずば地元の近くの小中学校に避難をするんだということはすっかり定着をしてきたかと思っています。  しかし、昨今では、地震だけではなくて、いわゆる大雨ですとか、今日のような台風ですとか、こういったものが特に顕著に現れるようになってきました。これは多分、気象状況の変化もあるんでしょうけれども、さらに予報精度もかなり高まりまして、今日の台風なんかもたしか一週間ぐらい前から、恐らく強い勢力のまま日本に接近するのではないか、本州に接近するのではないかという予報の中で、まさに今日このように台風が襲ってきているわけです。こういった中で、台風に備えての避難所体制、また地震のときの避難所と風水害時の避難所というものは明らかに違うんだということをどうやって区民の皆さんに啓発していくか、これも今、大きな課題になっているのではないかなと思っております。  記憶に新しいところでは、令和元年の台風十九号は、区内でも多摩川流域で大変大きな被害を出してしまったという中で、たしかあのときは台風が二個来たはずですけれども、私も物すごい風を経験して、私の家は木造家屋ですけれども、夜に二階で寝ていてもかなり揺れたなという感じもしましたし、恐怖感も正直感じました。  そういった中で、実際にすぐ隣の中学校の避難所に、怖いので避難させてくださいという方が見えたんですね。私は中学校の避難所の鍵を預かっていたもので、中学校の警備さんから電話をいただきまして、こういう方が見えています、どうしましょうかと。私もそこでは判断ができなかったので、区のほうの支所の地域振興に電話を入れまして、こういうふうな方が来ているけれどもどうしますかと言ったら、区としては、その中学校では今、避難所としては開設できませんという返事だったので、警備さんにもう一回電話をして、ここの避難所は開設できませんということで、申し訳ないけれどもその方にはお帰りいただいたと。  そういった風水害時の避難所というものの体制は、区民にはまだまだ周知をされていないのではないかなというところが大変気になりまして、今定例会の一般質問におきましても風水害時の避難所体制について伺いましたが、その答弁としましては、地元協力を得ながら身近な公共施設も開設できないかとの質問に対して、地元の協力が得られれば、よりきめ細かい対応も可能でありますという答弁をいただきました。  そこで、例えば、より身近な地区会館であるだとか区民センターなども、一時的な避難所として、せめて台風が通過する間だけでも身を寄せることができれば安心できるかなと思うのですが、これについて改めて見解を伺います。 ◎長谷川 災害対策課長 風水害の避難所の中でも、特に土砂災害の場合の避難所につきましては、身近な施設で避難所を開設することも考えられるところでございますが、ただ、洪水などの浸水害が同時に予想される場合につきましては、当該施設を必ずしも水害と土砂、同時に避難場所とすることができるとも限らないというのが一つございます。また、避難所施設が小規模な施設である場合にはすぐに満員になってしまう、こういったことが想定されますが、定員をオーバーした場合に暴風雨の中で避難者をまた別の避難場所へ搬送させるという手段がないという課題もございます。  このように、避難先が複雑化し、分かりにくくなること、また、せっかく身近なところで避難所を開設したにもかかわらず、例えば避難行動の要支援者など配慮を要する方々の避難ができなくならないような公平性とのバランスを考慮した事前の利用ルール、こういったものの設定ですとか、あと、お話がございました周知、案内の工夫などが課題になるものと考えております。 ◆和田ひでとし 委員 今回は、台風のコースが直撃というよりは東に少しずれていて沿岸を今進んでいるということですので、それほど大きな被害にならずに済むのかなとは思うんですが、それにしても、伊豆諸島であるだとか房総半島辺りで大きな被害にならなきゃいいけれどもなという不安の中にはあるんですけれども、近年の台風は非常に強い勢力のまま接近してきたり、上陸したりとか、恐らく海水温が高いのかなと思うんですけれども、また、時にはあまり聞いたことのない猛烈な勢力という言葉も聞くようになりました。  今回の台風も、たしか二、三日前には猛烈な勢力というようなことを言われていましたので、そういったような予報が出てしまうと、恐らく区民の皆さんは物すごく不安になってしまうんじゃないかなというところなので、特に高齢者世帯など、また、要支援者の方々への早めの避難を促すためにも、一時的に避難できる身近な場所、課題は幾つかあるかと思いますけれども、地元協力を得ながら、そういったことを整えていただき、区民の安全安心な暮らしを進めていくことを改めて要望しておきたいと思います。  次に、特殊詐欺について、先ほども質問が出ていたと思うんですけれども、この特殊詐欺の被害は、どうもここのところ相当急激に増えているということを先ほども伺いました。私は、毎日でもないけれども、時々、夕方、NHKのニュースで、六時台、七時前ぐらいにやっているんでしたか、首都圏ニュースで「ストップ詐欺被害!私はだまされない」というコーナーがあって、特殊詐欺について、よく女性のアナウンサーが今日はこういったところに電話が入っていますとか、こういったことにぜひ気をつけてくださいとか、そういったテレビがあるのを時々見ているんですけれども、やはり警察官であるだとか銀行員であるだとか、一番残念なのは、区の職員というのをかたってだましてやろうと、手を替え品を替え、こういった方法でだましてやろうという犯罪が増えているのは本当に残念でならないんです。  これまでは留守電対応だとか、あるいは自動通話録音機といったもので、どうか皆さん気をつけてくださいという対応の仕方をしてきたかと思うんですが、これはたまたま六月十七日の日本経済新聞に載っていた記事で、還付金詐欺などの被害防止は官民の連携で進まれてきたと、各金融機関は二〇一五年ごろから警察の要請を受けて職員による声かけや振込金額の制限などの対策を導入。警察庁によると、二〇二〇年の認知件数は千八百四件と二〇一六年から五一%減り、被害額も約二十四億九千万円と同じく四一%減少した。しかし、二〇二〇年冬からは被害が増加に転じた。還付金詐欺は、犯行が完結するまで一貫して人と人との接触がないと。捜査関係者の一人は、外出自粛や行動制限が求められ、オンラインでのコミュニケーションが常態となったコロナの時代に、いみじくも適合した犯罪形態と言えると言っている。そうした中で、今年二〇二一年一月から四月の認知件数は千一件と前年同期比で約二倍の水準に達しているというふうに言われたと記事がありました。  先ほどの答弁の中でも、世田谷区の被害状況についてありましたけれども、区内では、今年一月から六月までの特殊詐欺被害総件数が百十九件、前年同期比プラス三十三件で、被害金額にあっては総額約三億一千三百三十九万円という金額、昨年同期比でプラス一億六千五百五十万円といった答弁がありました。この金額を見て改めてびっくりしたわけですけれども、さらに、これがまだまだ増えている状況にある。たった半年間でこの状況ですから、今後もさらに増加し続ける可能性は当然考えられるわけで、区としても、やっぱりこの状況を放っておくわけにはいかないと思います。  そういった中で、やはり対策の遅れというのは今後大きな被害の拡大につながっていってしまうような気もいたします。特に高齢者の方々がこつこつためた大切な財産、こうった区民の皆さんの財産が失われているだけではなくて、家族関係まで壊してしまうと言われている特殊詐欺の被害、この防止に向けてこの対策というものは本当に急がれておると思うんですけれども、区としての現在の対策について見解を伺いたいと思います。 ◎野村 地域生活安全課長 今、委員御指摘のとおり、今、世田谷区内では被害の発生が非常に増えております。先ほど数字を示させていただきましたが、特徴としては、一件当たりの被害額が非常に増えていること、また、還付金詐欺の被害が非常に増えているということの二点が挙げられます。また、都内全体で、上半期被害件数は全体的に増加しているものの、都内の増加率は二三%増、うち還付金詐欺につきましては四二%増であったことに比べまして、世田谷区内は、被害件数が三八%増、還付金につきましては六八%増と、その増加率は都内でも群を抜いている非常に危機的な状況でございます。  この急激な特殊被害詐欺に歯止めをかけるためには、平素からの注意喚起活動のさらなる強化に加え、被害直前の物理的な被害防止対策の構築が急務であると考えております。先ほど来申し上げています特に犯人に被害者が接触しない還付金詐欺の場合、いわゆるアポ電が入電した際に警察官を全ATMに配置することは事実上不可能であります。そのため、区内四警察署、金融機関と連携をして、ATM前での声がけ活動や、これは全国的に今進めておりますが、「ストップ!ATMでの携帯電話」運動を推進するとともに、より実効性の高い被害直前で食い止める物理的な被害防止対策の構築に向けて、現在、関係機関と協議中であります。 ◆和田ひでとし 委員 まさに直前で食い止めるという方法はやっぱり非常に重要かなと思いますし、犯人があの手この手と次から次へと変えてくる、そういったことに対して向かっていかなきゃならない、まして一番残念なのが、こういったコロナ禍という中の状況を利用してまで、一生懸命というか、まさにそうやって稼いでしまっている状況は本当に残念でならないんですけれども、対策の遅れというのは被害の増大にますますつながってしまうと思いますので、ぜひ区内金融機関や警察とも連携して対策を急いでいただきたいと思います。  今、たしかATMでの携帯電話の使用禁止云々という話もあったかと思うんですけれども、これもやはり六月の日本経済新聞に載っていたんですけれども、ATMでの携帯電話による通話について、全ての来客者に自粛を呼びかける活動は、警視庁と信用金庫であるだとか、そういったところと協定を結んで始まったと。東京都内の信用金庫協会に加盟する二十四信金にまで取組が広がっていると記事が載っているんですね。  今現在、電車の中では携帯電話は使わないでくださいというのはすっかり定着した状態ですけれども、これからは、やはりATMでの携帯電話の使用禁止というものももっと広めていって、私たちも、やっぱり携帯電話はATMに入ったら使えないというぐらいの啓発をしていかないとなかなか食い止め切れないのかなと思いますし、そのぐらいの強い姿勢が必要かと思いますので、ぜひ区の啓発活動についても、こういったところをしっかりと進めていただきたいと思います。  次に、旧奥沢まちづくりセンターの建物活用について伺っていきたいと思います。  奥沢まちづくりセンターは、奥沢、東玉川両町会のちょうど中間に位置しておって、地区拠点としては大変よい場所にあったところですが、今まで大変古く、また、狭隘、狭かったということがあって、今ではあんしんすこやかセンター、そして社会福祉協議会との一緒になった設備ですから、これまでの古く狭いまちづくりセンターでは、地元の皆さんにもぜひ建て替えをという声は前から上がっていたんですけれども、ようやく一昨年、新しい土地が購入できまして、古いまちづくりセンターから約五十メートルほどのところに、同じ自由通りに面して新しいまちづくりセンターが実現をできたということは大変喜ばしいことなんですが、残念ながら、複合化とまでにはいかなかったということで、いろいろな制約があって致し方ないのかなとは思うんですけれども、六月の第二回定例会でも私は一般質問いたしましたが、こういった状況の中で、奥沢・九品仏両地区には児童館が今までもない、そしてさらに奥沢の区民センター、図書館、子育て児童ひろばが入るビルは、耐震不足が指摘をされて六年以上も経過をしている、つまり耐震補強ができないままでいる。  こういった状況の中で、子育て児童ひろばについては、今、仮運営となっております。仮運営といいましても、近くの商店街の酒屋さんがたまたまお店を閉じたということで、その空いた店舗を借りて、本当に狭いところですけれども、商店街の皆さんに温かく迎え入れられながら、仮ですけれども、どうにかこの運営を続けているという状況です。  こういった公共施設環境が大変厳しい中で、昨年十月、地元より旧奥沢まちづくりセンター建物の継続利用に関する要望が出されたかと思います。改修などは必要最小限でいいから、ともかく活用させてほしいといった要望だったかと思います。現在、仮の運営をしております子育て児童ひろばは、旧のまちづくりセンターからすぐのところで、大変狭いところでありますが、既に六年以上、仮運営を続けているわけです。  そういった中で、新しいまちづくりセンターに移転をしてから既に一年半が経過しているわけですけれども、旧まちづくりセンターの建物の活用については、いまだ方向性が示されておりません。改めて、区はどのように考えているのかを伺いたいと思います。 ◎松本 政策企画課長 旧奥沢まちづくりセンターについては、新実施計画(後期)の推進状況でもお示ししておりますとおり、行政需要への対応、貸付け、売却による税外収入等を含め、資産としての有効活用を検討することとしておりますが、いまだ方向性が定まっていない状況でございます。  令和二年十月には、地元より、委員もお話しのとおり、旧まちづくりセンター建物の継続利用に関する要望が提出されており、災害時のひとときの避難の場であったり、子育て支援の場など、地域活動の場としての利用が求められているほか、地区内の児童館がないことも課題として指摘されております。  当該建物のある奥沢地区は、児童館の未整備地区でありますが、公共施設等総合管理計画を踏まえ、学校等との複合化を基本に整備を行っていく方針であることから、まずは築六十三年を迎える奥沢中学校の改修、改築に合わせた複合化の可能性を関係所管で検討しているところです。現段階では、奥沢中学校への複合化の可否の判断ができていないことから、旧奥沢まちづくりセンターについても児童館の整備候補地として外すことができず、跡地の有効活用の方向性を示すことができていない状況でございます。  引き続き関係所管と連携し、奥沢中学校への複合化の検討を進め、早い段階で複合化の可否などを判断するとともに、旧奥沢まちづくりセンターについても、地元要望などを踏まえ、検討を進めてまいります。 ◆和田ひでとし 委員 今の答弁では、旧奥沢まちづくりセンターの建物、児童館の整備候補地として外すことができないという答弁があったかと思いますけれども、それによってこの跡地の有効活用の方向性がまだ示せていないんだと、そうであるならば、奥沢中学校の複合化の判断を慎重かつスピーディーにすべきだと思います。  この点、第二回定例会において、両副区長の力強い答弁をいただいたんですが、残念ながら、今その両副区長はこの区役所にはおりませんので、ここでは改めて、今日、唯一ここにいらっしゃいます中村副区長に、ぜひこの児童館整備、奥沢中学校の複合化について何とかスピーディーに進めていただきたいということについて、見解を伺いたいと思います。 ◎中村 副区長 お話しの件につきましては、両元副区長からしっかり話を聞いているところです。奥沢中学校の改修に合わせて児童館を複合化整備することにつきましては、現在、関係所管部において課題を洗い出しているところです。実現できますよう、引き続き具体的に検討を早期に進めさせていただきたいと思います。 ◆和田ひでとし 委員 ここは何とかぜひ中村副区長にも一肌脱いでいただければなと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  今年度、奥沢中学校の改修についての基本構想が始まったところですので、もしこれが方向性が定まったとしても、実現までには数年、もしかしたら六年、七年ぐらいは優にかかるのではないかというふうに私は伺っております。地元の方々にとってみれば、たとえ多少年数はかかったとしても、そこにできるんだということが約束されれば、では、もう少し我慢しようという気になれるかと思うんです。だからこそ、この旧まちづくりセンターの建物は、地元にとっては大変貴重な存在であります。たとえ古くとも、狭くとも、一応耐震化ができていますので、大変貴重な存在であることは間違いありません。  ところで、先ほどの最初の松本課長の答弁の中で、この跡地の利用については、行政需要への対応、また貸付け、売却を含めて検討とありました。そういった中で、まだ方向性が決まっていないんだというふうな答弁だったんですが、よもやと思いますが、売却というのはないですよね、その点はいかがでしょうか、確認させてください。 ◎松本 政策企画課長 区施設の跡地につきましては、公共施設等総合管理計画の考え方に基づきまして、新たな施設需要もある中、施設総量の維持や財源を確保する観点から売却を基本としているところでございますが、跡地周辺に行政需要や施設ニーズがある場合は、機能転換や民間誘致による貸付けなども選択肢とし、立地特性や費用対効果なども含め、多角的に検討し、区民の理解を得られるよう慎重に判断をしているところです。  旧奥沢まちづくりセンターについても、売却は一つの選択肢ではありますが、御指摘のとおり、地区内には、児童館ですとか、また区民センターの問題などもあることから、地区内の課題解決に資するかどうかなど慎重に見極めた上で有効活用策を判断してまいりたいと考えております。 ◆和田ひでとし 委員 ありがとうございました。先ほど来申し上げておりますように、この地区には、まず児童館がないということ、それから、区民センター、図書館、子育て児童ひろばが耐震不足のまま六年以上も運営され、または仮運営をされているままであるというようなこと、これはどう考えても、課題解決に資すると私は考えております。  ですから、どうかここは慎重かつスピーディーな判断をぜひお願いいたしまして、私からの質疑を終了いたしまして、畠山委員と交代いたします。 ◆畠山晋一 委員 先ほどの和田委員の話にあった特殊詐欺の話、質問ではないですけれども、実はありがたいことに、昨今、私のところに三件お話があった。三件とも北沢地域で、皆さん一様に、区のほうにお願いをして、北沢警察にお願いをして、留守番電話機能を置いていただいて、僕はそれだけで終わっているのかなと思ったら、やっぱりお年寄りでひとり暮らしの方、さらに一人は大学の先生とかなんですけれども、その先生も心配だからといって、北沢警察の警察官の方が、気になって一か月に一回は訪問もしていただいているという対応まで細かくしていただいている状況がある。それでも、今の答弁をいただいた中で、昨今、特殊詐欺が増えているというところに本当に許せないなと思う気持ちがあると同時に、その三名のそれぞれの方々から、警察の方にどうしてもお礼をしたいんですと。お金を持っていっていいですか、お菓子を持っていっていいですか、どれも要りませんと。皆さん、職務としてやっていただいているわけですし、その警察官以外にも、今、交通安全なんかをやっていますけれども、知り合った、たまたま巡り会った警察官の方に、いつもありがとうございますと、そういう優しい言葉をかけることがありがたいんですと、それで、その警察官の方も、区の職員の方も、ますます気概を持って仕事ができる、メンタル的にも充実して仕事に取り組めるので、ぜひともそういったいい話はどんどんあなた方もお話をしてくださいと。  町会の方、高齢者クラブの方、商店街の方、知り合いの方にそういう話を、その人たちはSNSをやっていませんから、口伝えでどんどん伝えていくことが、実は身の安全を守り、地域を守るということになってまいりますので、そういったことに努めてほしいというお願いを私のほうで勝手ながらさせていただいておりますので、ぜひとも特殊詐欺被害がこれから先も減っていくことを、職務として皆さんにしっかりと努めていただくことも改めてお願いして、その優しい言葉をかけると、この後の私の質問に関わってくるところの話ですので、ひとつお話をさせていただきました。  今回は企画総務領域でございますから、まず冒頭は入札制度について伺ってまいります。  今回、企総領域の中で各会派からもそれぞれのお考えで質問をされておりましたが、今回の入札制度改革において、入札価格の競争力強化、区内事業者の育成、区内事業者の強化を総合評価方式で実現できなかった課題、状況を鑑みて今回の制度改革に踏み切った、まさにこれこそが、ようやく実現できれば、事業者にとっても、または行政にとっても、区民にとっても、どこにとってもプラスになるんだ、そんな制度にしていきたいという決意と覚悟をこの間伺っているところですけれども、どんな制度も結局は、それを仕切る人材、この人材いかんで成功するか成功しないかが決まってまいるわけですけれども、そうすると、初めて取り組むことに関して、営繕において、営繕の中でも対応できる人材をどのように確保して、どのような教育をして、今後どのようにこういったことを引き継いでいくのか、まず答弁をお願いします。 ◎並木 公共施設マネジメント課長 入札制度改革においては、公契約に係る労働者の適正な労働条件の確保のために、より実勢価格に即した工事価格の設定、労働環境等に配慮した工期設定が求められています。新たな取組となる(仮称)世田谷区建設工事総合評価方式における価格評価では、評価基準価格、調査基準価格等の基となる工事予定価格の信頼性が問われ、これを担う施設営繕担当部の役割は大変重要になります。  区は、発注者の責務として、この改革を契機とした工事の品質、工期、コストの適正化に向け、設計条件を精査して発注図書に反映し、過不足のない予定価格を決定することが重要だと認識しております。今回の新たな取組となる入札制度改革への対応といたしましては、これまでの低入札や不調案件での課題を整理し、財務部とも協力し、適正な予定価格、工期設定、業者選定の仕組みを構築するために現在検討中でございます。一方で、職員の育成に当たっては、職員一人一人の個性を尊重し、前向きに仕事を捉える心の醸成が大切であり、気づきを促す取組により職員の質と向上が図られ、様々な課題を発見し、解決できる職員を育成できると考えております。  施設営繕担当部では、ホームページで公表している各部の政策目標に、「世田谷らしい公共建築」を創り、守り育てることを掲げております。コロナ禍で区民や職員相互の交流も厳しい中で、目標の実現に向けて、現在、部内では情報発信プロジェクトチームを組織し、職員の士気向上に向けて取り組んでいるところです。  今後も、技術の向上はもちろんのこと、その前提となる目の前の仕事に愛着と自信を持てる職員の育成に尽力し、財務部とも連携し、課題解決のためしっかりと取り組んでまいります。 ◆畠山晋一 委員 財務部、営繕としっかりと連携をしていくということで、世田谷区の人材育成の在り方にも大きく寄与してくると思います。従来、私ども自由民主党としても、人事制度の中でゼネラリストをしっかり育てられる職員の構成の仕方と、これからはスペシャリスト、まさに経理課、財務部と営繕と、これはスペシャリストが必要になってくる事案であるわけですから、幸いにして、今、目の前に私の知り合いの小柴部長がいますけれども、スペシャリストというところでは、実は小柴部長は、北沢の街づくり課長を八年間勤めていただいたまさにスペシャリストだったわけですね。  町の人たちも変わらない、次の代に移り変わったとしても、町の人たちはそこにずっと生活をしている、残っている。その間一緒にやっているまちづくり、これはまさにスピードを持って、迅速を持って、とある方の書籍ではスピードじゃなくて、迅速にやらなくてもいいみたいなことを書いてあった本があったんですけれども、やっぱりまちづくりは迅速に進めていかなきゃいけない、進めるに当たっても、やはり信頼できる人と人とのつながりでできてくるという経過で、おかげさまで、今、実は下北沢という町も、世田谷代田も、東北沢も着実にまちづくりが、決して小柴さん一人ではないです。小柴さんとともにこの八年間一緒にやってきた職員がスペシャリストとしていたから、このまちづくりが今ここに至っているなというふうに感じる部分もあるというところで、ある意味、そういったスペシャリストがいてくれるおかげでできるということが判明しているわけですから、人事の中においても、特に今回の入札制度改革においては、まさにここにはスペシャリストをしっかりと設置をする、配置をする、それぐらいの気概があってしかるべきだと私は考えますけれども、そのスペシャリストの設置、配置はどうお考えでしょうか。 ◎並木 公共施設マネジメント課長 地方自治体の職員としては、多くの職務を経験し、様々な区民の問合せに適宜対応できるゼネラリストが求められております。一方で、技術職場などにおいては、その職務の専門性から過去のいきさつや技術の変遷を理解し、その職務経験に裏づけられた適切な業務指導、総合調整能力を備えたその職務に精通したスペシャリストを配置しておくことも組織として重要であると考えております。その人に聞けば答えが分かる、見落としがちな点を過去に培ってきた経験から適切にアドバイスをしてくれる、そういった存在は新人職員の目標ともなり、また、他の所管からの信頼度という点でも大きいと考えます。  施設営繕担当部では、営繕業務の経験が豊富なベテラン職員が各種研修や実務相談などを通じて、今まで培ってきた実務経験を人材育成に役立てております。定期的な人事異動を通じて様々な職場を経験させ、職員のスキルアップを図るとともに、職員個々の適性も見極めながら、人事課とも協議の上、他の所管からも信頼されるようなスペシャリストの育成、配置に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆畠山晋一 委員 そのスペシャリストの育成、配置に取り組んでいただけるとの答弁がありましたので、八年とは言いませんけれども、何年とは言わずとも、一人でも多くの方がこれにしっかり携わって、次の代に着実にそのノウハウを伝えられる、能力を伝えられる、そういった人事制度になるべくお願いをしていきます。  続いて、障害者の雇用について伺ってまいります。  さきの企画総務常任委員会において、世田谷区の障害者の雇用率が二・六一%と国の基準を満たすことになったということの報告がございました。一つの目標達成に至りますが、実際はまだまだこの障害者雇用の推進が必要となっているのが実態です。  以前に私は、世界一明るい視覚障害者という成澤俊輔さんの大変興味深い講演を聴かせていただきました。その中で、障害者雇用の実態について様々なお話を聞かせていただきました。働きづらさを持っているという方々はいろいろいます。身体障害、知的障害、精神障害、発達障害、ひきこもり、難病の若年性認知症ですとか、ホームレスの方ですとか、犯罪歴のある方、またはDV被害者、破産者など、働きづらいという理由は多岐にわたっているし、およそ四十種類にも及ぶと言われております。その中で、障害という部分に着目をすると、内閣府の統計によれば、当時国内には約八百五十万人の障害者の方がいるとの統計結果があり、実際には、潜在的にはこの倍以上いるのではないだろうかというふうに言われております。  そこで、仮に障害者の数を八百五十万人として、その八百五十万人の中で、年齢が十八歳から六十五歳の方は八百五十万人のうちの半分の四百万人、そのうち、この四百万人の中で、一般企業などに勤めているという方は約四十万人、つまり一〇%。つまりは障害者だけに限って言えば、我が国の失業率は九〇%という数字が出てくるんです。これは国や地域へのネガティブな、まさに経済的なインパクトになり得る。それに国が福祉施設で障害者一人にかける費用が年間約五百万円と言われており、もし仮に二十歳から六十歳まで働けないままで、福祉施設でずっと生活を送ると、一人当たり平均約二億円の予算が必要になってくるんです。あくまでもざっくりとした概算の話ではありますけれども、もしも働く障害者が一人でも増えれば、それは我が国にとっては二億円以上の経済効果にもつながるということになるんです。  ここ数年、我が国も残念なことに、自殺者数も年間二万人から三万人の間で推移をしてきてしまっている。自殺の大きな原因の一つに孤独が挙げられるかと思います。働きたくても働けない人たちが仕事に就くことで、この状況を好転させることができるとも考えられております。雇用率の安定と失業率の減少、まさにこれが国の根幹となるわけですし、これほど大切なことなんです。  そこで、障害の特性は、今お話ししたように四十種類以上もありますし、あとは障害をお持ちの方の特性も様々あります。パソコンの打ち込み作業を尋常ではない速さで、なおかつ正確性を保ちながら物すごい集中力でデータを打ち込める方、同じようにして、パソコンの作業のみならず、例えばシュレッダーをひたすらかけてほしいと言ったらずっとシュレッダーをかけ続けられる集中力を持っている方もいる。ある意味、一つのことに対応できる力を持った方、同じ作業を黙々と正確にこなす能力に長けている人がいるのです。  だから、これからの障害者雇用においても、そのような人たちを区の職員として採用する、こんなことはできませんでしょうか。 ◎好永 人事課長 地方公共団体における職員の採用は、地方公務員法において競争試験または選考によるものと定められております。特別区における障害者を対象とする採用選考は、個々の障害特性に応じた合理的配慮を受けながら、一般行政事務等を行う職員を広く募集、採用するためのものであり、特定の能力を限定した選考とはなっておりません。区の会計年度任用職員の採用選考も、その職務に応じた能力を見極めるものであり、同様となっております。  このことから、特定の能力に限定した職員の採用を行うことはできませんが、常勤職員において、本人の障害特性や個性、能力に応じた配置を行っていくとともに、会計年度任用職員においては、特定の障害に捉われず、職務に応じた能力を有する方の採用を行ってまいります。 ◆畠山晋一 委員 今の答弁に特定の能力に限定した職員の採用は今のところ行うことはできない、でも、常勤職員においては、本人の障害特性や個性、能力に応じた配置を行っていける。会計年度任用職員においては、特定の障害に捉われず、職務に応じた能力を有する方の採用をされるということですが、そうなると、障害をお持ちの方、雇うべき世田谷区、この間に、各種就労支援施設と連携しながら、どういった障害者が世田谷区と相性が合うのか、就労支援施設での訓練等によって世田谷区とマッチングを行うような取組、こういったような就労支援施設との連携はどのようになっておりますでしょうか。 ◎好永 人事課長 就労支援機関は、障害者の一般就労の機会を広げ、安心して働き続けられるため、就労面と生活面の支援を一体的に行うことを目的として活動している機関で、障害者本人だけでなく、雇用主に対しても相談、援助を行っており、区の障害者雇用でも様々な場面で連携しながら支援を行っております。  人事課では、障害者雇用推進チームにより定期的に面談を実施しておりますが、障害のある職員本人が就労支援機関を利用している場合、その就労支援機関にも面談に同席してもらうことで現在の状況を共有するとともに、課題に応じて本人の特性に合わせた助言をしていただき、その都度、仕事とのマッチングを図っております。定期面談以外でも病気休職からの復職に向けた調整等、必要に応じて随時連携を行っております。  そのほか、職員全体に障害に関する正しい理解や特性に応じた対応への理解を深めてもらうことを目的として毎年実施しております障害者雇用理解促進に係る研修では、区の障害者就労支援センターに講義をいただくなど、個別の職員に対する就労支援から区全体の障害者雇用の推進まで幅広く区との連携を行っております。 ◆畠山晋一 委員 区の障害者就労支援センターなどと連携をしながら、今、その雇用に対しても、障害者に対しての様々な研修等も行っていただいているとのことですけれども、区の就労支援センター以外にも、世の中には、国内には多種多様な支援施設があります。もちろん区の就労支援センターとの連携と信頼関係も保ちながらも、これからは、様々な新たな障害者の支援施設との連携で視野を広げて対応するということもひとつ考慮していただくことを要望しておきます。  先ほど申し上げましたように、雇用率の安定と失業率の減少がまさに世田谷区にとっても大事な経済的な課題となってくるわけですけれども、先ほど来、様々な障害があって、それぞれに対応していると。要するにいろんな障害があるから、それぞれの障害に応じて雇用しながら対応していくということになってくると、今、二・六一%という障害者の雇用率は達成できているわけですけれども、それ以上を目指していく中で取り組んでいくことになってくると、これは決して別に区の全ての部署、全ての所属の場所に一律に障害をお持ちになっている職員を配置しなければいけないということではないわけですから、もちろん個々の障害の特性に応じて、その部署に合った、その部署の中で活躍できる職場に配置していくべきだなと私自身は考えるわけですけれども、そういった取組に対しては、世田谷区としてはどのように取り組まれるんでしょうか。 ◎好永 人事課長 障害のある職員がその能力を十分に発揮して活躍していくためには、障害の特性や本人の意欲、個性に応じて無理なく安定的に働くことができる職場づくりが必要であり、配置も全て所属一律に行うなど、特定の条件に捉われず柔軟に行うことが重要であると考えております。  区では、採用内定後に本人から障害の特性についてヒアリングを行うほか、先ほども申し上げましたが、必要に応じて、本人が利用する就労機関の意見を聞き、配属先などの検討を行っております。人事異動においても、本人の障害特性や能力、希望、それから職務の遂行状況等を考慮するとともに、必要に応じて就労支援機関の専門的見地からの助言を踏まえるなど、柔軟な対応を行っております。  今後も、障害のある職員が本人の意欲や個性に応じて能力を有効に発揮するとともに、安心して安定的に働くことができるよう取り組んでまいります。 ◆畠山晋一 委員 障害者の雇用というところでの世田谷区としての新たな取組で、世田谷区と障害者施設群によって第一回農福連携共同作業が喜多見農業公園で、五施設五名を迎えていよいよ始まるとも聞いております。農業と障害者の連携など、障害者によっては、雇用に求められる、一つの場所でいろんなことをやってほしいというマルチタスクは無理だけれども、一つのことを確実に仕上げてくれる、一つのことを特徴を持ってしっかりできる知的障害を持つスタッフをその部署で迎え入れると、実はその方に得意分野を任せようと職場全体がいい方向に動き始める。これによって寛容な雰囲気が生まれるのはもちろんですし、しかも、それまで普通に働いていたほかの職員の方も、果たして自分の得意分野は一体何なんだろうと考えるいいきっかけにもなって、自分の武器をそれぞれが磨き始めて、お互いに補い合う機運が結局は業務効率を上げることにもつながるという成果も出てきておりますので、一人でも多くの雇用を高めていただくことを要望して、次の質問に入らせていただきます。  次は、働きやすい、働きづらいというところでのテーマで、優しい心が求められているメンタルヘルス、メンタルケア。現在、世田谷区の職員の方々で、メンタルケア、メンタルヘルスが必要な方で休職をされている職員の方はどの程度いらっしゃいますでしょうか。 ◎好永 人事課長 令和三年九月一日現在における病気休職者は全体で七十人、そのうちメンタル系の休職者は四十九人となっております。病気休職者の推移につきましては、年度ごとに統計を取っておりますが、平成二十七年度が全体で六十四人、うちメンタル系は四十八人であったのに対しまして、令和二年度では、全体で百七人、うちメンタル系は七十四人となっており、ほぼ右肩上がりで増加しております。 ◆畠山晋一 委員 ほぼ右肩上がりに上がっているとのことですけれども、そうすると、コロナの前と現況では休職者数、ある意味コロナの影響はどのようになっておりますでしょうか。 ◎好永 人事課長 コロナ禍が本格化する前の令和元年度と令和二年度を比較しますと、全体で十一人、メンタル系は四人ほど増加しておりますが、コロナにおけるメンタル系の休職者数への影響につきましては、従前より人数は増加傾向にあったことや、休職に至った要因がコロナに起因するか否かを特定することが困難であることから、人数への影響を明確にお答えするのは難しいところでございます。  なお、病気休職との関連は明確ではありませんが、コロナの影響における業務負荷などのほか、コロナ感染への不安や恐怖により心身のバランスを崩し、産業医の面談を行うケースがあったことは確認しております。 ◆畠山晋一 委員 決してコロナの影響かどうかは分からないが、右肩上がりに増えている。今、私の知人の民間企業に勤めている様々な方々からも、社長さんたちからも聞くことは、このマスクで顔全体が全く見えないということで、残念ながらコミュニケーション不足、別に人を顔で判断するわけではないんですけれども、顔色とか目の色とか、顔の表情だけでもって、人間の交流、コミュニケーションが不足してしまっている。若い人に至っては、恋愛に至らなくなってしまっているというような話も聞いている。  そういったところで、ある意味ふだんと違うメンタルダウンのサインをマスクをつけることによって見逃すこともあり得るわけですけれども、こういったサイン、このキャッチをできる仕組みが必要なわけですけれども、その取組はどうなっていますでしょうか。 ◎増井 職員厚生課長 昨年から新型コロナウイルス感染症に関する区の対応が起きていることから、職員の身体的、心理的負担は増していると認識しております。その中で、マスクを着用する中で、会話も控えるということも起きております。感染症予防対策ということから取り組んでおりますが、職場内でのコミュニケーションにおいて、会話を控えることの傾向が見受けられているというところでございます。  そういう中で、サインを読み取るということなんですが、ふだんと様子の違う職員の行動については、遅刻、欠勤が増えるとか、元気、気力がないなどということがあります。それらを早めにキャッチして、まずは声をかけて、メンタル不調を早期に発見し、どのような配慮が必要か、対応につなげていきたいと思います。 ◆畠山晋一 委員 そういった部分で、職員の心の健康づくりに配慮して、こういった冊子を作って、それぞれの職員に、何かあったときにはここに相談してくださいねと。これを見たら区議会議員による職員に対するハラスメント相談担当と、こういったものもちゃんと設置されているんだなと。本当にいろんなハラスメントがあるんだなというところで、でも、職員に対しての相談を丁寧にこうやってやっていて、中には外でのカウンセリングもできるというような予防措置などもここの書類で分かるわけですけれども、やっぱり所内ではやりにくいから外でということを要望する方もいらっしゃると思うわけですけれども、ただいまの外部の相談窓口は、現在、何件設置されておりますでしょうか。 ◎増井 職員厚生課長 現在の外部の相談窓口については一か所でございます。 ◆畠山晋一 委員 一か所ということでありますけれども、できることなら、一人でも多くの方のサインをキャッチできるように、相手もサインを出しやすいようにというところがハラスメントにとっては必要になってきます。  実は私は、恥ずかしながら、このハラスメント、セクシャルハラスメントというのは一九八〇年代において欧米にもあって、昨今、出ているパワーハラスメントという言葉を聞いたときに、僕はてっきり欧米から来た言葉なのかなと思っていました。違いました。これは二〇〇〇年代に日本の企業のコンサルティング会社の方がつくった造語なんです。パワハラというのは、我が国の現象なんです。我が国独自のまさに対応していかなければならないもの、そういった実態を初めてこのハラスメントの質疑をさせていただく中で学ばせていただいたわけでございますが、こういったハラスメントということがなくなることが一番大事なわけですけれども、ハラスメントをなくすための取組というところでは、職員同士ではどのような取組を行っておりますでしょうか。 ◎増井 職員厚生課長 ハラスメントの相談につきましては、まず相談窓口を設置し、課長級、係長級の職員が相談に乗っており、昨年度の相談実績は五件でございました。今年度につきましても二件の状況がございます。  昨年度、職場におけるハラスメント防止に関する基本方針を策定していまして、職員に広く周知をするとともに、毎年度、ハラスメントに関する研修を管理監督者及び職員に実施しております。こういったところで、研修におきましても、ハラスメントの防止について、何がハラスメントになるか、起こり得る背景、起こってしまったときの対処方法などについて、日頃からコミュニケーションの中で重要性を学んでいただいております。 ◆畠山晋一 委員 それぞれの職員の前向きな力を生かして、誰一人として、ハラスメント対応とならないように、職員の教育にも力を入れることを要望して、前向きな気持ちで、自由民主党世田谷区議団の企画総務領域の質疑を終了します。 ○加藤たいき 委員長 以上で自由民主党の質疑は終わりました。     ──────────────────── ○加藤たいき 委員長 以上をもちまして本日の質疑は全て終了いたしました。  本日の委員会はこれにて散会いたします。     午後五時四十六分散会...